勇者達は神社で祈祷してもらうようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。神社と寺の区別はつかないし、そこに特別興味もない。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。年末年始にも仕事があったので、直近3年ほど初詣に行っていなかった。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。なぜ異世界に神社があるのかという、至極当然の疑問は、もう深く考えないようにしている。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。神は八百万なので、まあ異世界にもいるんだろうなと適当に納得している。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。聖アガメマス教は平和的なので、土地土地の神様や信仰とは上手く折り合いをつけているとは彼女の談。
54 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/12(水) 18:30:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
ξ ゜⊿゜)ξ「町役場の地域振興課に確認しましたわ!」
ξ ゜⊿゜)ξ「たしかにカッカ山ビジターセンターは半年前、利用者減少を理由に閉館されてましたわ!」
(・∀・ )「空き家に狸が住み着いた訳か」
(’A` )「字面だけ見ればローカルニュースだな」
(^ω^ )「よしっ、じゃあぶっ倒しに行こうぜ!」
ξ;゜⊿゜)ξ「ダメですわ!コボルト失踪事件にモンスターではなく獣人が関与していて、それがさらに魔王と繋がっているとなれば、冒険者ギルドだけの問題ではありませんわ!」
ξ;゜⊿゜)ξ「王国騎士団や警察と協力し、迅速かつ隠密に事実関係を調査し、対応にあたるべき案件ですわ!」
(^ω^;)「そういうリアリティは要らねぇんだよ!」
ξ;゜⊿゜)ξ「リアリティ云々じゃなくて、一介の冒険者が突っ込んだって死ぬだけですわ!」
ξ;゜⊿゜)ξ「"神隠し"狸影といえば、忍法と呼ばれる特殊な魔法を使うA級賞金首!この前E級に昇級したばかりのアナタ達では手も足も出ませんわ!」
(・∀・;)「忍法ってことは、忍者ダヌキ!?」
(’A`;)「そういや転職の街でそんな奴にあったなぁ」
(^ω^;)「くそっ!自分の実力不足が歯痒い」
(^ω^;)「受付嬢さん、俺達はどうすれば……?」
ξ ゜⊿゜)ξ「普通にクエストを受けて下さいまし!」
55 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/12(水) 18:30:00.00 ID:1399336
【ヨイノマ森 リナイ神社】
从*・⊿・从「で、また神社の虫退治を引き受けてくれたという訳か。結構結構」
(・∀・ )「何はともあれ稼がないといけないからね」
(・∀・ )「ちなみにシーフ姉さんは一人だけギルドに招集されたよ」
(’A` )「姉さんは強いからな」
(^ω^ )「神主さん。俺達、どうしたら強くなれるか分かる?」
( ФωФ)「地道に修行するしかないと思います!」
从*・⊿・从「いんや待てい、修道女よ!」
从*・⊿・从「ここは神社、ご祈祷しかないじゃろ!常識的に考えて!」
(’A` )「言うほど常識ではない」
从*・⊿・从「疑う者にご利益は宿らんぞ!」
从*・⊿・从「初穂料は2万からッ!」
(’A` )「信仰の集め方が下手すぎる」
从*・⊿・从「……じゃが、なんと……ッ!今回に限り……ッ!ただ今から30分以内にお申し込みで……ッ!」
从*・⊿・从「初穂料無料キャンペーン実施中じゃあッッッ!!!」
(^ω^*)「うおおッ!!申し込む申し込む!!」
(’A`*)「俺も俺も!!」
(・∀・ )「これが新時代の布教方法かぁ」
(ФωФ*)「僕もお願いします!」
(;・∀・)「あれ、君は大丈夫なのっ?」
(ФωФ*)「問題ありません!女神様は懐が深いので!」
从*・⊿・从「うむ。ウチの神様と女神様はマブダチじゃからな」
(’A` )「フットワーク軽いなぁ」
从*・⊿・从「さぁ、残るは道化師のお前さんのみじゃ!祈祷を受けるかえ!?」
(・∀・ )「え~……どうしよう」
从*・⊿・从「初回は無料じゃし、疑わしいと感じたなら、そこで止めればいんじゃから。お試しで受けてみればええんじゃないか?」
(・∀・ )「アナタ喋れば喋るほど詐欺臭が増すんですよ」
(^ω^ )「性根が胡散臭いのかな」
56 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/12(水) 18:30:00.00 ID:1399336
【ヨイノマ森 リナイ神社 社殿】
从*・⊿・从「『……畏み畏み申す』」
从*・⊿・从「『強化魔法:千客万来』!!」
从*・⊿・从「よしッ!祈祷完了じゃッ!」
(^ω^ )「思いっきし魔法って言ってるけど」
从*・⊿・从「祈祷じゃ!わしがそう言えば祈祷なんじゃ!」
(^ω^ )「あ、ハイ」
(’A` )「千客万来って商売繁盛的な言葉だと思うんだけど、俺達の何が強化されてんの?」
从*・⊿・从「この言葉には客が沢山来て店が儲かるように、お前さん達にも力が集まるようにという願いが込められとるんじゃ!」
(’A` )「無理矢理感あるなぁ……」
从*・⊿・从「ぶっちゃけ稲荷神社って商売の神様じゃし」
(^ω^ )「だから、ご利益をバラエティ・パック売りしてんのか」
从*・⊿・从「深く考えるな……ッ!感じろ……ッ!!」
(・∀・ )「言葉が浅いぜ」
(*ФωФ)「でも神主さんの言う通り、なにか神的な加護を感じる気がします……ッ!」
(’A` )「君は修道女という立場を弁えた方がいいと思う」
( ^ω^)「まぁでも信仰が篤いってこういう事じゃない?」
从*・⊿・从「信じる神は異なれど、神に仕える者じゃからな。男共よりはご利益の効果を実感しやすいんじゃろう……神も言っておる」
从*・⊿・从「『※ご利益には個人差があります』とッッッ!!」
(・∀・ )「騙す気しかないお言葉……ッ!!」
57 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/12(水) 18:30:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
( ^ω^)「結局、虫退治クエストは普通に終えて帰ってきたけど」
( ^ω^)「強くなった感は無いんだけど」
(’A` )「祈祷して貰ったとはいえ、千客万来じゃあなあ……」
( ФωФ)「え~、感じないんですか?こう、丹田から湧き出るような魔力を」
(^ω^ )「う~ん……」
(・∀・ )「言われてみれば、ちょっと肌ツヤが良くなったかも……?」
( ^ω^)「別の効果が実感されてない?」
ξ ゜⊿゜)ξ「……あっ!アナタ達、丁度良かったですわ!」
(’A` )「ん?どうした、受付嬢さん」
ξ ゜⊿゜)ξ「なんと、今朝方話したの"コボルト集団失踪事件"のクエスト、アナタ達でも受けられるようになりましたわ!」
(^ω^;)「マジでっ!?なんでっ!?」
ξ ゜⊿゜)ξ「上層部が会議した結果、騎士団と冒険者ギルド合同で、カッカ山ビジターセンターにカチコミをかけることになったのですわ!」
(・∀・ )「暴力装置の起爆が迅速だね」
ξ ゜⊿゜)ξ「主力部隊が狸影をボッコボコにしてる間に、別働隊がカッカ山にある地下施設に潜入、コボルトを解放する!これが作戦の全貌ですわ!」
(’A` )「上層部には脳筋しかいねぇのか」
ξ ゜⊿゜)ξ「脳筋しかいませんわ!」
ξ ゜⊿゜)ξ「だって強い人が偉い人ですもの!強ければ貴族にも叙せられますわ!」
(’A` )「貴族というより蛮族だな」
(^ω^ )「まぁ、分かりやすくていいや」
(^ω^ )「それより、カッカ山の地下施設って何?初耳なんだけど」
ξ ゜⊿゜)ξ「お昼ごろ、シーフさんが発見してくれましたわ!作戦当日も、彼女に別働隊を率いてもらいますわ!」
(^ω^ )「もう全部彼女一人でいいんじゃなかろうか」
ξ ゜⊿゜)ξ「いえ、人手が足りませんわ!コボルトを逃がすのに敵の妨害が入るのは確定ッ!」
ξ ゜⊿゜)ξ「だからアナタ達には、そっちの別働隊に参加して欲しいんですわ!」
( ФωФ)「なるほど……敵のボス、狸影と直接対峙することはないということですか。それなら今の僕達の実力でも、なんとかなるでしょうか?」
(^ω^ )「いや、なんとかするんだ!こんなチャンスはないだろ!?」
(’A` )「たしかにな」
(・∀・ )「やったろうじゃん!!」
ξ ゜⊿゜)ξ「了解ですわーッ!!報酬も色をつけときますわーッ!期待するですわ!!」
(^ω^*)「おほー!ありざす!」
(’A` )「……」
( ’A`)「これ、ご利益だと思う?」
(・∀・ )「まぁ……一応、商売繁盛の範疇かな……?」
( ^ω^)「じゃあ、神のおかげってこと?すげーッ!」
(^ω^ )「今度、神社に行った時にお礼しないと」
(’A` )「……信者ってこうやって増えてくのかね?」
(・∀・ )「なるほど、繁盛してるのは神主さんという訳か」
(;ФωФ)「考えすぎです!」