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選帝会議 その⑩

662 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/28(木)18:00:00.00 ID:1399336



【帝都ドナド 帝国議事堂】



(´・ω・)「やぁ。勇者、ご依頼者様(・・・・・)



(´L`;)「また乱入者か!警備兵はマジでなにしてるんだ!」



(´・ω・)「いやいや。僕は勇者に情報を持ってきたですよ。それ自体は悪いことではないでしょう?」



(´L`#)「乱入してくるのが悪いんですよ!」



(゜∀゜.#)「諜報員!貴様……裏切ったのか!」



(´・ω・)「いいえ、裏切ってなんかいませんよ」



(´・ω・)「最初から勇者の仲間だっただけです」



(゜∀゜.#)「嘘をつくな!勇者が召喚される前からの知り合いでしょう!」



( ゜∀゜)「おや、そいつはドナド兄貴の知り合いなのか?」



(゜∀゜.;)「ハっ!あ……まぁ、そんな深い付き合いはありませんがね」



(´・ω・)「お得意様です。情報屋としての」



( ゜∀゜)「バリバリ懇意にしてるじゃねぇか」



( ゜∀゜)「……なにか隠してるな、兄貴」



(゜∀゜.)「私はなにも隠し事などしていません、女神様に誓って!」



( ゜∀゜)「そうか。それじゃあ諜報員。勇者に持ってきたって情報、今ここで話してもいいぞ」



(´L`;)「ロナルド様!!」



(´・ω・)「いいの?」



( ゜∀゜)「いいぜ。初めての皇帝特権だ」



( ゜∀゜)「ただし、元老院長の指摘も尤もだ。情報だけ話したら、さっさと退場するんだな」



(´・ω・)「まぁ、そのつもりはないよ」



(゜∀゜.#)「……」



;´・ω・)「長居してたら殺されそうだし」





663 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/28(木)18:00:00.00 ID:1399336



(´・ω・)「情報というのはですね。女神様の衣装・"聖なる装束"についてです」



(゜、゜*)「魔王と戦う時に修道女ちゃんが来てた奴ね」



(´・ω・)「うん。"形代"に選ばれた少女は"聖なる装束"を身につける規律があってね」



(゜Д゜ム)「まぁ"形代"と呼ばれるくらいだ。女神様の姿に似せるのは不自然でもないだろう」



(´・ω・)「ええ、それ自体は特別おかしなコトじゃありません」



(´・ω・)「ただ"聖なる装束"には面白い素材が使われていましてね」



(゜Д゜ム)「素材?」



(´・ω・)「女神の純真を表す銀の(サークレット)。その素材は"リール(すみ)"」



(´・ω・)「清貧を示す麦藁(むぎわら)のサンダルには、"凰麦(おうつむぎ)"」



(´・ω・)「そして博愛の象徴・赤きネックレスは、"賢者の石(ターピュライト)"から作られる」



从;・⊿・从「ほぇぇどれも伝説と呼ばれる素材ではないか。教会はよく見つけたもんじゃのう……」



 (;’A`)「おい、ちょっと待て!"賢者の石(ターピュライト)"……ってまさか!?」



(´・ω・)「そう。これらの素材には共通点があってね。ひとつは"無尽蔵の魔力を秘める"という伝説があること」



(´・ω・)「そして、もうひとつは」



(´・ω・)「"人の命から造られること"」





664 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/28(木)18:00:00.00 ID:1399336



(´L`;)「ひっ……人の命から造られる?」



(゜Д゜;ム「なんだ、それは!?そんなモノが、この世に存在するのか?」



(´・ω・)「ええ。"リール(すみ)"は人体が炭化したもので、"凰麦(おうつむぎ)"は生気を吸って育ちます」



(´・ω・)「"賢者の石(ターピュライト)"も人の血命が結晶化した宝石です……それも大量のね」



(゜Д゜;ム「……」



(;^⊿^)「むごい……そんなの伝説ではない。呪いの素材じゃないか」



(´∀`;王「い、いやいやフィオレ殿!それも伝説だろう!」



(´・ω・)「本当ですよ。高弟様からの依頼で僕が回収(・・)したのですから」



(´∀`;王「!」



(´・ω・)「いやぁ、本当に高弟様は流石ですね。そんな伝説の素材が眠っている場所を、正確に把握されてるなんて」



 (;’A`)「……なるほど、そうか。分かったぜ」



( ^ω^)「なにが?」



 (;’A`)「教会の神官が、魔力消費の多い回復魔法を大量に使える理由だよ。修道女だって、俺達に回復魔法を使った後も特に疲れてる様子はなかっただろ?」



( ^ω^)「あぁ、たしかに」



 (;’A`)「その理由は女神の力なんかじゃない……」



 (;’A`)「女神が身に着けてる"聖なる装束"から出る無尽蔵の魔力!それが回復魔法の源泉だったんだ!」



(;^⊿^)「!!」(・ハ・;王

イ;-Дー)「!!」(´L`;)

王;´∀`)「!!」(゜Д゜;ム



(,;゜∀゜)「ドナド……まさかお前!」



( ∀ .)「………………」





( ー∀ー)「……情報提供、感謝する諜報員。もう大丈夫だ」



( ゜∀゜)「下がっていいぞ」



(´・ω・)「ええ。さっさと逃げさせてもらいます」





665 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/28(木)18:00:00.00 ID:1399336



【帝都ドナド 帝国議事堂】



( ゜∀゜)「なるほどなるほど……諜報員の話をまとめると、現状の回復魔法は他人の命を使って成り立ってるってコトか」



(#゜∀゜)「胸糞悪い話だな?おい」



イ;-Дー)「そ、そんな……それじゃ回復魔法の意味がないじゃないか!」



(゜Д゜;ム「"意味がない"どころの話ではないだろう!明らかに倫理的な問題がある!大人数の命から出来た素材を使った儀式など!」



王;・ハ・)「待て、それだけではないぞ法務官殿。"形代"として少女を女神様に仕立てるのは帝国建国から続いている儀式なのだろう?」



王;・ハ・)「ということは"形代"にも代替わりのようなモノがあったということだ……この度、魔王に女神様が倒され、新たに"形代"が生まれたように」



(゜Д゜;ム「……ハッ!」



( ・∀・)「なるほど、それはたしかに妙ですね」



( ・∀・)「どうして聖アガメマス教会は、新しく"形代の女神"が生まれる度に、都合よく"聖なる装束"に必要な素材を集めることができたのでしょうね?伝説と呼ばれるような代物なのに」



(゜∀゜,;)「て、帝国の情報網を使ってだな……」



(;・∀・)「いや、無理でしょう。そもそも大量の人の命から出来た素材ですよ……?」



( ・∀・)「人為的に造ろうと思わなければ、見つかりませんよ」



(゜∀゜,;)「ぐッ!」



(´L`;)「と、ということは聖アガメマス教会が?いや、まさか」



(゜、゜*)「……ふつう、素材なんかを手に入れた時は"採取"だとか"収集"という言葉を使うでしょう?」



(゜、゜*)「でも彼は"回収"と言った。つまり、それが答えよ」



(´L`;)「……」



( ー∀ー)「……」



( ゜∀゜)「……兄貴、流石の俺もこれは見過ごせねぇよ」



( ゜∀゜)「弁明はあるか?」



( ∀ .)「………………」



(゜∀゜.)「……ふぅ、なにを彼の話を真に受けているのですか皆さん」



(゜∀゜.)「聖アガメマス教会が、人間(・・)の命を奪うような真似をするワケがないでしょう」



( ゜∀゜)「伝説の素材は、どこからか勝手に生まれたと?」



(゜∀゜.)「いえ。教会が伝説の素材を造っています」



(゜∀゜.)「ですが、素材を造るのに使われてるのは、たかだか秩序に不要な異端者(・・・)異教徒(・・・)の命なのですよ?」



( ゜∀゜)「……はぁ?」



( ^ω^)「なに言ってんだ?」



(゜∀゜.)「聖アガメマス教会の信徒以外は人間(・・)ではないのですよ?家畜以下、虫や草木と同じです」



(゜∀゜.)「それ(・・)をどう使おうが、なにも問題はないでしょう?」




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