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選帝会議 その⑪

【選帝会議出席者紹介】

(゜∀゜,)【マルク帝国 第13代マルク皇帝】

(゜∀゜.)【聖アガメマス教会高弟 ドナド】

(゜∀゜ )【次代皇帝候補 ロナルド】

(・ハ・王)【西ゼリヤ国王 ミラノフ=ウリアード一等侯】

( ^⊿^)【フィオレ国王 フィオレ=イシュ一等侯】

(´∀`王)【ハッシュ国王 ハッシュ=ポート一等侯】

(・E・ )【東部諸侯議会代表 マキャリテ二等侯】

(´L` )【立法長官 ツグマツ元老院長】

(-Дーイ)【行政長官 シャカ執政官】

(゜Д゜ム)【司法長官 シェイク法務官】

[━T━ ]【帝国軍総司令官 コンタレス将軍】

从*・⊿・从【獣人代表 ヨイノマの巫女】

( ●ハ●)【エルフ代表 マナグム長老】

( ^ω^)【戦士(ウォリアー)

 ( ’A`)【魔法使い(ウィザード)

(゜、゜*)【盗賊(シーフ)

( ・∀・)【道化師(クラウン)


666 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336



【帝都ドナド 帝国議事堂】



(#゜∀゜)「異端が家畜以下だぁ!?お前、自分がなに言ってるか分かって……」



(゜∀゜.)「みなさん。これから"秩序"の話をしましょう」



(゜∀゜.)「個々人の感情や快‐不快ではなく、理性と論理に則ってね」



(#゜∀゜)「話を聞け!」



(゜∀゜.)「落ち着きなさいロナルド。そんな感情的な人間を相手に会話などできませんよ」



(#゜∀゜)「あぁん!?」



(゜、゜*)「ゴメン、ちょっと堪えて」



(#゜∀゜)「だがよぉ!」



(゜、゜*)「ドナド……続けていいわよ、私達が聞くから」



(゜∀゜.)「ほほほ。会話が成り立つ方がいてありがたいですね」



( ●ハ●)「しかし、大量殺人を主導した人間が"理性"を口にするか」



(゜∀゜.)「殺人ではありませんよ?人間は殺していませんので。そうですね……害獣駆除が近しい認識でしょうか。ほら、貴方がたエルフにおける、ゴブリンのような存在ですよ」



(;●ハ●)「……!?」



(゜∀゜.)「そも、物事には原因があり、理由があり、為されるのです。たしかに命を素材にするというのは、衝撃的かもしれません」



(゜∀゜.)「故に私の話に耳を傾け、頭で理解したならば、心よりご納得頂けるでしょう」





667 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336



(゜∀゜.)「原初、世界は混沌でありました」



(゜∀゜.)「人々は皆、好き勝手に動き、互いに争い合った……"死への不安"が常に人々の側に寄り添っていた時代です」



(゜∀゜.)「そんな混沌を終わらせたのがマルク帝国、そして聖アガメマス教会です。初代マルク皇帝の下に世界は統一されました。しかし、統一されたのは政治体や国境線だけではありません」



(゜∀゜.)「帝国は政治体系を、法律を、経済を、軍を、言語を、長い年月をかけて統一していきました。東西南北どこを旅しても、人々は同じ言葉を喋り、同じ法に服しています」



(゜∀゜.)「だからこそ、こうして世界各国の王と皇帝、そしてエルフや獣人までもが一堂に会して、議論を行うことだってできるのです」



(゜∀゜.)「これは、とても平和的で、一応は秩序立っていると言っていいでしょう」



(゜∀゜.)「しかし!しかしですよ、まだ十分ではないのです!帝国の、世界の秩序はまだ完全に整ってはいない!その理由は……」



(゜∀゜.)「いまだ"信仰"の統一が為されていないからです!"信仰"の統一こそ、真の秩序形成なのです!」



 ( ’A`)「信仰が?」



(゜∀゜.)「ええ!"信仰"とは、屹立する個人を支える灯芯(とうしん)!行動指針であり、規範であり、倫理観であり、美であり、良心であり、罪悪感!」



(゜∀゜.)「信仰を同じくする者は、世界の見方が同じが故、信仰の統一が果たされたならば、人々は強い結束で結ばれ、互いに思いやり、感謝と慈しみに満ちた、平和な生活を送れるでしょう!」



( ^ω^)「体育祭を前にクラスの皆で団結するようなモンか?」



(゜、゜*)「まぁアレも一種の秩序でしょうけど」



 ( ’A`)「馴染めない奴もでてくるんだよなぁ……」





668 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336



(゜∀゜.)「だがしかし信仰には──それの"統一"こそが、平和の要であるのに──二つの厄介な特性があるのです。ひとつは常に変化し、無限に分化するということ」



(^ω^ )「分化ってなに?」



( ・∀・)「同じクラスでもさ、男子グループと女子グループに分かれるし、その中でも陽キャと陰キャに分かれるじゃん?」



( ・∀・)「そんな感じ」



(^ω^ )「なる」



(゜、゜*)「もうその例えでいくのね」





669 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336



(゜∀゜.)「──そしてもうひとつは、多様性を認めないということ」



(^ω^ )「これは?」



 ( ’A`)「陽キャと陰キャって相容れないだろ」



(^ω^ )「ああ」



(゜∀゜.)「──これらはやがて、隔絶・対立を生み出すのです」



(^ω^ )「@道化師」



( ・∀・)「『ちょっと男子ぃ~~!』」



(^ω^ )「完全に理解したわ」



(゜∀゜.#)「嘘をつくな!」





670 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336



【帝都ドナド 帝国議事堂】



从*・⊿・从「……まぁ、お前からすりゃ、全人類が聖アガメマス教会に従っとる方が都合がいいじゃろうが」



从*・⊿・从「というコトはなんじゃ?わしら獣人も"聖なる装束"の素材として見とるってコトか?」



(゜∀゜.)「いえいえ、獣人やエルフといった"準市民"は、まだよいでしょう。それらは端から秩序の外側にいますからね。ただ、その地に住む野生動物と同じです。害を及ぼさないなら、どうでもいいです」



从#・⊿・从「殺すぞ」



( ●ハ●)「落ち着け、ただの挑発だ」



(゜∀゜.)「しかし問題は"秩序"の恩恵を享受しながら、"秩序"を乱す者……異端信仰などはその筆頭!」



 ( ’A`)「疑問なんだけどさ、キリスト教って、なんで異端信仰に厳しかったんだ?イスラム教とかの異教徒を敵視するのは分かるけど」



( ・∀・)「2組の奴が『2組最高ーー!』って言うのは分かるじゃん。2組は白組で敵だけどさ、まぁ言ってることは理解はできるじゃん」



(^ω^ )「俺は1組ってコトでいい?」



( ・∀・)「うん。でさ、同じ1組の陰キャがさ『体育祭めんどくせぇ~~』とか言ってたら、理解できないしムカつくじゃん?みんな応援合戦の練習頑張ってんのに、勝手に帰ったり手を抜いたりとかさ、意味わかんなくない?」



 ( ’A`)「俺陰キャ側だったわ」



(^ω^ )「俺も体育祭出たことないから気持ち分からん」



(;・∀・)「あれ!?俺が異端側!?」



(゜∀゜.)「……大人しく心の内に秘めているだけなら、なにも言いませんがね。徒党を組み、歪んだ解釈を広め、あろうことか『聖アガメマス教会は間違っている』などと主張する、頭の痛い連中です」



 ( ’A`)「陰キャが手を組んだか」



(^ω^ )「体育祭当日は教室でモンハンしてたわ」



( ・∀・)「平成レトロ文化じゃん、なっつ」



(゜、゜*)「その例えはいつまで続くのよ」



(゜∀゜.)「そんな連中の代表例が"魔王"でしょう。奴も元々は聖アガメマス教会の信徒でしたが、歪んだ思想に染まってしまったために、戦争などという馬鹿げた行動に出た」



(゜∀゜.)「その結果、多くの人々の命が奪われ、経済は停滞し、文化は失われた。勇者、あなた達だってその被害者です」



(;^ω^)「え?俺達なんか関係あったっけ?」



(゜、゜;)「魔王が前代の"形代の女神"を倒したから、私達がこの世界に召喚されたんじゃない」



( ^ω^)「あ、そっかぁ」



 ( ’A`)「俺は半分くらい恩を感じてるけどな」



(゜∀゜.)「……勇者よ、先程から、ちゃんと話を聞いているのですか?」



( ・∀・)「まぁ、つまり世界秩序にとって、"信仰"が違う異端者は邪魔だから、本格的に帝国に害をなす前に"聖なる装束"の素材にしますって話だよね」



(゜∀゜.#)「ちっ!」



( ・∀・)「まぁ"信仰"の統一が大事って部分は理解できるよ。みんな同じ価値観なら仲睦まじく過ごせるってのはそう。でも、それに馴染めない人は絶対に出てくるよ」



(゜∀゜.)「ええ、その為にも"形代の女神"が必要なのです。それ(・・)に対処する為に」



( ・∀・)「なるほどね」



(゜∀゜.)「ふふ、道化師さん、あなたは少し話が分かるようですね?」



(゜∀゜.)「……私は、世界とはひとつの白いキャンパスのようなものだと思っています」



( ・∀・)「へぇ~キャンバス?」



(゜∀゜.)「ええ、そして個人は絵筆。人々はキャンパスに自由に絵を描いていきます。しかし各々が勝手に絵筆を走らせれば、キャンパスの上は絵の具でぐちゃぐちゃになってしまう。これが混沌、原初の世界です」



(゜∀゜.)「であれば"秩序"とは、どういう状態だと思いますか?」



( ・∀・)「……う~ん」



( ・∀・)「まぁ。誰かが絵筆を操って、ちゃんとした絵が描かれてる状態……かな?」



(゜∀゜.)「ええ、それは"理想"ですね。たしかに、私もできればそれが良いと思いますよ」



(゜∀゜.)「しかし、絵筆を、人を操るコトができるのは"神"だけです。人が人の行動を完全に統制することはできない。どこかに混沌が生じる」



(;・∀・)「はぁ……」



(;・∀・)「それならドナドさん、あなたの考えは?」



( ・∀・)「あなたが築く"秩序"とは?」



(゜∀゜.)「"秩序"とは……」





671 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/31(日)18:00:00.00 ID:1399336





(゜∀゜.)「"秩序"とは、キャンパスを黒一色に塗り潰すことです」



(;・∀・)「……」



(;ー∀ー)「清々しいね」




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