皇帝は廃位を叩きつけられるようです
625 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/08/08(金)18:00:00.00 ID:1399336
女神のフィオレ強襲から幾日後……
【帝都ドナド 玉座の間】
(━十━;)「皇帝陛下、大変です!」
(,゜∀゜)「何事だ。勇者の死体が見つかったのか?」
(━十━;)「い、いえ。それ以上です!」
(,゜∀゜)「それ以上の事などないだろう」
(━十━;)「フィオレ一等侯と勇者が、陛下の廃位を要求すると共同声明を出しました!」
(━十━;)「曰く、ロナルド殿下こそ皇帝に相応しいと!」
(;,゜∀゜)「それ以上の事だった!!」
(;,゜∀゜)「ロ、ロナルドは死んだはずじゃあッ!?」
(;,゜∀゜)「というか勇者も何故まだ生きている!?」
(゜∀゜.)「……してやられましたな、兄上」
(#,゜∀゜)「ド、ドナド!どうなっている!女神を向かわせたのではなかったか!」
(゜∀゜.)「勇者に倒されてしまったようです。現在、神殿にて力を回復されております」
(;,゜∀゜)「う、ウソだろ!?女神の加護が敗れるなど……形代を交換したばかりではないか!」
(;,゜∀゜)「それほどまでに圧倒的なのか、勇者は!?」
(ー∀ー.)「……分かりません。ただロナルドが我々の目を欺き、十年間も潜伏していたことを考えると、奴に何かしらの秘策があったのかもしれません」
(゜∀゜.)「ただ、今は原因を追究する暇はありません。なによりもまずロナルドが皇帝になるのを阻止することが先決です」
(#,゜∀゜)「そ、そうだ!私は認めんぞ!皇帝としての正統性は私にある!ロナルドのような軟弱者に、人の上に立つことなどできん!」
(━十━;)「しかし陛下!フィオレ一等侯からの推挙があるというのは無視できません!皇帝が皇帝たるは、帝国の東西南北を治める一等諸侯からの承認があってこそ!」
(━十━;)「帝国法に則れば、これより"選帝会議"を開催せねば……」
(#,゜∀゜)「ええい!なにが"選帝会議"!そんなもの一度も前例のないではないか!律法書のインク染みに過ぎん!」
(━十━;)「えっ!?では、どうするおつもりですか!?」
(#,゜∀゜)「決まっている!フィオレ一等侯は『皇帝に相応しくない』と私を侮辱し、自分に都合のいい者を皇帝に仕立て上げようとしている!これは立派な背反行為だ!」
(#,゜∀゜)「故に帝国法に則り、フィオレ家を処罰する!フィオレ家から一等侯の地位を剥奪し、所有する領地は全て皇帝領に編入だ!」
(━十━;)「そのような報復を宣言すれば戦争になってしまいます!」
(#,゜∀゜)「ああ、そうだ!明日の明朝までに帝国軍と教会の聖伐軍混成で軍団を編成しろ!」
(゜∀゜.)「お待ち下さい兄上!それは早急です。今の帝都にそのような余裕はありません」
(゜∀゜.)「それに向こうには勇者もいます。彼らが女神を打倒したという事実は無視できません。単純な数で圧倒できるかどうか……」
(#,゜∀゜)「では西ゼリヤ一等侯に騎士団の派遣を要請しろ!」
(#,゜∀゜)「西ゼリヤ騎士団は『万力の騎士団』の異名を持つ最強の軍団!勇者といえど、彼らを相手取ることは容易でないだろう!」
皇帝の怒号が宮殿に響き渡る。するとその時、帝国軍の騎士がひとり、大慌てで玉座の間に入ってきた。
(━Ⅰ━;)「陛下、騎士団長!一番隊より報告!大変です!」
(#,゜∀゜)「何事だ!この忙しい時に!」
(#━十━)「我々は大事な話をしているのだ!優先度の低い報告ならただではおかんぞ!」
(━Ⅰ━;)「西ゼリヤ一等侯が、ロナルド殿下の皇帝即位を支持すると声明を発表!」
(;,゜∀゜)「ぱぁぁぁぁぁぁッ!?」
(;━十━)「なんでぇぇぇッ!?」
(━二━;)「ニ番隊より緊急報告!ラクシズ市よりフィオレ家の発表を尊重するとの連絡が!」
(;,゜∀゜)「ラクシズもぉぉぉッ!?」
(━十━;)「陛下!いま、ラクシズを敵に回してはダメです!帝都のエネルギーが枯渇します!」
(━≡━;)「三番隊より報告!東部諸侯議会もロナルド皇帝を支持するらしいです!」
(,゜∀゜)「あ、終わった」
(━十━;)「陛下、まだです!まだ南のハッシュ王国が残ってます!彼らは皇帝家の遠縁で保守派、新皇帝即位に意欲的ではないでしょう」
(━冒━ )「騎士団長。ハッシュ王国から"選帝会議"の開催日調整の連絡が来ました」
(;━十━)「やる気満々じゃねぇか!」
(,゜∀゜)「……ドナド。皇帝って退位したらどうなるだろうな?」
(゜∀゜.)「まぁ、時と場合によりますが……ロナルドは兄上を恨んでいるでしょうし」
(゜∀゜.)「よくて幽閉、悪くて島流しですね」
(,゜∀゜)「……できれば南国のリゾート地がいいなぁ」
(゜∀゜.;)「初っ端から諦めないでくださいよ」
かくして、ロナルド新皇帝即位に向けて"選帝会議"の開催が決定したのだった。




