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狐は騙されていたようです その②

【登場人物紹介】


( ^ω^)【戦士(ウォリアー)】:レスラー体型勇者。パチンコは遠隔操作されると信じている。


 ( ’A`)【魔法使い(ウィザード)】:ヒョロガリ勇者。らくらく快適ゆるっとオフィスワークを信じていた。


(゜、゜*)【盗賊(シーフ)】:スタイルグンバツ勇者。悪は滅ぶと信じたい。


( ・∀・)【道化師(クラウン)】:イケメンハイスペ勇者。信じるとはなにか。


(゜∀゜ )【武王】:元・魔王四天王の武人。聖アガメマス教は薄っすらとしか信仰してない。


[天㊤皿㊤]【水の大天使】:四大天使のゴーレム。神に忠実。


ミ● ● 彡【隠神】:狸獣人の長老。家族しか信じていない。


从*・⊿・从【キツネ神主】:リナイ神社を管理している狐獣人。リナイ神社が祀っているのは商売の神様。


(十AФ )【赤毛の戦士】:コボルトにて最強の戦士。コボルトの信仰は素朴な祖霊信仰である。


从*゜ワ゜从【獣王】:元・魔王四天王のアイドルオオカミ。ガッデムという芸名で活動していた。本名はオミカ。


ミ◎Д◎ 彡【会員No1】:私設ファンクラブ、ガッデム親衛隊隊長。オミカの幼馴染のオタク。


(,゜∀゜)【皇帝マルク】:マルク帝国の長。マルク帝国は聖アガメマス教会の庇護者である。


(゜∀゜.)【高弟ドナド】:聖アガメマス教会の長。聖アガメマス教会はマルク帝国の支持基盤である。

586 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/27(日)18:00:00.00 ID:1399336



【帝都ドナド 玉座の間】



(#,゜∀゜)「ええい!あの逆賊共は、まだ見つからぬのか!!」



(━十━;)「はっ!帝国東部にそれらしき人物を見たという目撃情報はあるのですが、特定には至らず……」



(━十━;)「現在は教会の"聖伐軍"と共同して調査を進めております!」



(;,゜∀゜)「ぐぅぅ……もういい、下がっていいぞ!」



(━十━ )「はっ!失礼いたします!」



(;,゜∀゜)「ドナド、諜報員の状況はどうなっている?これでは安心して床にも就けん!」



(゜∀゜.)「……マルク船籍の私掠船が一隻、通常の航海ルートとは大きくはずれ、西ゼリヤ王国の港町ズッパと東部王領港チミンショクを短期間に往復しているとの情報が」



(;,゜∀゜)「私掠船?ただの木っ端海賊ではないか。それがなんだと言うのだ」



(゜∀゜.)「チミンショクに入港した私掠船は以前、勇者が乗船していた"セルコア海賊団"のものと一致。港湾管理者に確認した所、該当の船に積み荷はなく、隊商を名乗る一団を乗せると、すぐに出港したとのこと」



(,゜∀゜)「!」



(゜∀゜.)「諜報員は、これ明らかに勇者が西ゼリヤ王国へと移動した証跡だと断定し、現在帝国西方地域を調査中です」



(;,゜∀゜)「西ゼリヤ王国だと?奴らは、いったい何を考えている!?」



(;,゜∀゜)「……いや、ただ逃げ回っているだけか?」



(゜∀゜.)「兄上、それだけはありません。ええ、それだけはありませんとも。勇者は必ず私達に会いに、ここへ来ますよ」



(゜∀゜.)「"形代"を取り戻しにね」



(#,゜∀゜)「ふん。この世界の道理を解せぬ異世界人め、たわけたコトを」



(,゜∀゜)「……しかしドナドよ、珍しいな。お前が誰かを信じるような物言いをするなど」



(゜∀゜.)「ははは。お戯れを、兄上。私はただ、諜報員から上がってきた情報から仮説を立てているに過ぎません」



(゜∀゜.)「私は誰も(・・)信じません。私が信じるのは『信仰』だけです」





587 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/27(日)18:00:00.00 ID:1399336



猩々寺(しょうじょうじ) 境内】



[天㊤皿㊤]「ところで、人狼(オオカミ)さん達は、ここで何を?」



ミ◎Д◎ 彡「修業ですね。坐禅に始まり滝行、勉強、ヨガ、ランニングに筋トレ、掃除洗濯飯作り」



[天㊤皿㊤]「最後の方は修業ですか?」



ミ◎Д◎ 彡「ババ様に言わせれば、日常生活も修業の一部だと」



[天㊤皿㊤]「なるほど。違う信仰の考え方は興味深いですね。しかし、それは何を目的に?」



ミ◎Д◎ 彡「……自分たちガッデム親衛隊は、ガッデム様、いえオミカちゃんの怒りに呼応して、怒りに任せ、人間に矛先を向けました」



ミ◎Д◎ 彡「怒り自体は邪な感情ではありません。しかし、怒りに身を任せた行いは自身も他者も、全てを傷つけてしまう。そして、それは新たな怒りを生む。そうなれば待っているのは報復の無限地獄です」



ミ◎Д◎ 彡「ババ様は言いました『怒りを鎮めよ、拳を解き、手を握れ。闘争を止めろ』と」



[天㊤皿㊤]「それはよい心がけですね」



ミ◎Д◎ 彡「そして『法律に則り、然るべき措置を取り、法廷で争え』と」



ミ◎Д◎ 彡「なので今は皆で法律を勉強しています、修業として」



[天㊤皿㊤]「なるほど、まぁ真っ当な……」



从#・⊿・从「あんの、生臭坊主がぁぁッ!!絶ぇ対、殺すッ!!」



 お堂から轟いた咆哮が木々を揺らし、修行中の人狼達は一斉に瞑想を止めた。



[天㊤皿㊤]「……今のは、表面上怒っているだけですよね?」



ミ◎Д◎ 彡「いや、普通にブチ切れですね」





588 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/27(日)18:00:00.00 ID:1399336



猩々寺(しょうじょうじ) お堂】



( ・∀・)「まぁ実際の手口は分からないけどさ。郵便局の局員になりすまして手紙の改ざんとか出来ちゃうよね」



 (’A` )「筆跡をコピーするなんて、その手のプロにかかれば簡単だろうな。まして、この世界には魔法があるんだし」



(゜、゜*)「ええ。昔を思い出すわね」



 (;’A`)「やったことあんの?」



(゜、゜*)「原本をすり替える仕事だけね。改ざん偽造は専門家の仕事」



ミ● ●;彡「ふむぅ。たしかに言われてみれば単純な手口だ」



ミ● ●;彡「キツネへの怒りで目が曇ってしまっていたか、情けない……」



从#・⊿・从「オミカ、戦の準備じゃ!裏切り者のドナドを成敗するぞ!」



从゜ワ゜*从「……え?」



(・∀・;)「待て待て待って!さっき説明したじゃん!俺達は戦争するつもりはないんだって!」



从#・⊿・从「んなら、わしの胸に迸るパトスはどうすりゃええんじゃ!」



(^ω^ )「外走ってきたら?」



 (’A` )「男子中学生の発散方法」



从゜ワ゜;从「あ、あのさババア。アンタ、私達に言ったじゃん『怒りを鎮めろ』って……だからさ、落ち着いたほうがいいんじゃない?」



(十AФ;)「そうです。ババ様、貴方はこれまで闘争から身を置き、獣人と人間の協調を説いてきたではありませんか!そして人間側の首脳と肩を並べられる程になった!」



(十AФ;)「いま、獣人の中で人間と対話ができるのはババ様しかいないのです!ここでアナタが怒りに任せて武器を取れば、もう獣人と人間を繋ぐ者はいなくなってしまう!」



(゜、゜*)「ここで戦争なんか起こしたら、やってること魔王と同じよ」



从;・⊿・从 ッガーン!



从゜ワ゜;从「だからさ、一回落ち着こ?」



从;・⊿・从「わしは……わしは……わしは!」



从*T⊿T从「ずっと人間を信じてきたんじゃ!人間達も稲荷様を信じてくれて、わしの言うことに耳を傾けてくれた!」



从*T⊿T从「神社の土地を騙し取られそうになった時も、助けてくれたのはドナドと奴の聖伐軍……人間じゃった!奴らはわしの証言を信じてくれて、悪徳業者を懲らしめてくれたんじゃ!」



从*T⊿T从「その時、わしは確信したんじゃ。獣人も、人間の法にちゃんと従うことを示せば、人間もわしらを守ってくれると……!」



从*;⊿;从「だが、ぜんぶ嘘じゃったのか!?わしは獣人を飼い慣らす為の道具じゃったのか!?」



从゜ワ゜;从「ババア……」



(十AФ )「ババ様、あなたは人間の道具ではありません。ババ様が人間を信じ、人間と対話を続けてくれたおかげで、西ゼリヤ王国の獣人達はいま、平和に暮らせているのですから」



ミ● ● 彡「そうだキツネ。ドナドと出会うずっと前から、お前はリナイ神社の神主として人間と共に暮らしてきただろう。獣人の平和はその成果だ」



ミ● ● 彡「お前がいなかったら、我々も人鬼(オーガ)人矮(ドワーフ)と同じように歴史の露と消えてしまっていただろうな」



从*;⊿;从「うぅ、お主ら……ありがとう」





(^ω^#)「……しかしよ、老人相手の卑劣な詐欺ってのは許せねぇよな」



 (#’A`)「ああ、テメェの利益の為に誰かの尊厳を傷つけていいワケがねぇからな」



(゜∀゜#)「ドナドにはしっかりとケジメをつけてもらわねぇとな」



( ・∀・)「あくまで、法律(ルール)に則ってね」





589 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/27(日)18:00:00.00 ID:1399336



 こうして獣人達との協働と、獣人に優しい国づくりを約束した勇者達は、猩々寺(しょうじょうじ)を後にした。残すところは帝国北方のフィオレ王国のみである。



【西ゼリヤ王国 宿場町ゴタハ】



(^ω^ )「道の駅って意外に買うもんないよな」



 ( ’A`)「それお前が生鮮食品に興味ないだけじゃね?」



( ・∀・)「さて、休憩も終わったしラクシズに帰ろうか」



 ラクシズへの帰路、休憩のために宿場町に寄っていた勇者達。しかし、彼らが町を出ようとしたその時だった。町の入口を、プレートアーマーに身を包んだ騎士の一個隊が塞いでしまった。



[━聖━ ]「私達は聖アガメマス教会"聖伐軍"です!町民の皆様、ご心配はいりません!この付近に凶悪な反乱分子が潜伏しているとの通報を受け、調査の為に参りました!」



[━聖━ ]「町民の皆様の生活に支障はありませんので、ぜひともご理解、ご協力をお願いいたします!つきましてはただいまからお配りする調査アンケートに記入を……」



 拡声器を持って人々に指示を出す"聖伐軍"。以前ならば勇者達の味方だったが、今は敵である。



(;^ω^)「どうする?見つかったらやばくね?」



(゜、゜*)「とりあえず隠れましょう」



 勇者達は、どうにかやり過ごす算段を立てるため物陰に移動した。するとそこには、思いがけない人物が勇者達を待ち構えていた。



(・ω・`)「やぁ君達、久しぶりだね」



(;・∀・)「え?あ、君は……なんでこんなところに?」



(・ω・`)「なに、仕事でね。というか君達、その後ろの人」



( ゜∀゜)



(・ω・`;)「もしかして武王?いったいなにを考えて……」



( ^ω^)「あ~それはだな」



(-^ω^)ピッ



(-^ω^)「……え?」



 瞬間、戦士の頬を一発の銃弾がかすめた。戦士がその銃弾の射線を遡ると、盗賊の手に握られた銃に行き着いた。



(゜、゜*)「なに律儀に答えようとしてんの」



(;^ω^)「え?だって、そりゃあ……」



(・ω・`)「そうだよ盗賊さん。久しぶりに再会したんだから、近況報告くらいするだろ?」



(゜、゜*)「じゃ、アナタから話しなさい。一言一句、正確に、真実を」



(・ω・`)「……」



(゜、゜*)「この期に及んで私達を裏切るつもり?ねぇ、諜報員?」



(・ω・`)「……ん?」



(´・ω・)「裏切る?」



(・ω・`)「誰を?」



(・ω・`)「僕は君達の仲間になった覚えはないけど」




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