勇者達は新皇帝を擁立するようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型勇者。元漁師。漁師になる前はパチンコで稼いだり、競馬でスッたり、刺身の上にタンポポをのせたりしていた。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。新卒でSIer企業に入社。終了。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。教育実習が終わりかけの頃に事件に巻き込まれ、トントン拍子で何故かスパイ組織に身を置いていた。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。新卒で広告代理店に就職し、営業に配属。それなりにうまくやりつつ、異世界に来た年の春には昇進予定だった。
( ノ∀`)【キュミノー君】:西ゼリヤ王国の貴族の息子。知事に就任する前は家の手伝いをしていた。
(゜∀゜ )【武王】:元・魔王四天王の武人。四天王になる前はマルク帝国の騎士として兄の命令の下で任務に赴いていた。
(■ー■ 川【ブルーシー】:元・魔王四天王の"鉄王"ブルシットの仮の姿。四天王になる前は東マル王国という国の騎士団に所属していた。魔王と出会ったのはその頃。
<今回は登場しない人物>
[㊤皿㊤天]【水の大天使】:四大天使のゴーレム。天使になる前は神殿の給仕をしていた。
(*ФAФ)【行商人】:行商のオバちゃん。行商をする前は専業主婦だった。
(ーωー )【旦那】:行商人の旦那さん。行商をする前は大工だった。
( ФДФ)【息子】:行商人の長男。魔王軍の工兵だった時は補給基地の馬小屋を建設していた。
ミ ● ●彡【隠神】:狸獣人の長老。隠神の名前を襲名する前は狸らしく適当に暮らしていた。
554 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/18(金)18:00:00.00 ID:1399336
【前回のあらすじ】
( ・∀・)(帝都に行きたいけど皇帝に死刑宣告されてるから、帝都の憲兵に見つかったら処されちゃう!)
( ・∀・)(そんな俺達が安全に帝都に入れる方法ないかなぁ……)
( ・∀・)「そうだ!武王くん、皇帝になってよ!」
(゜∀゜ )「甚だしく論理が飛躍している」
555 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/18(金)18:00:00.00 ID:1399336
【カナイ・デ・ハナイ 市庁舎】
( ・∀・)「つまり作戦はこうだ」
( ・∀・)「ステップ①:武王が皇帝に即位」
( ・∀・)「ステップ②:皇帝の権力で俺達の死刑執行を恩赦する」
( ・∀・)「ステップ③:やったね!自由に帝都に入れるよ!」
(゜∀゜ )「ばかじゃねぇの?」
(゜、゜*)「ステップ①が最難関すぎるんだけど、どうするのよ」
( ・∀・)「どうにかする」
(゜、゜*)「作戦にその6文字は出てきてはならないのよ」
( ・∀・)「まぁまぁ。いったん話を聞いてくれないかな。武王が皇帝に即位するのは無理筋な話じゃない」
(■ー■ 川「曲がりなりにも皇帝一族の血は継いでいるからな」
( ・∀・)「そうだ。だから帝位を主張しても正統性が全くないワケじゃない」
(’A` )「でも元・魔王四天王の一角だぞ?」
( ・∀・)「ただの噂にすぎない。皇帝の末弟が"武王"なんて事実はないんだ。そもそもドナド以外に弟がいるという記録を、皇帝自身が消してしまったからね」
(ノ∀`;)「だったら、帝位を主張する根拠もないのでは?」
( ・∀・)「記録や台帳の上ではね。でも『皇帝は三兄弟で末弟がいた』というのは真実だ。人々の記憶には残ってる。だから皇帝の弟が"武王"なんて噂が生まれたんだ」
(゜∀゜ )「……まぁ、俺がそう言えば信じる奴は多いだろうな。けどよ。俺が帝位を主張すりゃあ、当たり前だが待ってるのは戦争だぞ?」
(゜∀゜ )「お前ら、戦いは避けたいんじゃなかったのか?」
( ・∀・)「戦争はしない。いや、ならない」
(゜∀゜#)「んなもん断言できねぇだろ!」
( ・∀・)「マルク帝国は疲弊している。君たち魔王軍との長い戦争でね。帝都は蹂躙されたし、壊滅した軍隊も多いと聞いた」
( ・∀・)「こうなると戦後に待ち受けているのは圧倒的な人手不足だ。帰還兵を動員して帝都復興に全力を注がないといけない今、戦争をしている余裕なんて彼らにはない」
( ・∀・)「だから皇帝に対して、こちらが十分な戦力を持っていると分からせられれば、きっと譲位を選ぶよ」
(^ω^ )「こっちの戦力、オバちゃん含めて10人くらいなんだけど」
( ・∀・)「……まぁ、まずは仲間集めだね」
(゜、゜*)「だったらそれがステップ①じゃないのよ」
556 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/18(金)18:00:00.00 ID:1399336
【カナイ・デ・ハナイ 市庁舎】
( ・∀・)「確実に仲間にしたい勢力が5つある」
( ・∀・)「ひとつ、西ゼリヤ王国」
( ・∀・)「ふたつ、ラクシズ」
( ・∀・)「みっつ、エルフ」
( ・∀・)「よっつ、獣人」
(^ω^ )「俺達と関係ある街とか人ばっかだな」
( ・∀・)「じゃないと『仲間になってください』ってお願いしても首を縦に振らないでしょ。目的は世界帝国の皇帝交代なんだから」
( ・∀・)「西ゼリヤ王国は必ず俺達の勢力に引き込みたい。というか、ここを仲間にできなきゃ、マルク皇帝との交渉自体が不可能だ」
(■ー■ 川「たしかに。西ゼリヤ騎士団は最強と名高く、王も長年に渡って国を治める老獪な人物だ」
( ^ω^)「騎士団長達が強いことは知ってるけど、王様の爺さんもそんな凄いの?」
(ノ∀` )「ミラノフ様は素晴らしいですよ!事件や交渉を軟着陸させることに関しては天下一品です!」
( ^ω^)「それは凄いことか?」
(’A` )「色んな人の意見をちゃんと聞いて、互いの妥協点を見つけて結論が出せるってことだろ?俺としては上司に欲しいな」
( ・∀・)「その話を聞いたら、ますます西ゼリヤ王国は仲間になってもらわなきゃ困るね」
( ・∀・)「それにラクシズも。ここはタービンタワーがあるおかげで経済的にかなり発展してるし、帝都とも鉄道で結ばれている。この街が反対勢力にいるというのは、皇帝にとってかなりの痛手になる」
( ・∀・)「あと西ゼリヤ王国とラクシズは、単純に魔王との戦争であんまり消耗してないんだよね、前線から遠かったから」
( ・∀・)「次にエルフ。彼らは数こそ少ないけど、帝国をも凌駕する驚異的な技術力を隠し持っている。そして俺達がゴブリンとの戦いを終わらせたから、こちらに好意的」
( ・∀・)「マルク帝国には不平等な条約を結ばされて困っているようだし、その辺りを撤廃すると言えば仲間になってくれるに違いない」
( ・∀・)「最後に獣人達に関しては数が多いし、色んな町にいるから、その影響は無視できない。獣人の強さは何回も戦って身を以て知ってるしね」
( ・∀・)「リナイ神社の神主さんを通して、なんとか協力してもらいたい」
557 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/18(金)18:00:00.00 ID:1399336
( ・∀・)「……話が長くなっちゃったけど、これだけの国や人々を仲間にすれば、いくら大帝国だろうと打って出ることはない」
(■ー■ 川「どうだかな。うまく勢力を築き包囲網を敷いたとて、愚か者は一発逆転を狙おうとするぞ」
(゜∀゜ )「……マルクひとりなら、乱心するかもな」
(■ー■ 川「どういうことだ?」
(゜∀゜ )「マルク帝国は、実質マルクとドナド二人の二頭制だ。そんで、ドナドは勝算のない戦いはしない合理主義者。いま道化師が言っただけの戦力を前にすれば、すぐに譲位を決断するだろうよ」
(゜∀゜ )「そんでマルクはその判断に素直に従う。自分よりドナドの方が頭が良いと知ってるから。兄貴たちは、昔からそんな感じだ」
(■ー■ 川「なるほど……弟の貴様が言うのなら、その辺りは心配いらないのだろう」
(゜∀゜ )「けどよ、ここまで聞いといてなんだが……道化師」
( ・∀・)「なんだい?」
(゜∀゜ )「帝都に入る為だけに、ここまでする必要はないんじゃないか?」
( ・∀・)「もうコレしか方法はないんだ!」
(゜∀゜ )「んな訳ねぇだろ」
( ・∀・)「なら代案、お願いね」
(゜∀゜ )「……」
(’A` )「つーか仲間にするって、どうやるんだ?」
( ・∀・)「決まってんだろ?」
( ・∀・)「足で稼ぐんだよっ!!」




