勇者達は王宮から脱出するようです
498 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/04(金)19:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 王宮】
( ━十━)「おい、そっちはどうだ!?」
(━Ⅰ━ )「一番隊より報告!宮殿東棟の礼拝堂は異常なし!逆賊の姿はありません!」
(━十━ )「了解!こちらは!?」
( ━二━)「二番隊より報告!東棟の劇場、異常なし!」
( ━十━)「了解!三番隊はどうだ!?」
(━≡━ )「はっ!三番隊より報告!厩舎を見回りましたが、異常ありませんでいた!」
(━#━ )「四番隊!西棟客室、すべて改めましたが異常なし!」
(━Λ━ )「五番隊、報告します!……」
……
(━冒━ )「九番隊は書庫を確認しましたが、隠れてはおりませんでした!」
(;━十━)「……っ!了解、他の隊と合流し、庭園を探せ!」
(━冒━ )「了解しました!」
(;━十━)「……くそっ!逆賊共め、どこに消えた?」
( ━二━)「騎士団長!」
(━十━ )「む、どうした二番隊」
( ━二━)「二番隊より報告します!東棟の劇場に異常ありませんでした!」
(━十━#)「なにを言っている!その報告はすでに聞いたぞ!」
(;━二━)「えっ?誰からですか?」
(━十━#)「お前からに決まって……」
(━十━#)「……」
(;━二━)「……」(━十━;)
(━十━;)「騙されたぁぁぁぁっ!?」
(;━二━)「いったいどこで……まさか、変身魔法の類!?」
(━十━;)「宮殿は対抗魔法の陣で守られている!そんな姑息な魔法は使えんはずだ!」
(━十━;)「ちっ!魔術警備隊の奴らはなにをしている!確認を急げ!」
( ━二━)「はっ!」
499 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/04(金)19:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 王宮】
(━二━ )「……」
ミ● ● 彡「ふん。馬鹿な奴らだ。貴様らごときの対抗魔法で『千変万化』が破れるワケなかろう」
(^ω^ )「すげぇ……あの隊長っぽいの後ろの俺達に全く気づかずにスルーしてたけど、どういう状態?」
ミ ● ●彡「『千変万化』の術で貴様らの身体を景色に、声を風に"見せている"だけだ。向こうは貴様らを見ることも聞くことも叶わん」
(’A`;)「チートすぎる」
(゜、゜*)「日本で働いてたときに、その魔法が欲しかったわ。どこにでも侵入し放題じゃない」
ミ ● ●彡「ダメだダメだ。この力をたかが仕事に使うなぞ、もったいない」
(゜、゜*)「じゃあアナタは何に使ってるの?」
ミ*● ●彡「さっきやって見せただろう。必死に働いとる奴らを、"からかう"のに使うのだ。つまりは悪戯の術だ、はっはっは!」
(゜、゜*)「よっぽどもったいないじゃないのよ」
(・∀・ )「それより隠神さん……でしたっけ?なんで俺達を助けてくれたんですか?」
ミ ● ●彡「ん?魔王の遺言だからだ」
(・∀・;)「魔王の?なんだって、そんなことを?」
ミ● ● 彡「知らん。アイツは何も説明せずに死んでいったからな」
(・∀・;)「……」
ミ● ● 彡「まぁ積もる話はあるが急ぐぞ。魔術師の奴らに『千変万化』を解析する猶予を与えたくはない」
(゜、゜*)「急ぐって、どこかに隠れ家でもあるの?」
ミ ● ●彡「あぁ。我が"狸隠れの里"に入れてやろう」
(’A`;)「規模がちげぇ」
(^ω^ )「そこって近いの?」
ミ ● ●彡「大陸の極東、ロック湖の畔だ」
(・∀・ )「ここ大陸のド真ん中なんだけど?」
500 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/04(金)19:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 城外の森】
ミ ● ●彡「……この辺りだな」
(^ω^;)「ねぇ、マジでこのまま大陸横断すんの?」
(’A`;)「せめて馬車でも借りようぜ」
(;・∀・)「ムリだよ。馬車借りるにも身分証が必要だし……」
(゜、゜*)「冒険者証を出そうものなら、そこから足がつくわね」
(’A`;)「だからって徒歩は無理だって」
ミ ● ●彡「ん?誰が徒歩だと言った?」
(’A` )「あ?てめぇがなんにも言ってねぇだけだろうがよ」
(・∀・ )「俊敏なブチギレ」
ミ ● ●彡「前に帝都に来た時、いつでも帰れるように直通の"入口"を作っておいたのだ……おっと、あったあった」
隠神が立ち止まった場所には枝や木の実が規則的に並べられていた。
ミ ● ●彡「"狸隠れの里"への転移用魔法陣だ」
(^ω^ )「この世界ワープ的な魔法あったんだ」
(’A`;)「今まで俺達はなんで馬車なんかで移動を……」
ミ ● ●彡「ふはは、転移魔法は"失われた魔法"、我が里の者以外に使える者はもう居らん」
(’A`;)「なんでそんな重要そうな技術が失くなったんだよ」
(・∀・ )「引き継ぎはちゃんとしようねって話?」
ミ ● ●彡「全ては人間どもの欲が引き起こした事よ」
ミ ● ●彡「さて準備は整った。みな、魔法陣の内側へ」
(゜、゜;)「……こんな子供のおままごとみたいな魔法陣でちゃんと移動できるの?」
ミ ● ●彡「無論。それでは飛ぶぞ。くれぐれも足を陣の外に出すなよ?ちぎれるぞ」
(^ω^;)「怖っ!」
ミ ● ●彡「"東へ往く風、里に来た風"」
ミ ● ●彡「『転移魔法:千里同風』」
501 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/04(金)19:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 玉座の間】
(━十━;)「申し訳ありません、皇帝陛下!逆賊は既に王宮内には居らず。手引きした者がいると思われます」
(#,゜∀゜)「ぐぬぬ……あの逆賊に手を貸す不届き者がいるとは!」
(#,゜∀゜)「すぐに各国の騎士団に手配書を送り、逆賊共を捕らえよと伝えろ!」
(━十━ )「はっ!直ちにっ!」
(;,ー∀゜)「……はぁ、伝説の勇者は一騎当千の強者。ひとりだけならどうとでもなるが、四人も居るとなっては厄介この上ないな……」
(;,゜∀゜)「せっかく魔王を倒したのに、なぜこうも憂い事は減らぬのか」
(゜∀゜.)「まぁまぁ兄上。私によい考えがあります」
(,゜∀゜)「ほう?ドナドから進言とは珍しい。申してみよ」
(゜∀゜.)「人々の願いを叶えるという"風の天使"と"炎の天使"が、魔王に神殿を破壊された影響で、ちょうど聖アガメマス教会総本山に帰ってきております」
(゜∀゜.)「ゆえに彼らに神託を伺うのはいかがでしょうか?」
(,゜∀゜)「勇者に力を授けたという、あの四大天使の……」
(,゜∀゜)「……」
(;,゜∀゜)「たしか四大天使がやらかしたせいで、勇者が四人も召喚されたんじゃなかったか?ほんとに神託もらって大丈夫?」
(゜∀゜;)「……まぁ、話だけでも……」




