勇者は死刑です
494 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/03(木)20:30:00.00 ID:1399336
──女神と魔王の再・最終決戦。勝ったのは、女神だった。
──女神の奇跡により、大地には花が咲き乱れ、空には虹がかかり、海は魚で溢れ、魔王に支配されていた人々はすべて解放された。
──魔王に囚われていたマルク皇帝も帝都に帰り、人々は王の凱旋に大いに沸いた。
──世界に平和が訪れたのである。
──そして皇帝は、伝説の勇者を呼び出した。
495 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/03(木)20:30:00.00 ID:1399336
(,゜∀゜)「死刑」
(^ω^ )「えっ?」
■ 手違いで異世界に勇者が4人も召喚されたようです。多い分には困らないので、数の力で魔王をぶっ殺しましょう! ■
■ 完 ■
496 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/03(木)20:30:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 玉座の間】
(^ω^;)「じゃなくて!」
(゜、゜*)「なんで死刑にされなきゃいけないのよ」
(,゜∀゜)「だって貴様ら、魔王と戦ってないだろ?」
(,゜∀゜)「ただテーブルに座ってフルコースに舌鼓を打ちながら、女神様と魔王の戦いを観ていただけじゃないか」
(#,゜∀゜)「私が、魔王に足蹴にされたときもな!」
(’A` )「魔王の力で動けなかったんだから仕方ないじゃないスか」
(#,゜∀゜)「ふんっ、だとしたら伝説の勇者など詐欺ではないか!貴様らは魔王を倒す力を持つのではないのか!?」
(’A` )「そんなん知らんけど」
(゜、゜*)「アナタもあの場所に居たんなら分かるでしょ?魔王は女神になったの」
(゜、゜*)「魔王を倒せるとは言われてるけど、女神を倒せるなんて言われてないわ」
(#,゜∀゜)「詭弁だッ!」
(,゜∀゜)「というか魔王が女神になったとか余計な事は言うな。都合が悪いから」
(゜、゜*)「あら、事実を改ざんするつもりなの」
(,゜∀゜)「改ざんではない。編纂するだけだ」
(^ω^ )「言い換えただけじゃねぇか」
(,゜∀゜)「そういう細かい意識が歴史を作るのだ」
(;,゜∀゜)「……あの、いま気づいたけど、ひとり居なくない?」
(^ω^ )「道化師くんはトイレ行ってます」
(#,゜∀゜)「なんで謁見よりトイレ優先してるんだ!」
(’A` )「ウンコが出たいって言ってました」
(#,゜∀゜)「我、皇帝ぞ?」
(゜、゜*)「私達は勇者よ」
(#,゜∀゜)「うるせぇ!もういい、お前ら全員死刑!明日死刑!決まり!」
(^ω^ )「クソ横暴すぎる」
496 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/03(木)20:30:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 玉座の間】
(゜∀゜.)「まぁまぁ兄上、そんなに声を荒らげるとお身体に障りますよ」
(#,゜∀゜)「……ドナドか、何用だ?」
(゜∀゜.)「いえ。勇者が"聖地の証"を回収してきて頂いたようなので、そちらを取りに来ました」
( ^ω^)「あ、これスか?」
戦士はポケットから"聖地の証"……という名の小石を高弟ドナドに手渡した。
(゜∀゜.)「はい、たしかに。ありがとうございました」
( ’A`)「あの、すみません高弟さん。アナタの兄上が僕達を死刑にしようとしてるんですよ。なんとか言ってやってくれません?」
(゜∀゜.)「……そうですか」
(゜、゜*)「私達はアガメマスの女神から召喚された勇者よ?それを死刑にするって教義的にはダメなんじゃない?」
(゜∀゜.)「ふむ……」
(゜∀゜.)「まぁ……」
(゜∀゜.)「死刑でいいんじゃないですか?」
(;^ω^)「クソがよ!!」
(;’A`)「どういう理屈だ!」
(゜∀゜.)「勇者の役割は魔王が死んだ時点で失くなってますし」
(゜、゜*)「用済みになったら殺すってこと?野蛮ね」
(゜∀゜.)「もちろん、それ以外にも理由はありますよ?」
(゜∀゜.)「まずはアナタ達勇者の持つ武力が問題です。天使様に力を頂いたアナタ達は、すでに一国の騎士団と渡り合える力を持っている」
( ^ω^)「そうか?」
(’A` )「あんまり実感ないよな」
(゜∀゜.)「実感がなくとも、そうなのですよ。そして、それほど大きな力は我々にとって脅威でしかありません」
(゜、゜*)「そんな脅威になるようなことしないわよ」
(゜∀゜.)「本当に、そうでしょうか?」
(゜∀゜.)「アナタ達は"鎹"に随分と感情移入していましたよね?」
(゜、゜;)「……」
(ー∀ー.)「まぁ、感情移入したくなるような子を"鎹"に選びましたので、仕方がないのですか」
(゜∀゜.)「さて、そんな子が"形代"となりましたが……私の目には、アナタ達はそれに納得していないと見える」
( ^ω^)「生贄に納得できる奴いねぇよ」
(゜∀゜.)「生贄ではないのですが……まぁ、仕方ありません。異世界人に理解してもらおうとも思いません」
(゜∀゜.)「そしてなにより、異世界人の勇者の伝説は、マルク帝国の威光に影を差しますので」
(゜∀゜.)「……アナタ達の存在は"なかったことにします"」
高弟ドナドが腕を上げると、扉が開いて王宮兵士の大軍がなだれ込んできた。
(゜、゜;)「ちぃっ!プランB!」
(;^ω^)「クソが!やっぱりこうなると思ったんだ!」
(’A`;)「魔王を倒した勇者を処刑しようなんてベタ過ぎなんだよ!」
咄嗟に煙幕を張った勇者達は、元々天窓に仕掛けていたロープを伝って目にも止まらぬ速さで玉座の間から脱出した。
#;,つ∀゜)「ちっ煙幕か!兵士よ、であえであえぇぇ!」
(゜∀゜.)「……ふむ。こちらの兵を攻撃する気はない、か」
497 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/07/03(木)20:30:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 王宮内のどこか】
(゜、゜*)「さて、とりあえず窮地からは脱出はしたわね」
( ^ω^)「姐さん、これからどうする?」
(’A` )「つーかプランBって何?」
(゜、゜*)「んなモンないわよ」
(゜、゜#)「というか道化師はいつまでトイレ行ってるのよ!」
( ^ω^)「そりゃでっかい方だし、まだいきんでんじゃね?」
( ’A`)「便所で死ぬのは嫌だな」
( ・∀・)「おっすー、おつかれー」
(゜、゜#)「遅いわよ!手ぇ洗った!?」
(’A` )「案の定、皇帝に死刑宣告されたわ」
( ・∀・)「あぁやっぱり?あるあるだよね」
(^ω^ )「で、ここに居ても捕まるし逃げようと思うんだけど。どうしたらいいと思う?」
( ・∀・)「それなら……」
物陰で話している勇者達の背後に、ひとつの影が忍び寄る。
ミ ● ●彡「おい。こんなところで何をしている」
それは、タヌキの獣人だった。
(^ω^ )「あっゲストスピーチの人」
(’A` )「こんなところで何してるんスか?」
ミ;● ●彡「うるさい奴らだ、敵に見つかりたいのか?」
ミ ● ●彡「……死にたくないなら我についてこい」




