選帝会議 その③
【選帝会議出席者紹介】
(゜∀゜,)【マルク帝国 第13代マルク皇帝】
(゜∀゜.)【聖アガメマス教会高弟 ドナド】
(゜∀゜ )【次代皇帝候補 ロナルド】
(・ハ・王)【西ゼリヤ国王 ミラノフ=ウリアード一等侯】
( ^⊿^)【フィオレ国王 フィオレ=イシュ一等侯】
(´∀`王)【ハッシュ国王 ハッシュ=ポート一等侯】
(・E・ )【東部諸侯議会代表 マキャリテ二等侯】
(´L` )【立法長官 ツグマツ元老院長】
(-Дーイ)【行政長官 シャカ執政官】
(゜Д゜ム)【司法長官 シェイク法務官】
[━T━ ]【帝国軍総司令官 コンタレス将軍】
从*・⊿・从【獣人代表 ヨイノマの巫女】
( ●ハ●)【エルフ代表 マナグム長老】
( ^ω^)【戦士】
( ’A`)【魔法使い】
(゜、゜*)【盗賊】
( ・∀・)【道化師】
639 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/17(日)22:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
( ゜∀゜)「……さて、これで晴れて俺の即位が決定したワケだ。そんで早速だが、皇帝即位後に取り掛かりたい事について議論させてもらいたい」
武王はそう言って、勇者達と考えた《新世界秩序構想》を概要を皆に説明した。
《新世界秩序構想》
・国名を"マルク帝国"から"神聖マルク帝国"へと変更!
・勇者四名による安心安全な警備保障!
・獣人、エルフを初めとした亜人種の権利拡大!
・現行の社会システムの枠組みはそのまま!民衆に負担のない移行を実現!
・皇帝の諮問機関として新たに"円卓会議"を設置!
・聖アガメマス教会を帝国の管理とし、教会庁を設置!
・聖アガメマス教の聖典・"預言書"の編纂事業を発足!
・スローガン:Create New Order~変わる世界で、変わらぬ平和~
(゜∀゜.)「ふむふむ。いいスローガンですね」
(*・∀・)「ホントですか!?」
(;’A`)(マジで言ってんのかコイツ……)
(゜∀゜,)「おい、ロナルド。こんなコトは即位した後にお前主導で進めればいいだろう。何故ここで議論する必要がある?」
( ゜∀゜)「おっ兄貴。俺を弟と認めてくれたか?」
(゜∀゜,)「便宜を図っているだけだ」
(;゜∀゜)「ああ……そうかい」
( ゜∀゜)「つっても、ここで議論する理由は結構単純だ。丁度、帝国内の有力者が雁首を揃えてる訳だ。別個で会議を開くより経済的だろ?」
( ゜∀゜)「それに、元皇帝として、兄貴の意見も取り入れたいからな」
(゜∀゜,*)「……お前」
( ゜∀゜)「のちのち守旧派の連中を取り込む時に、兄貴が合意したっつー事実があるとスムーズだからな」
(゜∀゜,#)「けっ!」
( ・∀・)(……まぁ、それも表向きの理由なんだけどね)
( ・∀・)(俺達の最終目標、それは『皇帝交代』じゃなく『修道女を助けること』だ)
( ・∀・)(その為には、ここ帝都にある聖地・聖アガメマス教会総本山へ入って、そこで眠っているらしい女神を叩き起こす必要がある)
(゜、゜*)(総本山の社屋に侵入するくらいは簡単だけど、問題は女神の御本尊がどこに安置されてるか全く分からないことね。おそらく、かなり厳重に管理されてるはず)
(’A`;)(ただ、そんな重要な場所に、あの皇帝の弟が簡単に連れてってくれるとは思えねぇ……アイツは俺達が修道女を助けようとしてるコトに勘づいているしな)
( ^ω^)(だからあの坊さんを、教会トップ、高弟の地位から引きずり降ろす必要があるんですね)
( ^ω^)(そうすりゃ俺達は自由に総本山出入りできるし、女神の前まで行ける)
(’A`;)(だけど皇帝を代えただけじゃあ、ドナドは依然として教会の長に居座り続ける。なぜなら現状、教会の人事は帝国から独立しているから)
( ・∀・)(そこで重要になるのが《新世界秩序構想》の中の『教会庁設置』!)
( ・∀・)(なんとしてでも教会を皇帝の管理下に置き、武王が教会人事に口出しできる体制を作る、という内容で合意を得る!そうして初めて、ドナドの地位が揺らぐ!)
(゜、゜*)(問題は、議場にいる国王や官僚達にとって、現状の聖アガメマス教会に対する改革は、あまり重要でないコトね)
(゜、゜*)(単純に主張しても、ドナドは絶対に反対するでしょうね。そのときはフィオレで"形代の女神"に襲われたコトを徹底的にあげつらってやるけど)
(;ー∀ー)(……皇帝の独断なのか、ドナドが唆したのかは判断できないし、全責任が皇帝におっ被せられる気がする。どうせ島流しだし)
(;・∀・)(どちらにせよ、なんとかしてドナド以外を味方につける必要がある……んだけど……)
640 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/17(日)22:00:00.00 ID:1399336
(´L` )「ロナルド様、この"円卓会議"とはどのようなものでしょうか?」
(゜∀゜,)「皇帝の諮問機関なら、既に元老院がその役目を負っているではないか」
( ゜∀゜)「先ほどミラノフ侯からお叱りを受けたばかりだろう。現状の元老院では、諮問機関として十分に機能しているとは言えない。故に……」
(´L` )「ふむ……それでは……」
(王´∀`)「しかし、それでは……じゃないか?」
(゜Д゜ム)「そこは……すれば……どうでしょう」
( ゜∀゜)「なるほど、それはいいんじゃないか」
641 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/17(日)22:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
(;・∀・)(いまは別の議論が進行しちゃってる。変に議題を変えるのも不十分だし……ここは議論がまとまるか、教会庁設置の話題が挙がるか、待つしかないか)
( ゜∀゜)「……まとめると、"円卓会議"は、皇帝、諸侯、官僚の身分の別なく、"平等"な立場で意見を交わす場として開かれる」
( ゜∀゜)「そして"円卓会議"のメンバーは、この選帝会議の出席者から勇者を除いた13名としたい」
( ゜∀゜)「異存はないか?」
(´L` )「……」(゜Д゜ム)
(-Дーイ)「……」(゜∀゜.)
( ・∀・)(お、議論が終わりそう。さっそく教会庁の話題を)
(゜∀゜,)「……その"平等"にはエルフや獣人も含まれると?」
(;・∀・)(ありゃ)
( ゜∀゜)「無論だ。問題か?」
(゜∀゜,)「問題、と言われるとそうでもないが……性急だな」
从*・⊿・从「性急?どういうことじゃ」
(゜∀゜,)「……シェイク法務官。説明を」
(゜Д゜ム)「そうですね……まぁロナルド様の掲げる『獣人、エルフの権利拡大』。この構想自体は大変有意義なものだと思います」
(゜Д゜ム)「人間と対立していた歴史があるとは言え、人間社会に参画している獣人は年々増えていますし、エルフとの戦争は数百年も前の事です」
(゜Д゜ム)「よって現状エルフや獣人に与えられている『帝国準市民』の身分を『帝国市民』に引き上げ、帝国民の"平等"を実現する……と、できてここまでですね」
(゜Д゜ム)「"円卓会議"の出席者とするには早すぎます。民衆の理解が得られず、新しい火種を生みかねません」
(;゜∀゜)「そこまでか?少数派の意見も聞こうってだけなんだが」
(゜∀゜,)「その少数派が、他にどんだけ居んだって話だよ」
(;゜∀゜)「……あ」
(゜Д゜ム)「マルク帝国は同質性の高い"人間"の国家ですが、それでも人間同士の少数派グループがかなりの数存在します。代表的なのは帝国東部、旧魔王支配地域の"魔族"ですが、フィオレ王国やハッシュ王国にも自治権を認めている部族がいますね」
(王´∀`)「ウチだとブディルモ諸島とかな。島と大陸じゃあ文化が違うし」
(゜Д゜ム)「それでは、新しく『帝国市民』となったエルフや獣人が"円卓会議"出席者として選ばれたとしましょう。すると魔族や島嶼部住民は、次のように考えるでしょう」
(゜Д゜ム)「『なぜ我々を差し置いて、少し前まで準市民だった者が、"円卓会議"に出席できる"特権"を手に入れているのか』」
从;・⊿・从「それは……たしかに不満を持つ人間も出てくるじゃろうな」
(゜Д゜ム)「ええ。たしかに円卓の上では"平等"かもしれません。しかし円卓に座れる者と座れない者という"格差"が生じてしまう」
(゜Д゜ム)「然るに、特定のグループに依拠する出席者の指名は性急かと」
(;゜∀゜)「なるほどな。そこまで考えられてなかった。早速ありがたい意見、感謝するぜ、兄貴」
(゜∀゜,)「ふん。あまりにも理想論だったからな。少々現実を見せただけだ」
(王・ハ・)「であれば我々一等侯家も、出席者に加えるのは難しいかの?」
(゜∀゜,;)「アンタらはいいよ……要は実績、民衆に認められるかだ」
(´L` )「帝国市民となればエルフや獣人にも参政権が与えられます。まずは市民議会の議員として認められるところからスタートするべきですね」
从;・⊿・从「うぅむ、やはり共存共栄の道は長いのぉ」
( ●ハ●)(我々には関係ないな……)
641 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/17(日)22:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 帝国議事堂】
( ・∀・)(……よし、議論に一段落ついた)
( ・∀・)「それじゃあ次は教会ちょ……」
(゜∀゜.)「お待ち下さい。シェイク法務官殿」
(;・∀・)「え?」
(゜Д゜;ム「え?……どうされましたか、高弟殿」
(゜∀゜.)「さきほど、貴方はエルフや獣人に『帝国市民』の身分を付与すると言いましたね」
(゜Д゜ム)「ええ。亜人種の権利拡大を謳うのならば、これくらいの恩寵はあってもよろしいかと……ご不満でしたか?」
(゜∀゜.)「いえいえ、素晴らしい提案だと思いますよ!女神様の加護は本来、人種や民族の壁など超えて注がれるべきなのですから!」
(;・∀・)(……なにを考えてる?)
(゜∀゜.)「しかし、であれば……」
(゜∀゜.)「当然、エルフ・獣人ともに聖アガメマス教会に改宗する、という理解でよろしいですね?」
从;・⊿・从「ッ!?」(・∀・;)
( ●ハ●)「ッ!!」




