選帝会議 その⑧
【選帝会議出席者紹介】
(゜∀゜,)【マルク帝国 第13代マルク皇帝】
(゜∀゜.)【聖アガメマス教会高弟 ドナド】
(゜∀゜ )【次代皇帝候補 ロナルド】
(・ハ・王)【西ゼリヤ国王 ミラノフ=ウリアード一等侯】
( ^⊿^)【フィオレ国王 フィオレ=イシュ一等侯】
(´∀`王)【ハッシュ国王 ハッシュ=ポート一等侯】
(・E・ )【東部諸侯議会代表 マキャリテ二等侯】
(´L` )【立法長官 ツグマツ元老院長】
(-Дーイ)【行政長官 シャカ執政官】
(゜Д゜ム)【司法長官 シェイク法務官】
[━T━ ]【帝国軍総司令官 コンタレス将軍】
从*・⊿・从【獣人代表 ヨイノマの巫女】
( ●ハ●)【エルフ代表 マナグム長老】
( ^ω^)【戦士】
( ’A`)【魔法使い】
(゜、゜*)【盗賊】
( ・∀・)【道化師】
654 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/26(火)18:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
(゜∀゜.)「"女神様の加護"……それは強大な武力だけではありません。回復魔法という、人々を癒やす聖なる力もまた、"加護"なのです」
(゜∀゜.)「"形代"を廃するというのは、その"加護"を失うということ。武力に関してはアナタ方が代わりになる。それは分かりました」
(゜∀゜.)「では回復魔法はどうなるのでしょう」
(゜∀゜.)「ここにいる皆様、全員が回復魔法の恩恵を享受している。もしそれが失われれば、どうなるか分かりますよね?」
(王´∀`)「そりゃもう。どんな怪我や病気だって、聖アガメマス教会の神官さんに回復してもらえるんだ。ウチの街の神殿は毎日参拝客でいっぱいだよ」
(-Дーイ)「鉱山や工場、建築現場でも神官様が常駐していますからね。回復役がいるいないで、労働災害による死者の数が段違いですから」
(王・ハ・)「回復役のいない軍隊など考えられぬな。兵士は皆、『死ななければどうにでもなる』という安心があるからこそ、勇猛果敢に戦えるのだ」
(´L` )「私の母も毎月、教会で治療を受けておりますよ。もう齢70にもなるのですが、回復魔法があればこそ、ここまで長生きできているのでしょうな」
(王・ハ・)「こうして考えると……うむ、なるほど。民衆にとっては回復魔法こそ"女神様の加護"を実感する瞬間かもしれませぬな」
(゜∀゜.)「ふふふ、ミラノフ殿。その通りですよ」
(゜∀゜.)「祭司が患部に手を当てると、たちまち傷が癒えていく……そんな奇跡の力を一度でも経験した者は、自身が女神様に守られていることを実感するでしょう」
(゜∀゜.)「そう。これが、これこそが秩序を守る"善き民"を作り出すのですよ、ロナルド」
( ゜∀゜)「……どういうことだ?」
(゜∀゜.)「武力によって、現状の帝国秩序を壊さんとする"敵"を牽制する。たしかにこれも秩序を守るひとつの、そして重要な手段です」
(゜∀゜.)「ですが、そもそもの話。帝国の"敵"はどのように生まれるのでしょうか……細々と枝葉末節を挙げればキリがありませんが、根本は単純です」
(゜∀゜.)「"死への不安"。これが秩序を壊し、混沌を生む原因です」
( ゜∀゜)「……まぁ、例えば、貧困で食うモンも無い人間が政治に不満を抱くのも無理はねぇ……そして、なんでソイツが貧しいのかと言えば、自分や家族の病気や怪我が原因ってコトか?」
(゜∀゜.)「ええ。聖アガメマス教会はそういった不安の種を、回復魔法を使って草の根で一つ一つ取り除いているのですよ」
(゜∀゜.)「そして民は気づくのです。自分達がマルク帝国に従う限り『病気や怪我で、死ぬことはない』……"不安"はないのだと。だからこそ秩序を守ろうとするのです。帝国や教会がなくなれば、そこは"死への不安"が蔓延る、混沌の世界なのですから……」
655 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/26(火)18:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
( ー∀゜)「ふむ……」
( ゜∀゜)「兄貴の言いたいことは分かった。回復魔法が、この世界の秩序を守るために果たしてる役割はかなり大きい。そして、それを失う事は影響が大きすぎる」
(゜∀゜.)「物分りはいいですね。ですから教会を変革し、"形代"を廃するなどという馬鹿げた行為は……」
( ゜∀゜)「でもよ。"形代"をなくしたところで、女神サマが居なくなるワケじゃないだろ?女神サマがいる限り、"加護"はあるんじゃないのか?」
(゜∀゜.)「女神様の力が失われることなどありえません。ただ、聖アガメマス教会のは"形代"の存在を前提としたもの。信仰の先を変えてしまえば、既存の"加護"とは別モノになってしまうのが道理です」
( ゜∀゜)「……そうかい」
(゜∀゜.)「さて、勇者よ。もう一度お聞きします。アナタ達は当然、回復魔法が使えなくなる問題への解答を考えていますよね?」
( ^ω^)「ないです」
(゜∀゜.)「えっ?」
( ^ω^)「考えてないです」
( ^ω^)「まぁ、なんとかなるんじゃないスかね?」
(゜∀゜.)「議論で『なんとかなる』が許されると思ってんのか」
(´L`;)「……えっ本当に考えてないんですか?」
(;’A`)「いやぁ、いま聞いた話ぜんぶ初耳なんでね」
(;’A`)「まぁ~~つまるところ女神様っていう仕組みの大元はそのままだから、多分システム移行それ自体に問題はないとは思うんですけど」
(゜∀゜.)「女神様をシステムで括るんじゃない」
(;・∀・)「正直、現時点では正式な回答はできかねますね。一度持ち帰りの宿題とさせて頂いて、後日改めて回答するということで……」
(゜∀゜.)「……はぁ、なにを悠長なコトを言っているのだ?」
(;・∀・)「うっ」
(゜∀゜.)「私がここで明らかにさせたいのはですよ、勇者。貴様らが"新しい秩序を作り、世界を守る"と豪語するに足る信用があるか否かなのです」
(゜∀゜.)「私は貴様らが掲げる世界秩序に現状の立場から疑問を投げかけた。それに対して、貴様らは『考えていない』と答えた」
(゜∀゜.)「あぁ……なんという浅慮!ろくに教会や"加護"に関する下調べもしていない……そんな者が作る"新世界秩序"とやらが、本当に世界の為になるとは思えませんな!」
(゜∀゜.)「さて出席者の皆様。"形代"に対する倫理上の疑問はあるでしょう。しかし"形代"となる少女は、世界の平和の為にそれを望み、聖アガメマス教会は、その覚悟を手助けしているに過ぎないのです」
(゜∀゜.)「そして"形代"を礎とした秩序によって、我々はマルク帝国という千年帝国の民として平和を享受してきたのです。我々、聖アガメマス教会も女神様の手足として、回復魔法を通じて人々の命を守る手助けをしてきました」
(゜∀゜.)「しかし回復魔法のない"新世界秩序"では、人の命が守られているとは言えません!ですから皆様、勇者の構想を受け入れる前に、いま一度再考を!」
(゜∀゜.)「どのような命も等しく尊く失われてはなりません!」
(´L`;)「むう、たしかにドナド様の言うことも尤もではあるな」
王;・ハ・)「ええ。回復魔法が失われるとなれば、世界は180度変わってしまう。我が国としても、それは困りものだ」
(゜Д゜;ム「し、しかし。その為に身を捧げる少女が居るというのは、見過ごせませんぞ?」
イ;-Дー)「とは言うが、回復魔法がなければ多くの人々が死んでしまうぞ。それに、ドナド様が言っていたじゃないですか。少女は別に死んでもいないのです」
(´L`;)「そう……ですな。"形代"である少女が聖アガメマス教会で適切に管理されているのであれば……問題ないのでは?」
(;^ω^)「あぁっ!皆様の心が俺達から離れていらっしゃる!」
(;’A`)「なんか、なんか言い返せないか!?ドナドを論破できる一発逆転のなにか!」
(゜、゜*)「修道女ちゃんを助けた後も回復魔法が使えるって証拠を示せばいいんじゃない?」
(;’A`)「その証拠がねぇんだよ!」
(;・∀・)「……ハッ!そうだ、水の天使!こういう時に役立つことを教えてくれるのが水の天使じゃないか!」
[●皿●天]「Fatal System Error」
(;・∀・)「クソ役に立たねぇッ!」
656 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/26(火)18:00:00.00 ID:1399336
ミ ω )「待てぇいッ!」
(゜∀゜.)「!……どちら様だっ!?」
(^ω^;)「この声は……!」
ミ ゜ω゜)「高弟ドナド!お前の言っていることは間違っている!」
(^ω^;)「ブルボンゴ君!!」
(’A`;)「会議中に半裸の男が乱入してくることの方が間違ってると思うぜ俺は!」




