武王が目覚めたようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型勇者。好きなデザートはチョコモナカジャンボ。ふた口でいく。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。好きなデザートはプリン。スプーンで上の方から薄く削ぎながら食べる。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。好きなデザートはティラミス。初体験はサイゼリヤのやつ。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。好きなデザートは雪見だいふく。一個ちょうだいと言われても快諾するサイコパス。
[㊤皿㊤天]【水の大天使】:四大天使のゴーレム。ゴーレムはデザートを食べない。
(*ФAФ)【行商人】:行商のオバちゃん。好きなデザートは梨。瑞々しくて甘いので。
(ーωー )【旦那】:行商人の旦那さん。好きなデザートはコーヒーゼリー。もちろんフレッシュをひとかけ。
( ФДФ)【息子】:行商人の長男。好きなデザートは梨。よく食卓に出ていたので好きになった。
ミ ● ●彡【隠神】:狸獣人の長老。好きなデザートは金つば。お供のお茶は渋ければ渋いほどいい。
(゜∀゜ )【武王】:元・魔王四天王の武人。好きなデザートはアイスクリーム。岩くらい固いやつが好み。
545 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
【コーポ手羽元】
(゜∀゜;)「勇者!なんでお前らがっ!?」
武王は、咄嗟にベッドから起き上がろうとする。しかし長い眠りの間に鈍ってしまった彼の脚は、うまくその動きに反応できず、膝から崩れ落ちてしまった。
(゜∀ー;)「うわっ」
(;’A`)「落ち着け、別にお前をどうこうするつもりはねぇよ」
( ^ω^)「そうそう。結局は俺達もお尋ね者だしな」
(゜∀゜;)「!なにを言って……」ぐぅ~~~
彼の言葉を覆い被してしまうほどの大音量で腹の虫が鳴く。
(*ФAФ)「あらアンタ!起きたの?いーいお腹の音ねぇ!」
(゜∀゜;)「あ、いや御婦人、これは……」
(*ФAФ)「朝ご飯、食べるでしょ!?」
(゜∀゜;)「……」
546 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
(゜∀゜ )「ガシャガシャ」
(゜∀゜ )「ぐァつぐァつぐァつ」
(゜∀゜ )「ズズ……ズズズ……」
(゜∀゜ )「ムシャムシャ」
(゜∀゜ )「ゴクゴク……」
(゜∀゜ )「ふーっ!ごちそうさまです!」
( ーωー)「いやぁ凄い食いっぷりですねぇ」
(*ФAФ)「ホントにねぇ、おひつが空になっちゃったわ」
(;・∀・)「ウソだろ……病み上がりで何日も絶食してた状態から、米3合は食いやがった」
(゜、゜;)「どんだけ胃腸が強いのよ」
(゜∀゜ )「そりゃあ断食明けなんだから、普通これくらい食うだろ?」
( ’A`)「普通は何週間も断食した後に一気食いしたら倒れるんだよ」
(;ФДФ)「やっぱり規格外の人だ、武王様は……」
(゜∀゜ )「さて、それじゃあ勇者。説明してもらおうか、俺が倒れてから、なにがあったのか」
( ^ω^)「……そうだな」
(ФAФ*)「あっそうだ!食後のデザートに梨剥いてあげようか」
(*^ω^)「あっ食べます食べます!」
( ^ω^)「……梨の後でどうだ」
(゜∀゜ )「……分かった」
( ・∀・)「いや、もう食べながらでいいでしょ」
547 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
( ・∀・)「かくかくしかじか」
( ^ω^)「シャリシャリパクパク」
【説明中】
(゜∀゜ )「……なるほど。つまり魔王が敗け、お前らの仲間の修道女が"形代"となって"女神"が復活。マルク帝国の勝利となるも、それに貢献した勇者、お前らは用済みとばかりに死刑が言い渡された」
(゜∀゜ )「なんとか間一髪のところを隠神に助けられ、狸の里に匿われていたお前らは"女神"となった修道女を人間に戻そうと決意。その後、海底神殿に赴き、水の大天使からその"手段"を聞き出すことに成功すると、それを実行に移すためにマルク帝国の帝都であり聖アガメマス教会の聖地である"ドナド"に向かっている」
(゜∀゜ )「とまぁ、こんなところかな」
( ・∀・)「理解が早くて助かるよ」
(゜∀゜ )「つーことは、これから一直線に帝都ドナドに向かうつもりか?」
[天㊤皿㊤]「そうですね。早めに女神様を起こせば、その分、修道女さんにかかる負担も減らせますので」
(゜∀゜ )「ふーん……」
(゜、゜*)「なにか言いたげね?」
( ^ω^)「つーかお前、魔王が死んだってのに、えらく落ち着いてんな?」
(゜∀゜ )「なに、元々俺は政治にも統治にも興味ないしな。魔王に与してたのは、ただ兄貴達が嫌いだっただけだよ」
( ФДФ)「兄貴?武王様にもご兄弟が?」
(゜、゜*)「マルク帝国の皇帝と聖アガメマス教会のトップ、その2人がお兄さんだって」
( ФДФ)「……殿上人だ」
(゜∀゜ )「……なぁ。お前らがやろうとしてるそれ、俺も協力させてくれねぇか?」
(;・∀・)「ブッ!」
(;・∀・)「アッアンタいきなりなに言ってんの!?」
(’A`;)「そうだよ、なんか企んでんのか!?」
(゜∀゜ )「別になにも。言っただろ?兄貴達が嫌いだって」
(゜∀゜ )「それに、お前らの仲間の修道女にも借りがあるしな」
( ^ω^)「あったっけ?」
(゜∀゜ )「お前らと戦った時についた胸の傷、治してくれたのアイツだろ」
( ^ω^)「気づいてたのか」
(゜∀゜ )「当たり前だろ。この治療痕は回復魔法のモンだ。魔王軍に回復魔法が使えるヤツはいねぇ」
(゜、゜*)「……まぁ、アナタが手伝ってくれるなら、ありがたいけど」
( ゜∀゜)「じゃ、決まりだ」
( ゜∀゜)「んじゃ言わせてもらうが、お前らどうやって帝都に潜入するつもりだ?」
( ^ω^)「潜入?」
(’A` )「やっぱり普通に入るのは難しいか?」
( ゜∀゜)「ああ、兄貴達のことだ、帝都は既にガッチガチに守りを固めているだろうよ。当然、お前らの"魔力紋"は控えてるだろうし、変装や変化魔法も無駄。魔術警備隊がすっ飛んでくる」
(゜、゜*)「魔力紋?」
( ’A`)「指紋みたいなモンでな、人間は魔力を無意識に少しずつ放出してるんだけど、その波に個人差があるんだ。個人特定できるくらいな」
(゜∀゜ )「隠神の爺さんの"千変万化"の術なら騙くらかせるかもしれねぇが……」
(゜∀゜ )「どうせ手伝うつもりなんてねぇだろ?」
ミ ● ●彡「当然だ。我は半ば無理やり此奴らに里から連れて来られたんだ、何故そこまで手を貸さねばいかん」
ミ ● ●彡「そもそも一度王宮で使ってしまった以上、帝都で"千変万化"の術を使いたくはないのだ。警戒されてしまっているからな、魔法解析されたら目も当てられん……その手の熟練魔道士も招集しているだろう」
( ^ω^)「解析されたらなにか困るの?」
ミ ● ●彡「"千変万化"は我の奥の手だ。魔導書の目録に載るなど考えたくもない」
(゜∀゜ )「つまりなにか方法を考えないと、お前らは女神を叩き起こすどころか、帝都に足を踏み入れることすらできないってコトだ」
(゜∀゜ )「ま、お前らが勇者の力を存分に奮って帝都に怒鳴り込んで、街を守ろうとする帝国兵をなぎ倒し、"聖地"を侵そうとするなら話は簡単だ」
(゜∀゜ )「魔王みてぇにな」
548 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
【コーポ手羽元】
(´・∀・)「うぅーん、帝都に潜入する方法かぁ」
(’A` )「つってもな、そんな案なんてポンポン出てこねぇよ」
(^ω^;)「う~ん……」
(*ФAФ)「……」
(*ФAФ)「さてと、それじゃアタシとお父さんは……」
(ーωー )「うん、そうだね」
(ФДФ;)「あれ、お袋達帰っちゃうの?この人達おいて?」
( ーωー)「あぁいや、帰らないよ。ただ僕達は居ても仕方がないだろう?」
(*ФAФ)「だからこの時間は外で行商しよかなと!な!」
( ーωー)「今日は新しい知事さんの着任式があるから、街の大路も賑わうぞ!」
(ФДФ;)「あぁ、そういうこと。いってらっしゃい」
その時、外から破裂音が幾度か聞こえてきた
(・∀・ )「……ん?なんだ、花火?」
( ーωー)「おぉ、噂をすれば。知事さんが到着したのかな」
(ФAФ*)「どんな人やろな、ちょっと見たろ」
(^ω^ )「あ、じゃあ俺も」
(’A`;)「お前は案出し手伝えよ」
(゜∀゜ )「まぁまぁ。ちょうどいい気晴らしだ。俺達も見に行こうぜ」
549 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
【東の地方都市 カナイ・デ・ハナイ 大路】
(ーωー )「なんでも新しい知事は戦争で多大な功績を残した西ゼリヤ王国の騎士だとか」
(^ω^ )「へぇ~なにした人だろ」
(ФAФ*)「なんでも魔王四天王のひとりを倒したとか!すごいなぁ!」
(^ω^ )「……」
(^ω^;)「は?」
勇者は、大通りをパレードする騎馬や御料車、踊り子たちの列を、よく見直した。
( ノ∀`)「市民の皆様!本日より新しく知事に任命されました、キュミノー・オモトーです!よろしくお願いします!」
( ノ∀`)「お気軽にキュミノー君とお呼びください!」
(^ω^;)「お前かよッッ!!」
(■ー■*川「そして私が、キュミノー氏の正妻ブルーシーだ!者共、ひれ伏せぇい!」
(゜∀゜;)「そんでお前もいんのかい!」




