選帝会議 その⑫
【選帝会議出席者紹介】
(゜∀゜,)【マルク帝国 第13代マルク皇帝】
(゜∀゜.)【聖アガメマス教会高弟 ドナド】
(゜∀゜ )【次代皇帝候補 ロナルド】
(・ハ・王)【西ゼリヤ国王 ミラノフ=ウリアード一等侯】
( ^⊿^)【フィオレ国王 フィオレ=イシュ一等侯】
(´∀`王)【ハッシュ国王 ハッシュ=ポート一等侯】
(・E・ )【東部諸侯議会代表 マキャリテ二等侯】
(´L` )【立法長官 ツグマツ元老院長】
(-Дーイ)【行政長官 シャカ執政官】
(゜Д゜ム)【司法長官 シェイク法務官】
[━T━ ]【帝国軍総司令官 コンタレス将軍】
从*・⊿・从【獣人代表 ヨイノマの巫女】
( ●ハ●)【エルフ代表 マナグム長老】
( ^ω^)【戦士】
( ’A`)【魔法使い】
(゜、゜*)【盗賊】
( ・∀・)【道化師】
672 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/02(火)23:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
(゜∀゜.)「黒一色に塗り潰されたキャンパスに、もはや新しい色を置く余白はありません。それと同じように、全ての人々が聖アガメマス教会の教えを胸に抱くこと……それこそが序なのです」
(゜∀゜.)「人によっては息苦しいと思うかも知れませんね。ですが、秩序や平和とは、そういうものなのです。刺激がなく、退屈で、毎日同じことを繰り返す……」
(゜∀゜.)「その代わりに民は穏やかに、安らかに、心置きなく、眠ることができる。明日の朝、家族や自分が死かもしれない、などと想像することもなく。ぐっすりと夢を見れる」
(゜∀゜.)「この"当たり前"を幸せと呼ばず、なにを幸せと呼ぶのか!」
(゜∀゜.)「そして、この"当たり前"を維持する為に、どれだけ私や兄上が苦心してきたか……ッ!」
(゜∀゜.)「いいですか。聖アガメマス教会の教えに背く者、マルク帝国に逆らう者。そういった者は秩序ある世界に不要。だから教会は、そういった"不安要素"を責任をもって処分してきた。それだけなのです」
ム;゜Д゜)「し、しかしドナド様……異端信仰は法的にグレーとはいえ、その……処分などというのは、人道に悖ります」
(;^⊿^)「ええ。市民権がない者や、考えが異なる者の命は好きに扱ってよいというのは、些か過激な思想ではありませんかな?」
(´L`;)「きょ、教会が異端者に対し、そのような外道な行為に手を染めていたなど、信者にどのように説明するおつもりでしょうか?」
(゜∀゜.)「……」
(ー∀ー.)「……はぁ」
(゜∀゜.)「話にならんぞ貴様ら。私は『感情や快‐不快ではなく、理性と論理に則って』話をすると言ったではないか」
ム;゜Д゜)「!?」(´L`;)
(゜∀゜.)「人道?外道?……そんなものは個人の主観でしかない。おおよそ異端者に対して憐憫を抱いての発言だとは察するが、そのような感情的な反論に、なんの意味があろうか」
(゜∀゜.)「いいか?これはな、ごくごく自然な、単純な話なのだ。畑の作物をより良く育てるために農薬を撒くように。森を育てるのに間伐をするように」
(゜∀゜.)「"要るもの"と"要らぬもの"を分け、"要らぬもの"を間引く。これは"要るもの"を健全に保つ為に為さなくてはならぬのだ」
(゜∀゜.)「ともすれば、"医者"が行っている病気や腫瘍の治療も同じかもしれないな。自己という生命を生き長らえさせる為に、病に冒された細胞を切除……間引いている」
(゜∀゜.)「腹にできた腫瘍を除去した時、患者が『ああ、私の細胞。殺してしまってごめんなさい。あなたも同じ私なのに』と言うだろうか?」
(゜∀゜.)「対象が自分と同じ姿をしているからと、いちいち共感を抱くではない。ただの炭素と酸素、水素の塊だ。教会が処分してきたのは、"それ"であり、必要だから行ったまで」
(゜∀゜.)「それ以上でも、それ以下でもない」
673 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/02(火)23:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
(;^⊿^)「……」
王;・ハ・)「ドナド様。いち領主として、言わんとすること、全てを否定はできません。しかし、そこまで歯に衣を着せずに仰られてしまうと……同意できませんな」
王;´∀`)「ええ。ロナルド様の"新世界秩序"構想に従い、聖アガメマス教会のあり方を考える必要があるかと」
(゜∀゜.)「……いいえ、ありません。いまの教会にしか、正しい秩序は作れません」
(´L`;)「ですが、流石に……」
(゜∀゜,;)「……なぁ、ドナド。お前、いったいどうしたのだ?」
(゜∀゜,;)「教会が異端者を大量に殺していたと、そんな事実を明らかにしてしまえば……それが、まぁ、教義的に正しいとしても……部外者からは決して認められるものではないコトくらい、分かるだろう?」
(゜∀゜,;)「あの諜報員の言ったことなど、いつものように、適当にはぐらかしておけば良かったじゃないか。なぜ、認めてしまったのだ?」
(゜∀゜.)「……それはですね」
(゜∀゜.)「我々の大義を理解できぬ者が悪いのですよ、兄上」
(゜∀゜,;)「……は?」
从*・⊿・从「狂ったか、坊主」
(゜∀゜.)「話が理解できないからと相手を誹謗中傷していては世話ありませんな」
(゜∀゜.)「まぁ、獣人程度の脳では理解できずとも仕方ありませんか」
从#・⊿・从「ワシ、オマエ、コロスッ!」
(;●ハ●)「だから単純な挑発に乗るんじゃない!」
(゜∀゜.)「いや……"狂った"、か」
从#・⊿・从「?」
(゜∀゜.)「誰もがみな、時計は正確に、平等に、時を刻むと思っている」
(゜∀゜.)「だが実際には、私が感じる一秒と他者が感じる一秒は違う」
(;^ω^)「……?いきなり、なんの話だ?」
(゜∀゜.)「楽しい時は早く、退屈な時は遅く感じるとはよく言うではないですか。そして、それは経験則として正しいでしょう?」
( ’A`)「まぁ平日の朝の一秒って、休日の朝の5秒くらいの密度があるからな」
(゜、゜*)「土日っていつの間にか日曜日の14時になってるわよね」
( ・∀・)「16時過ぎたら"終わり"だよね」
( ゜∀゜)「結局、なにが言いたいんだ、ドナド兄貴」
(゜∀゜.)「皆、平等に狂っているのですよ。自分が正しい時を刻むと、他人も同じ時を刻むと、そう信じてね」
( ゜∀゜)「……!」
(゜∀゜.*)「そして……あぁ、いま私の一秒は、とても長い!これは、ハァ……講義の終わりを待ちわびている時のような、待ち合わせ場所で想い人が来るのを、いまかいまかと待っているようにな」
(゜∀゜.*)「"逸っている"……心臓すらゆっくり脈を打っているようです!」
(゜∀゜.*)「聞こえますか?」
( ^ω^)「いや、ここからじゃお前の心臓の音は聞こえねぇよ」
(゜、゜*)「……」
(゜、゜;)「……!?いや、違うわよ戦士!」
高弟ドナドの豹変ぶりに静まり返っていた帝国議事堂。しかし、その中で盗賊が、その静寂の向こうから、段々と大きくなってくる"音"に気がついた。
(゜、゜;)「これは軍靴の音よ!!」
(;^ω^)「はぁ!?」
瞬間、傍聴席の後方出入り口から響いた悲鳴を皮切りに、騎士の大群が議事堂になだれ込んできた!
(=ω=;)「なになに?なにが起きたの?」
(;ФДФ)「これは……聖アガメマス教会の聖伐軍だ!」
(;ФAФ)「なんや物騒ねぇ」
(ーωー;)「母さん、しゃがんで!」
しかし聖伐軍の騎士達は傍聴席の民衆には一切手を出すことはなく、勇者達が座る円卓を囲った。
[━聖━ ]「市民の皆様、ご心配はいりません!先ほど高弟様より、緊急事態の報告がありました!」
(゜∀゜ )「……緊急事態だと?」
[ ━聖━]「はっロナルド様!聖アガメマス教徒でありながら、女神様の教えに背く"異端者"が帝国議事堂を乗っ取っているとの報告です!」
(^ω^ )「へぇ~~」
(’A` )「誰?」
[#━聖━]「貴様らだ、"勇者"!」
(゜、゜*)「異端というより異世界人なのよ」
(・∀・;)「というか、俺達は別に聖アガメマス教徒でもなんでも……」
674 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/02(火)23:00:00.00 ID:1399336
【回想】
(ФωФ;)『……大天使様に召喚されたんだから、勇者様はもう聖アガメマス教徒ですよ?』
( ・∀・)『本人の同意は?』
(ФωФ )『要りません!』
( ・∀・)『そっちが言うんだ』
675 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/09/02(火)23:00:00.00 ID:1399336
(・∀・;)「あっ!」
[#━聖━]「"勇者"!……いや、もはや貴様らは"伝説の勇者"ではない!マルク帝国の有力者を唆し、秩序ある世界を堕落へと導かんとする"悪魔"である!」
[#━聖━]「女神様の名の下に成敗してくれる!」
(^ω^ )「勝手に決めんなって」
(’A` )「俺達別に入信も背信もしてないんで」
(゜∀゜.*)「あっはっはっは!長話に付き合って頂きありがとうございました!おかげで聖伐軍を配備する時間が稼げましたよ!」
(゜、゜*)「……今更こんなコトして、失った信頼は戻らないわよ?」
(゜∀゜.*)「はっはっは!そんなモノは不要です!"女神様の加護"さえあれば、どうせ誰も教会に逆らえません!」
( ゜∀゜)「ふん、忘れたか?その女神を勇者は倒したんだぞ?」
(゜∀゜.*)「ええ!ですから聖伐軍が相手をするのですよ!」
( ゜∀゜)「……は?」
(゜∀゜.*)「勇者。かつてアナタ達が王宮から脱走した時のこと、覚えていますよ」
(゜∀゜.*)「アナタ達は近衛兵に対して攻撃しなかった。我々を倒せる力を持っているにもかかわらず……です」
(;・∀・)「……!」
(゜∀゜.*)「そして、その後も帝国兵や聖伐軍へ一度も攻撃の姿勢を見せることなく……アナタ達は再び戻ってきました。なんとも遠回りな方法でね」
(゜∀ー.*)「そこでピンときましたねぇ……」
(゜∀゜.*)「"不殺"という枷をつけているとね」
(゜、゜;)「……ちっ!」
(゜∀゜.*)「やはり、ですか。まぁ、お気持ちは分かりますよ」
(゜∀゜.*)「血に染まった姿で彼女に再び会いたくないと、そういうことでしょう?」
(;・∀・)「……」
(゜∀゜.*)「最後の選択です。選ぶのは"勇者"、アナタ達です」
(゜∀゜.*)「聖伐軍に手をかけ、その汚れた手で修道女に再会するか……」
(゜∀゜.*)「ここで死ぬか」
( ^ω^)「え、普通に殺すけど」
(゜∀゜.*)「……」
(゜∀゜.;)「え?」




