勇者達は夢を終わらせるようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型勇者。ショートスリーパー。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。汗っかき。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。冷え性。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。正義マン。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。愛され体質。
[㊤皿㊤天]【水の大天使】:四大天使の一柱であるゴーレム。ロボットみたいなモン。
529 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
【水の天使神殿】
(゜、゜;)「眠ってる女神を起こしたら、私達が日本に帰れなくなる……ってどういうこと!?」
(;’A`)「その二つにどんな因果関係があるってんだ!」
[㊤皿㊤天]「……疑問に思いませんでしたか?貴方たちの世界と同じ"概念"が、この世界に存在すること」
[㊤皿㊤天]「貴方たちの世界の"言語"が、この世界で通じること」
[㊤皿㊤天]「"人間"の造形が、同じこと……それら答えは簡単です」
[㊤皿㊤天]「この世界の女神様が貴方たちの世界を"創った"。だから当たり前のことなのです。そして、その世界は女神様の中に広がっています」
[㊤皿㊤天]「故に女神様が覚醒……起床してしまえば、その世界は終わってしまい、もう帰ることは出来ません」
(;・∀・)「起きると、終わる……それってつまり」
[㊤皿㊤天]「はい」
[㊤皿㊤天]「貴方たちの世界は、女神様が見ている"夢"なのです」
(;^ω^)「な……」
(;・∀・)ω^)「なんだってーー!!」(’A(゜、゜;)
530 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
■ 勇者達は夢を終わらせるようです ■
531 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
(゜、゜*)「私達の世界が"夢"って、意味が分からないんだけど。私達は元の世界で産まれて、生きてきたのよ?」
(;・∀・)「そもそも、宇宙の始まり……ビッグバンは138億年前なんだけど。女神が眠りについたのって、そんな昔じゃないでしょ?」
[㊤皿㊤天]「勇者様も夢を見るでしょう?ならば、現実と紛うほどに精緻で、現実よりも早く時が流れる……そんな夢を見ることもありましょう」
( ^ω^)「やたらリアルな夢とか、映画三本立てぐらい長い夢とかたまに見るよな」
(’A` )「全く疲れがとれないヤツな」
[㊤皿㊤天]「ええ、そんな夢を女神様は見ているのです」
(;・∀・)「スケールが大きすぎる……」
[㊤皿㊤天]「神様ですから」
(;^ω^)「ん、ということはよ?"日本"とか"アメリカ"も……?」
[㊤皿㊤天]「夢です」
(;・∀・)「父さんや母さんも……?」
[㊤皿㊤天]「夢です」
(;’A`)「俺が遺してきた要件ふわふわバグ放置テストケース9割未消化リリース即システム爆発炎上障害確定PJも……?」
[㊤皿㊤天]「すべて夢です」
(*’A`)「ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁッ!」
(゜、゜;)「そんなコト言われても現実感がわかないっていうか、いや現実であって欲しいんだけど」
[㊤皿㊤天]「安心してください。この世界の僕達から見れば"夢"であっても、貴方たちにとってはすべて現実ですから」
(;・∀・)「というか帰れるって、どういうこと?」
[㊤皿㊤天]「勇者様は女神様の力で、この世界に具現化されているようなものですので、もしも死んでしまった場合には元の夢に還る、という仕組みになっています」
(;・∀・)「というコトは、あのとき死刑になっていたら、そのまま日本に帰ってたってコトか」
(゜、゜*)「この世界の記憶とかどうなるのよ」
[㊤皿㊤天]「失くなります。帰ってから少しの間は覚えていますが、段々と薄れ、そして消えるでしょう。"夢"と同じです」
( ’A`)「つまり、こっちの世界の冒険は全て"夢"っていうことに……」
(;^ω^)「ややこしいな」
532 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
[㊤皿㊤天]「さて、このように修道女殿を人間に戻す為に女神様を起こすことは、そんな貴方たちにとっての"現実の世界"を終わらせることに他ならないのです」
(゜、゜*)「……他に方法はないの?」
[㊤皿㊤天]「ありません。僕は嘘をつきません」
[㊤皿㊤天]「"形代の女神様"は、女神様の力を注がれた"形代"が神格を得た状態です。"形代"が神格を失う時は、力を使い切るか、力を女神様に戻すか。その二択です」
( ^ω^)「力を使い切るってのは?」
[㊤皿㊤天]「幾度となく奇跡を起こしたり、戦闘したりなどで、"形代の女神様"の力は減っていきますが、無理に力を使い切るような真似をすれば"形代"となっている修道女殿の身体は耐えられないでしょう」
[㊤皿㊤天]「ゆえに修道女殿を生きたまま人間に戻したいのなら、"形代"に注がれてる力を女神様へ還元するしかないのです。そして、それは女神様にしかできません」
(;’A`)「女神を叩きこすしか以外にはないと」
[㊤皿㊤天]「はい」
[㊤皿㊤天]「……勇者様、もう一度確認します。修道女殿を人間に戻すということは、つまり貴方たちの世界を終わらせることです」
[㊤皿㊤天]「そのご覚悟は、ありますか?」
( ^ω^)「いいよ」
[㊤皿㊤;]「判断が早い!?」
533 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
[㊤皿㊤;]「いいんですか?勇者様が生きてきた思い出の世界ですよ!?もう帰れなくなるんですよ?」
( ^ω^)「まぁ、元々帰れるとは思ってなかったし」
(・∀・ )「そこら辺の苦悩とか、この世界に来て二週間くらいで済ませたよね」
(゜、゜*)「どうせ私は死んだ世界だしねぇ」
( ’A`)「もうあの爆裂デスマーチ火の車操業PJには戻りたくねぇ……」
[㊤皿㊤;]「世界が終わることに関しては?」
( ’A`)「終わっちまえ」
( ・∀・)「俺、"世界か少女か"の二択で"少女"を選ぶヤツやってみたかったんだよね」
( ^ω^)「俺達が終わらせなくても、いつか終わるんでしょ?」
(゜、゜*)「みんな、きっと分かってくれるわよ」
[㊤皿㊤天]「人として終わりすぎている」
534 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/12(土)18:00:00.00 ID:1399336
[㊤皿㊤天]「……僕には理解が難しいですね。なぜ、そこまでして修道女殿を?」
( ^ω^)「え?だって、そりゃあ……」
( ^ω^)「なぁ?」
(・∀・ )「……うん」
(’A` )「ああ」
[㊤皿㊤天]「?」
(゜、゜*)「……あの子、頑張ったのよ」
[㊤皿㊤天]「はい?」
( ’A`)「俺は結構前から知ってたんだけど……修道女、家族を失って、故郷を失って……それでも孤独に耐えて、生きてきたんだ。俺達よりも一回りも若い修道女がだぞ?」
( ’A`)「俺達よりも一回りも若い修道女がだぞ!?」
(・∀・ )「修道院で勉強も頑張ったんだろうね。勇者の導き手なんて大役、普通の子にはやらせられないし」
(・∀・ )「それに魔法の勉強してみて分かったけど、あの歳でいくつも魔法を覚えてるの普通に凄いと思う」
( ’A`)「俺が中学生の時だったら絶対に投げ出してるわ」
( ^ω^)「あとは、こんな大人達に囲まれて物怖じしないとか、ちゃんとコミュニケーションとってくれるのも出来た子だよな」
( ^ω^)「俺より全然社会性あると思うわ」
(゜、゜*)「そんな頑張り屋の子が復讐なんて目標にしちゃって。復讐は果たせたけど、悪い大人に利用されて人生が終わるなんて……」
(゜、゜#)「そんなコト、あっていいはずないでしょうが!」
(#・∀・)「修道女には、幸せな未来を生きる権利がある!」
(#^ω^)「頑張った奴は報われるのが筋ってもんだろ!」
(#’A`)「俺はハッピーエンドしか認めねぇ!」
(゜、゜#)「とっとと女神を叩き起こすわよ!」
(#^ω^)’A`)「応ッッッッ!」(・∀・#)
[㊤皿㊤;]「…………ハッ!なるほど!」
[㊤皿㊤;]「この人たち、修道女殿の限界オタクなのかッッッ!」




