選帝会議 その⑬
【選帝会議出席者紹介】
(゜∀゜,)【マルク帝国 第13代マルク皇帝】
(゜∀゜.)【聖アガメマス教会高弟 ドナド】
(゜∀゜ )【次代皇帝候補 ロナルド】
(・ハ・王)【西ゼリヤ国王 ミラノフ=ウリアード一等侯】
( ^⊿^)【フィオレ国王 フィオレ=イシュ一等侯】
(´∀`王)【ハッシュ国王 ハッシュ=ポート一等侯】
(・E・ )【東部諸侯議会代表 マキャリテ二等侯】
(´L` )【立法長官 ツグマツ元老院長】
(-Дーイ)【行政長官 シャカ執政官】
(゜Д゜ム)【司法長官 シェイク法務官】
[━T━ ]【帝国軍総司令官 コンタレス将軍】
从*・⊿・从【獣人代表 ヨイノマの巫女】
( ●ハ●)【エルフ代表 マナグム長老】
( ^ω^)【戦士】
( ’A`)【魔法使い】
(゜、゜*)【盗賊】
( ・∀・)【道化師】
676 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
( ^ω^)「たしかに俺達はお前や皇帝とは戦わないって手段を選んだけどよォ~~その理由は別に手を汚したかったからじゃねぇ」
( ^ω^)「それをしたら『魔王と同じ』だからなんだよ。力任せになにかを変えようってのはな」
(゜∀゜.;)「……」
( ・∀・)「そうそう。まずは対話から始めないとってコトでね。話してみたら、分かり合うことだって出来るかもしれないし」
( ’A`)「んで、もう一度アンタ達と話し合う為の立場と場所を得るために、西はウッソー原生林から東は海底神殿まで、ぐるっと遠回りをしてきたワケだが……」
盗賊が聖伐軍の騎士が握る剣の切っ先を指で撫ぜる。
(゜、゜*)「そっちが対話を断つと言うのなら、致し方ないわね」
(゜、゜*)「修道女ちゃんには嫌われるかもしれないけど……手段を選り好んだせいで、目的が達成できないなんて馬鹿みたいだもの」
(゜∀゜.;)「そうか……それが貴様らの選択か!」
(゜∀゜.#)「"伝説の勇者"として召喚されながら、人間を殺すというのか!正体を表したな、"悪魔"め!」
( ^ω^)「別にどっちでもいいよ」
( ’A`)「それさぁ、アンタの方が"人間"じゃないってコトにしたらさぁ、問題なくない?」
(゜∀゜.#)「……あ?」
( ’A`)「これはアンタが先に言った理屈だぜ?」
( ’A`)「異端者は人間じゃない。人間じゃないから殺しても問題ない。そして、俺達は異端者……そんな異端者を基準にしたら、アンタの方が異端者ってコトになるだろ?」
( ’A`)「つまり俺達からしたら、アンタも人間じゃないんだ。だから手を汚したことにはならねぇだろ」
(゜∀゜.#)「愚か者めが、それのどこに正当性がある!ただの屁理屈だ!」
( ^ω^)「じゃあアンタの正当性ってなんですかぁ~~?だれがアンタの論理が正しいって決めたんですかぁ~~?」
(゜∀゜.#)「"預言書"と"理性"、つまりは神だ!」
( ’A`)「俺達、その神の思し召しで召喚されたんだけどォ?だとしたら俺達の方に正当性があるんじゃないですかぁ?」
(゜∀゜.#)「神が創りたもうた人間でさえ間違いを犯すことがある!それと同じように、貴様らも間違った道に進んでしまったのだ!神への冒涜だ!」
( ’A`)「じゃあアンタこそ、その"預言書"の解釈を間違えてるんじゃねぇの?」
(゜∀゜.#)「馬鹿なコトを宣うな!私の論理は"正統な編纂"の解釈を元にしている!貴様のその物言いは、編纂に関わった賢者さえ愚弄しているのだぞ!」
从;ー⊿ー从「……なんとまぁ、呆れた口喧嘩じゃの」
(;・∀・)「『なにが正しいか』なんて他人と言い合っても、こうやって水掛け論になるだけ、なんだよね」
( ・∀・)「文化的に、生物的に、倫理的に、道徳的に、哲学的に、政治的に……宗教的に」
( ・∀・)「科学的に理詰めで説明しようとすればするほど、『自分が正しい』と主張してるだけ……みたいな」
(゜、゜*)「あら、前に話したでしょ?『なにが正しいか』なんて、結局は"感情"なのよ」
(#.゜∀゜)「"感情"!?"感情"だと言ったか!?」
(#.゜∀゜)「世界の為に、民の為に、秩序を守らんと滅私で尽くしている、この私が"感情"なぞに振り回されているワケがなかろう!」
(゜、゜*)「そうね。でも、その秩序が正しいって決めてるのはアナタでしょう。アナタが、それが良いと感じたからでしょ?」
(#.゜∀゜)「違う!正しさとは、神が定めし絶対的なモノだ!」
(゜、゜*)「違うわよ。人間が全部決めてるに決まってるじゃない。人間が神様に押し付けてるだけよ、正義っていう感情を」
(・∀・ )「ドナドさん、あなたにコレを言うのは気の毒なんだけど……」
(・∀・ )「あなた、魔王によく似てるよ」
(#.゜∀゜)「」
ドナドのこめかみ辺りの血管が、ぶちっと切れる音がした。彼は腕を震わせ、見開いた目で道化師を見た。
(#.゜∀゜)「わ、私が……あのような異端者と、同じだと?」
(・∀・ )「うん。もしも出会ってたら馬が合ったんじゃない?」
(#.゜∀゜)「……」
(#.゜∀゜)「もういい!聖伐軍よ、この悪魔共を殺せぇッ!!」
677 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
(#.゜∀゜)「……」
(゜∀゜.#)「おい、なにをしている!さっさと悪魔を討つのだ!」
号令をかけるドナドだったが、しかし聖伐軍の騎士が動く気配はなかった。痺れを切らした彼が檄を飛ばすも、騎士たちは身一つ動かなかった
(゜∀゜.#)「どうした?伝説の勇者という肩書に怖気づくでない!そなた達もまた女神様のご加護を得た聖戦士なのだぞ!」
[;━聖━]「……すみませぬ、高弟様……動けぬのです」
(゜∀゜.;)「なにっ!?」
ひとりの騎士の言葉で、聖伐軍全体に注意を向けたドナドの瞳に、奇妙な光景が映る。
議事堂を占拠した聖伐軍の半数近くが、同じ騎士に切っ先を向けているのだ!
(゜∀゜.;)「どういうことだ!なぜ味方に剣を向ける!敵はそこにいる悪魔だぞ!」
ドナドの声に、近くにいた騎士の一人が答えた
[ ♯聖♯]「……お言葉ですが高弟様。勇者様は敵ではありませぬ」
[ ♯聖♯]「敵とは、我らの身体を虐げ、心を傷つける者。そう、つまり"心の敵"を指します」
(゜∀゜.;)「……はぁ?なにを言ってるんだ?」
[ ♯聖♯]「そして勇者様は、ボク達を救ってくれた……」
その騎士は大兜を取り、顔を晒した。
( ゜-♯)「仲間だッ!」
( ゜Д♯)「勇者様、万歳ィィィィィィッ!!」
「万歳ッ、勇者様万歳ッ、伝説の勇者様万歳ッ!」
(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*
(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*
(^ω^;)「ラクシズの元スラム民の皆さん!」
(’A`;)「そういや聖伐軍に再就職するとか言ってたな……」
678 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
(゜∀゜.)「そ、そんな。聖伐軍が、いつの間に勇者の手に落ちて……」
( ゜∀゜)「……ドナド兄貴」
(゜∀゜.;)「ひっ!ロナルド!?」
( ゜∀゜)「もう諦めろ。終わりだ、兄貴も、いまの教会も」
( ゜∀゜)「いままで、ご苦労だったな」
(゜∀゜.)「……」
(ー∀ー.)「……ははっははは……」
(ー∀ー.)「アナタもすぐに分かりますよ、私達の苦労が……」
(゜∀゜.)「……せいぜい足掻くことです。貴方の想う、正しき世界の為にね」
( ゜∀゜)「ああ、頑張ってみるよ」
679 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
ム;゜Д゜)「えー……途中、聖伐軍の乱入がありましたが……この件について、ドナド様の身柄については、帝国裁判所が預かるということで……」
(´L`;)「こうなっては聖アガメマス教会も、ロナルド様の構想通りにマルク帝国の管理下に置き、組織の見直しを……」
王;´∀`)「他の構想案はどうする?もう議事堂はめちゃくちゃなんだが……」
(・ハ・王)「こうなっては致し方ない。面倒だが、後日もう一度話し合うのはどうかな?」
从*・⊿・从「それは良い案じゃな」(ドナドや皇帝がいなければ、獣人の権利向上に文句を言う奴が減るしな)
( ●ハ●)「流石、ミラノフ侯殿ですな」(今度こそ"契約"破棄の議論をしっかりとしてもらわねば……)
(-Дー;イ「ふむ。では、新皇帝様の即位式が終わった後くらいで調整させてもらいましょうか」
( ^⊿^)「そうですね。これから忙しくなりそうです」
──こうして、長き選帝会議は遂に終わりを迎え……
( ━十━)「それでは、本日の議事の決定事項を述べたいと思います!」
( ━十━)「マルク帝国第13代マルク皇帝陛下、チャリス島へ島流し!」
(゜∀゜,)「……」
( ━十━)「帝国軍総司令官コンタレス将軍閣下、シャゴモ島へ島流し!」
[━T━ ]「えっ?」
( ━十━)「えっ?」
[━T━;]「……いつ決まったの?」
( ━十━)「閣下が寝てる間に」
[━T━;]「バレてた!」
( ’A`)「そんなんだから島流しされるんだよ」
ミ ゜ω゜)「地元を流刑地にしないでもらえません?」
680 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
( ━十━)「そして、ロナルド新皇帝陛下の御即位!」
( ━十━)「陛下の御即位を以て、マルク帝国は国号を"神聖マルク帝国"と改め、この偉大な帝国の歴史にまたひとつ、名を刻むこととなります!」
( ━十━)「ロナルド皇帝陛下、万歳!」
( ━十━)「神聖マルク帝国、万歳!」
(゜∀゜ )「……ああ」
──ロナルド新皇帝の統治の下、神聖マルク帝国が産声を上げた。
681 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/03(水)23:00:00.00 ID:1399336
(・E・ )「……」
(・E・ )「……俺、この会議に出る必要あった?」
( ・∀・)「そういう会議ってあるよね」




