勇者達はジジイの昔話を聞くようです
505 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/06(日)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
(^ω^;)「ババアがタヌキを裏切ったって?」
(’A` )「本当なのか?」
ミ ● ●彡「我は嘘はつかん」
(゜、゜*)「いや、王宮で騎士団長を騙してたじゃない」
ミ ● ●彡「……」
ミ ● ●彡「……あれは幾年も前のことだ……」
(゜、゜*)「無視すんじゃないわよ」
(・∀・ )「都合が悪いからね」
506 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/06(日)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
ミ ● ●彡「元々我らの里は、西ゼリヤのカッカ山の麓にあった」
ミ ● ●彡「貴様らが知っているかは知らんが、カッカ山にはラクシズと西ゼリヤ王国の首都・アロスティを結ぶ街道が通っているだろう」
(’A` )「あぁ、何回か峠を通ったな」
ミ ● ●彡「うむ。だが、北から山を迂回する道が既にあったのだ。しかし人間どもは交易に不便だなんだと言って、現在の道を作りたがった」
ミ#● ●彡「そしてあろうことか、我らに立ち退きを要求してきたのだ!先祖代々住んでいた我らの里を潰して道路にするために!」
ミ#● ●彡「我らは徹底的に抗った!生ぬるい抵抗など、力で押し潰されてしまうことは人狼族や人獺族で証明されていたからな!」
(゜、゜*)「オオカミとカワウソ?」
ミ ● ●彡「彼奴らもまた街道整備計画の中で故郷を失ったのだ。人狼族は森を、人獺族は川を……」
ミ ● ●彡「しかし我らは、故郷を奪われない為の作戦をちゃんと考えていたのだ!」
(・∀・ )「どんな?」
ミ ● ●彡「西ゼリヤ国王に直訴!」
(・∀・ )「作戦か……?」
(’A` )「自棄糞だろ」
ミ ● ●彡「いや、勝算はあった……ヨイノマの狐との連名で直訴したからな」
(^ω^ )「ババアと?」
ミ ● ●彡「あの女狐は神主として国王から信頼を得ていた数少ない獣人。昔から獣人と人間との橋渡し役でもあった」
ミ ● ●彡「そんな者の直訴とあっては国王も無視はできん、我らは無事に交渉の場を設けることができた」
ミ ● ●彡「だが……」
ミ#● ●彡「だが奴は裏切った!交渉の場に現れなかったのだ!」
(^ω^;)「えっ?自分の名前で直訴したのに?」
(’A`;)「それは何故なんだ?」
ミ#● ●彡「理由は分かっておる!あの女狐は人間側に寝返ったのだ!」
ミ ● ●彡「自分の神社への寄進と引き換えにな!」
507 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/06(日)18:00:00.00 ID:1399336
【回想】
(. ∀ )「おや、"ヨイノマの巫女"殿はいらっしゃらないのですか?」
ミ●ω●;彡「い、いやぁ、もう来ると思うんですがね……」
(表向きの里長:狸影)
(. ∀ )「……話になりませんな。私達は彼女の名があったからこそ、この交渉のテーブルについているのです」
(. ∀ )「"ヨイノマの巫女"殿が居ないのであれば、交渉は決裂……帰らせていただきます」
ミ●ω●;彡「ちょっ!ちょいと待っとくれ!」
交渉を中止しようとする人間側の使者と狸影の会話を、隠神は陰から聞いていた。
ミ● ● 彡(おかしい……あの狐が遅刻など。なにかあったのか?)
ミ● ● 彡(神社に様子を見に行ってみるか……)
508 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/06(日)18:00:00.00 ID:1399336
【回想 リナイ神社】
ミ● ● 彡(む、本堂から声が)
ミ● ● 彡(この声は狐と……誰かが話しているな)
「はぁ~~関心関心。そうか、そちらもようやくわしの話を理解してくれたようじゃな」
「ええ、それはそれは。"ヨイノマの巫女"様のお話を聞き、私は深く心を痛めまして」
ミ● ● 彡(……社長?建設会社のか?)
「こちら、心ばかりではございますが。会社から持ち出してきました」
「ほぉ~~お主も悪よのぉ~~」
ミ● ●#彡(!!?)
ミ● ●#彡「そ、そんな……狐……お前……」
ミ● ●#彡「この裏切り者がぁぁぁっ!」
508 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/06(日)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
ミ ● ●彡「……というわけだ」
(’A` )「まさかババアが金に目が眩むとは……」
(・∀・ )「いやでも、最初から金にはガメつかったし。初穂料ボラれそうだったじゃん」
(゜、゜*)「ヨイノマの森も、結構しっかり整備されてたものねぇ」
ミ#● ●彡「そうだ!奴は自分の神社の為に、同じ西ゼリヤの獣人である我々を売ったのだ!」
ミ#● ●彡「結局、交渉は決裂!故郷を奪われた我らは長い旅の末に、この地へとたどり着いたのだ!」
(゜、゜*)「う~ん……でも私、あの人はそんな、誰かを裏切るような人じゃないと思うけど」
ミ ● ●彡「ふんっ他人の心の内など分かるものか!信じられるのは家族だけだ!」
(・∀・ )「一回、ちゃんと話してみたら?もしかしたらなにかの誤解かも」
ミ ● ●彡「誤解なものか!我は身を隠して本堂に乗り込み、この目で見たのだ!人間から賄賂を受け取るあの狐をな!」
(・∀・ )「話は聞いたの?」
ミ ● ●彡「……」
ミ ● ●彡「……した!」
(・∀・ )「嘘ついてんじゃねぇ」
ミ ● ●彡「しなくとも見たら分かるだろ!小判が敷き詰められたお重が三段重ねだぞ!?」
(’A` )「山吹色のお菓子って実在したんだな」
(゜、゜*)「相当、人間不信に陥ってるみたいね……」
(^ω^ )「……」
(’A` )「ん?そういや戦士、やけに大人しいな。どうした?」
(^ω^ )「あぁ、いや」
(^ω^ )「ジジィの昔話は1ページでまとまったなって」
「そもそもあいつは昔っから!」ミ● ●#彡
(’A` )「……まとまってなさそうだぞ」




