勇者達は預言書を読むようです
520 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/10(木)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
(゜、゜*)「とりあえず全巻セットで買ったわ」
(;・∀・)「結構量があるね……全部で17冊、しかも一つ一つが分厚い!」
(’A`;)「こんなん一冊流し読みするだけでも一日二日かかりそうだ」
( ^ω^)「俺は一冊も読み終えれる気がしない」
(゜、゜*)「泣き言いわない!読むわよ!」
(;^ω^)「はーい……」(・∀(’A`;)
521 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/10(木)18:00:00.00 ID:1399336
こうして勇者達と"預言書"の戦いが始まった……!
( ^ω^)「『ハムブラグは百五歳で子をなした。子にパテイと名付けた。ハムブラグはパテイを生んだ後七百三十年を生きた。ハムブラグの生きた歳は合わせて八百三十五であった。そして彼は死んだ。パテイは七十二歳になって、クルスを生んだ。パテイはクルスを生んだ後、七百二十年を生きて、男子と女子を生んだ。パテイの歳は合わせて七百九十二歳であった。そして彼は死んだ。クルスは九十八歳の時に……』」
( ^ω^)「……ここ読む必要ある?」
(゜、゜*)「なにが必要な情報か分からないでしょ。読みなさい」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「『クルスは九十八歳の時にニオを生んだ。クルスはニオを生んだ後、七百九十年を生きて、男子と女子を生んだ。クルスの歳は合わせて八百八十八歳であった。そして彼は死んだ。ニオは百十際の時にエツを生んだ……』」
(;^ω^)「文章量に対して情報量が少なすぎる……!!」
(;^ω^)「あと昔の人が長生きすぎる!」
(’A` )「たぶん一年の区切りが今と違うだけだぞ」
勇者達は"預言書"の不可解な記述に果敢に挑み……!
( ’A`)「『女神様の奇跡により何十年と豊穣が続いた。しかし人間はこれに満足して堕落し、殆どの人間は女神様への祈りを忘れてしまった。次の年、地は水で覆われ、世界が水で満たされた。殆どの人間は世界の外へ流された。女神様への祈りを忘れなかった人間は、神殿に閉じ込められたので無事だった』」
(・∀・ )「へぇーこの世界にも洪水神話ってあるんだ」
( ’A`)「洪水神話?ノアの方舟みたいな?」
(・∀・ )「うん。あの手の神話って聖書だけじゃなくて、世界中の神話に共通してあるんだ。『人間が堕落して、神がその罰として洪水を引き起こす』みたいなね」
( ’A`)「シンクロニシティ?」
(・∀・ )「いや、古代に文明が勃興するのって大抵が河川の近くだから」
(・∀・ )「河川が氾濫を起こした時の恐怖の記憶が、神話になったんじゃないかな」
( ’A`)「はぇ~」
( ^ω^)「じゃあさ、今読んでるのが、人間達が女神への愛と信仰を伝える為に毎晩のように全裸で森を駆け回りながら絶叫していたら、ついに女神が現れて、愛を告白したものの『まず服を着なさい。あとうるさいから夜は静かにしなさい』って断られて、こうして人間は服を着て、夜は眠るようになりましたっていう話なんだけど、これも世界中の神話にあるの?」
(’A` )「ねぇよ」
(・∀・ )「神話にしては大人しすぎる」
目と首に重大なダメージを受けながらも……
(;-`∀-)「あー……ちょっともうダメ、目が疲れた」
(-A'-;)「ずっと下向いてたから首が……」
(;^ω^)「こういう時、回復魔法があれば楽なんだけどなぁ」
(゜、゜*)「無いもの言っても仕方ないでしょ」
(゜、゜*)「……お茶でも淹れるか」
彼らは少しずつ、"預言書"を読み解いていったのであった!
522 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/10(木)18:00:00.00 ID:1399336
勇者達が"預言書"を読みはじめて4日後……
ミ ● ●彡「まだ"預言書"を読んでおるのかあやつら……よくやるものだ」
(*ФAФ)「隠神さん、こんにちわー」
ミ● ● 彡「おや行商殿」
(*ФAФ)「頼まれてた農具を持ってきたんで、見てもらっていい?」
ミ● ● 彡「おお、助かった。いま行こう」
(*ФAФ)「そう言えば、外からちらっと見えたけど。お友達さん、今日も調べ物?」
ミ● ● 彡「友人ではないな。腐れ縁だ」
(´ФAФ)「しかしまぁ、一日中"預言書"を読んで……いったいなにをされている方々なんです?」
ミ● ● 彡「……」
ミ● ● 彡「友人を救おうとしているのだ」
(*ФAФ)「?……詳しく聞かせて下さりますか?」
523 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/10(木)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
(゜、゜;)「分かったわ!」
(;’A`)「うぇ?」
( ^ω^)「なにが分かったの?」
(゜、゜*)「ここの文章を見て!」
『女神様は水の大天使様を介して、勇者マルクに"形代"の儀式を伝えた。曰く、"形代"を通して女神様は世界に顕現し、奇跡を起こす。曰く、純白の心と純粋な信仰を持つ者こそ相応しい』
(゜、゜*)「人間が"形代の女神"になる方法を伝えたのは、水の大天使!」
(゜、゜*)「つまり、水の大天使に聞けば、元に戻す方法も分かるのよ!」
( ・∀・)「元に戻す方法までは分かるか分からないけどね」
(’A`;)「しかし行くつっても、海底遺跡なんて気軽に行ける場所じゃねぇぞ?船が必要だ」
(゜、゜*)「"セルコア海賊団"の船長に頼めばいいじゃない」
(;’A`)「あいつ、いま西ゼリヤに居るんだろ?どうやって呼ぶっつうんだよ」
(゜、゜*)「タヌキ爺さんに頼んで転移魔法使わせてもらうとか」
(・∀・ )「使わせてくれるかな?」
( ^ω^)「無理そう」
その時、襖が開いた!
(ФAФ*)「話は聞かせてもらいましたでぇ!」
(;^ω^)「行商のおばちゃん!」
(;’A`)「どっから聞いてたんだよ」
(ФAФ*)「船が必要なら、アタシのコネで貸しまっせ!?」
(;・∀・)「おおっ……ありがたい、けど……」
(゜、゜;)「商魂たくまし過ぎて少しひくわね」
(ФAФ*)「それだけやないで!隠神さんから、アナタ達の話は聞かせてもらいました!」
(つAτ*)「世界を救う為に犠牲になった友人を救うなんて……美しい友情やないの!」
(ФAФ*)「だからアタシも協力させてもらいます!」
(;^ω^)「お、おう……」
(^ω^;)「ジジイ、おばちゃんになにを話したん?」
ミ ● ●彡「はっはっは。嘘はついとらんぞ」
ミ ● ●彡「多少、面白くなるようには色を付けたがな」




