勇者達は狸の隠れ里を訪れるようです
502 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/05(土)18:00:00.00 ID:1399336
ミ ● ●彡「……」
ミ ● ●彡「……よし、着いたぞ。"狸隠れの里"に」
ミ● ● 彡「どうだ、人里から遠く離れた高原のオアシス"ロック湖"がよく見えるだろう。朝夕は湖面に美しい茜色に染まり、夜は黒い湖面に綺麗な満月が浮かぶ。一日中、いや年中見ていても飽きない、カンヴァスのような湖だ」
(’A⊂;)「うっ」
ミ● ● 彡「翻ってみよ、我らの里を。俗世の喧騒などとは無縁の隠れ里にいるのは皆、我が家族で……」
(’Д⊂;)「おぼろろろろろろしゃああああ……」
ミ;● ●彡「うわあ!?い、いきなり吐くな貴様!」
(’Д⊂;)「いやだってすごい酔うろぼろろろろろs」
(;・∀・)「うわ、たしかに転送の時の揺れはすごかったけど……」
(;・Д・)「吐くほどぼろろろろろろ」
ミ;● ●彡「ええい!汚い!湖でしてこい!ついでに洗ってこい!」
( ^ω^)「カンヴァスのような湖がゲロまみれだ」
(゜、゜;)「まぁ、吐くほどじゃないけど私も酔ったから気持ちは分かるわ。アンタはよく平気ね」
( ^ω^)「ベーリング海の荒波に比べれば余裕よ」
(゜、゜*)「久しぶりに聞いたわアンタの蟹工船自慢」
(゜、゜*)「それより修道女ちゃんは平気?」
(゜、゜*)「……あ」
ミ ● ●彡「貴様らは平気なら先に屋敷に行っとれ。我はこの汚れた道を片付けねばならん」
(^ω^ )「屋敷ってどこよ」
ミ ● ●彡「この先、里の一番高いところにある茅葺きの平屋だ。分からねば他の狸に聞け」
(゜、゜*)「……大丈夫なの?私達は部外者でしょ?警戒されない?」
ミ ● ●彡「心配するな。里の者には貴様らを連れてくると行っているし……その戦士の顔は知っとる者も多い」
(^ω^ )「えっなんで?」
ミ;● ●彡「貴様はカッカ山で大勢の狸と駆け回ったのを忘れたのか?」
(^ω^;)「あっ!あぁ~~~~」
(^ω^;)「あれ?じゃあ俺と爺さんって、もう既に一回会ったことある!?」
ミ;● ●彡「……」
ミ;● ●彡「……呆れたな。忘れておったのか」
(゜、゜*)「アンタなにそんな重要な事を忘れてんのよ」
(^ω^;)「だってあの時と顔も違ぇんだもん、しゃーないだろ!」
503 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/05(土)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
(゜、゜*)「しっかし、ホントのどかな場所ねぇ」
(^ω^ )「なぁ、"田舎"って単語ひとつでAIが生成しそうな風景だ」
(゜、゜*)「カスみたいな感性を出力しないで」
(^ω^ )「あっと、田んぼに誰かいる」
(^ω^ )「すんませ~ん」
ミ ●ω●彡「はーい、どうしましたぁ?」
ミ;●ω●彡「……って、お前は!」
(゜、゜*)「また知り合い?」
(^ω^ )「いや知らん」
ミ;●ω●彡「いやいやいや!知らんわけないがな!ワシじゃ、狸影じゃ!A級賞金首の!」
(^ω^ )「……」
(^ω^ )「?」
ミ;●ω●彡「こいつ……マジで覚えとらんのか……」
(゜、゜*)「ごめんなさい、アホなの」
(^ω^ )「アホだそうです」
ミ;●ω●彡「……こんな奴に負けたのが恥ずかしいわい」
ミ;●ω●彡「ハァ……それで、なんのようじゃ?」
504 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/05(土)18:00:00.00 ID:1399336
【狸隠れの里】
ミ●ω● 彡「ここが隠神様のお屋敷じゃ」
(^ω^ )「はぇ~、初めて来たのに懐かしい家だ」
(゜、゜*)「たしかにね。自分の祖父母もこんな家に住んでないけど懐かしさを覚えるわ。原風景ってヤツかしら」
(^ω^;)「うわっ囲炉裏があんぞ?ろばた焼きの店でしか見たことねぇ」
(゜、゜*)「昔の人はここで暖を取ったり、料理したりしてたのよねぇ」
ミ;●ω●彡「別にワシらは今もそうしとるがの……」
ミ ●ω●彡「さて、せっかくの客人を放っとくのも忍びないでな、茶でも淹れてやろう」
(゜、゜*)「いいの?勝手にあがっちゃって」
ミ ●ω●彡「かまへんかまへん。隠神様の私室は離れでな、母屋は殆ど里のタヌキの集会場みたいなもんじゃ」
ミ●ω● 彡「たしか戸棚に茶葉の残りが……」
(゜、゜*)「なんか隠れ里って聞かされてたから身構えたけど、意外とフレンドリーなのね」
ミ ●ω●彡「ガハハハ、タヌキはみんなお人好しじゃからなの。里のタヌキもええ奴ばかりじゃ。今夜はどうせ宴会になるけ、ワシから紹介したるわい」
(^ω^*)「おっ宴会開いてくれんの?」
ミ ●ω●彡「そりゃあ外から人間が来るなんて初めてだし、なにしろ来るのが"伝説の勇者"。みんなお前らの冒険譚を聞きたくて興味津々じゃ」
(゜、゜;)「期待されても、そんな面白い話はないわよ?」
ミ ●ω●彡「なら5割増しで話を盛ってくれればええわい」
(゜、゜;)「こうやって伝説って誇張されていくのね」
ミ ●ω●彡「さてと……ほれ、お茶。西ゼリヤ産のええ奴じゃぞ?」
(^ω^ )「へぇ~~あそこってそうなんだ」
(^ω^ )「……」
(^ω^;)「ん?……あれ?」
ミ ●ω●彡「どうした?煎茶は苦手か?」
(^ω^;)「いや、なんか違和感が……なにか忘れてるような……」
(゜、゜*)「覚えてることの方が少ないじゃない」
ミ ●ω●彡「魚とか大豆をよく食べたほうがええぞ」
(^ω^;)「それはよく食べてる……ん~~~~」
(ーωー´;)「ん~~~~~~~~」
(^ω^ )「あっ!そうだ、ババアの昔話!」
ミ;●ω●彡「ババアの昔話?」(゜、゜;)
(^ω^ )「そうそう。魔王城に行く前にさ、リナイ神社の神主ババアの話を聞いたんだよ」
ミ ●ω●彡「!……リナイ神社。ヨイノマの狐か」
(゜、゜*)「あぁ、あの人。それで?」
(^ω^ )「その昔話に西ゼリヤ王国の獣人が集会するだけの一幕があったんだけど、隠神が出てきたんだよ」
(゜、゜*)「ふぅん……ん?待って、西ゼリヤ王国?」
(^ω^ )「そうなんだよ。なんでこんな極東に住んでるタヌキが西ゼリヤ王国の獣人の集会に参加してたんだ?」
(゜、゜*)「うん。それに、アンタらタヌキと私達って、西ゼリヤ王国で会ったわよね?なんで里からあんな遠い所に来てたの?」
ミ;●ω●彡「……う~ん、こりゃ隠神様から話してもらった方がええんじゃが……」
ミ ● ●彡「その答えは単純だ。西ゼリヤの故郷が失くなったから、ここへ逃げてきた……それだけだ」
ミ●ω●;彡「隠神様!」
(;’A`)「俺達もいるぞ……」
(;・∀・)「うぅ……まだ気持ち悪い」
(^ω^ )「お前ら!」
ミ ● ●彡「ちょうどいい。貴様らには話しておこう」
ミ ● ●彡「マルク帝国、そして"ヨイノマの狐"が我らの故郷を奪った悲劇をな!」




