新しい女神は裁くようです その①
469 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/29(日)19:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム】
( ´_ゝ`)「さぁ、"女神様の降臨"です!」
ぷぁ~~~~ぷぁぱぱぱ~~~~~~
(゜A゜*)『東の空から日が昇る~~♪』
演奏が流れ始めると、魔法の力で浮いているのだろうか、舞台の天井から魔王が歌いながら降りてきた。
(;ФωФ)「こ、この曲は……」
(;・∀・)「海底神殿で聴かされた中身ゼロソング!」
(゜A゜*)『東の空から夜が来る~~♪』
(゜A゜*)『東の果てには何がある~~♪』
(゜A゜*)『東の果てには神がいる~~♪』
(゜A゜*)『あゝ我らのアガメマス~~♪』
(゜A゜*)『然り我が名はアガメマス~~♪』
魔王が"聖地の証"という名の石の上に着地すると、それはまばゆい程の輝きを放ち出し、魔王を包み込んだ。
(゜A゜*)「さて、これで晴れて、神が世界に降臨した」
(゜A゜*)「世界の平和はもうすぐそこや」
470 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/29(日)19:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム】
(゜A゜*)「さて、という訳で降臨祭はこれで完了や。ご清聴どうもありがとさん」
( ^ω^)「これで終わりなの?プロフィールムービーとかゲストスピーチと比べて短すぎない?」
(゜A゜*)「せやかて誓いのキスだって一瞬やろ」
( ・∀・)「それと同じカテゴリなんだ」
( ’A`)「だとしたらプロフィールムービーの前にやれよ」
( ^ω^)「いやコース料理がまだ3品しか来てないのに終わることの方が由々しき事態だろ」
(゜、゜*)「由々しいのハードルが低いわね」
(・∀・ )「人生のハードル高そう」
( ´_ゝ`)「それなら問題ありません!降臨祭は終わりましたが、これより新女神様による初の"審判"が行われます!」
( ´_ゝ`)「今宵、その秤に乗せられるのは、マルク元・皇帝陛下殿です!」
(゜□゜;)「!?」
471 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/29(日)19:00:00.00 ID:1399336
(;ФωФ)「しっ……"審判"……?」
(;ФωФ)「魔王、いったい何をするつもりですか!」
(゜A゜*)「もう魔王やない、女神や。まだ慣れんかもしれんが頼むで?」
(゜A゜*)「"審判"っつうのは、その名の通りや。これからはな、人間を裁く"ものさし"、"規範"、"法"……これらは全て神が担う」
(゜A゜*)「いや、元々はそれらは神の領分、神の役割だったから"取り戻した"と言うのが正しいわな。神の真似事で他人を裁くなぞ思い上がりも甚だしい」
(゜A゜*)「神が常に人を"見守り"、罪を犯した人は即座"裁き"、"処罰"する……これが世界の新しい秩序や!」
( ^ω^)「無理じゃね?」
(゜A゜*)「それができるのが神なんや!」
(゜A゜*)「"女神の水晶玉"の千里眼の力で人間の行動はぜんぶ見えるし、嘘を吐こうが内心は筒抜けや!」
(゜、゜*)「だとしても手が足りないでしょ」
( ・∀・)「千手観音みたいに増やす?」
(゜A゜*)「要らん!『ここに在って、ここに無い』の矛盾を超えるのが神という存在や。神の掌に全人類を乗っけるなぞ造作もないわ!」
(゜A゜*)「ウチは悟った。この世界、人が人を治めるには限界がある!強い奴が弱い者を蹴落とし、弱い奴が強い者を引きずり下ろす、歴史なんてその繰り返しやんか!有史以来、ついぞ人間は自由と平等、そして平和を享受できなかった!」
(゜A゜*)「古代の戦争で勝ち上がったマルク帝国だってそうや。民は金と法に縛られ、貴族の刹那的享楽を支える為に、生涯を労働に費やす。聖アガメマス教会を正義として、他の宗教や獣人を身勝手に"悪徳"や"魔"と断ずる!」
(゜A゜*)「そこには自由も平等もないし、平和であるとも言わさん!」
(゜A゜*)「だから、神の管理で世界は平和になるんや!」
( ’A`)「息苦しそう」
(゜A゜*)「罪人にとってはそうやろうな。良い世の中になるで」
(゜、゜*)「でも、アンタが世界帝国を倒して新しい秩序を作った所で、結局その歴史の繰り返しになるだけじゃないの?」
(゜A゜*)「ならんで、だってウチ神やもん」
(;^ω^)「コイツ、理論武装完璧かよ」
( ・∀・)「理論なんて呼べねぇよこんなモン」
( ・∀・)「ちなみに新女神様、人間を裁く時の基準って決まってるんですか?まさか気分で人を裁いたりしませんよね?」
(゜A゜*)「もちろん、そんな馬鹿な真似はせぇへんで!」
( ・∀・)「ですよね」
(゜A゜*)「夜なべして最強のルール辞典を作ったからな!」
( ・∀・)「ダメそう」
472 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/29(日)19:00:00.00 ID:1399336
(゜A゜*)「じゃ、早速マルク元・皇帝陛下を裁いていくで~~~余罪が沢山でてきそうやな」
(゜□゜;)「んー!んー!」
魔王、もとい新女神は、マルク皇帝を自分の前に連れてこさせると、水晶玉を覗き込んだ。
(゜A゜*)「えーっとまずは……ロコラ城砦の戦いにより、2687名を死に追いやった……あ~これはアレやろ。鉄王の鉄血兵団にボコボコにされた奴やな」
ミ● ● 彡「我の金剛不壊の術で強化された兵に蹂躙されたらしいな……それも此奴の罪なのか?」
(゜A゜*)「そら戦争の責任をとるのが王やからな。じゃなかったら何の為に生きとるのか分からんやろ」
(゜A゜*)「続いてお次はプリスク河畔の戦いに、サイラム海戦、チブダ砂原戦……ぜんぶウチんとことの戦争やんけ!」
( ^ω^)「そりゃ最近まで戦争してたんだからそうなるでしょ」
(゜A゜*)「こりゃウチとの戦争の分の罪はまとめて裁くか……百万回死刑で」
( ’A`)「いますっげぇ馬鹿な言葉が聞こえてきたんだが」
(゜、゜*)「百万回死刑ってなによ」
( ^ω^)「死刑は1人1回がルールでしょ」
(゜A゜*)「いやな、ウチは常々思とってん。二人以上の命を奪った奴が、なんで1回死んだくらいでチャラになるんやとな」
( ^ω^)「まぁ、それは俺も思わんくもない」
( ’A`)「そこら辺、議論はあるけどもな」
(゜A゜*)「だから死刑は加算制にした。ひとり殺したら一回死刑。ふたり殺したら死刑を執行して、一度ウチが蘇生して、もっかい死刑にする」
( ・∀・)「死刑廃止論者が聞いたら卒倒しそう」
(゜、゜*)「究極の二度手間」
(゜A゜*)「手間かけさせとるのは罪人やからな。ぜんぶ罪を犯す奴が悪いんや」
( ・∀・)「ルール決めたのテメェだろうが」
(゜A゜*)「ちょっと他の罪も見てみるか……えーっと、晩餐会でクチャクチャ音を立てながら食べて、注意した執事に暴言を吐いた……」
(゜A゜*)「なるほど……」
(゜A゜*)「死刑やな」
( ^ω^)「おい待てぃ」
( ・∀・)「罪に対して罰が重すぎない?」
(゜A゜*)「クチャラーは百歩譲ってしゃあないにしろ、その後に暴言を吐いたからな」
(゜、゜*)「まぁ……それは良くないけど」
(゜A゜*)「次。複数人で横並びに歩いて道を塞ぎ、通行を妨害した……」
(゜A゜*)「うーん、これは……」
(゜A゜*)「死刑やな」
( ’A`)「罪の価値が暴騰しとる」
(゜、゜*)「マナーは悪いけど、注意くらいにしときなさいよ」
(゜A゜*)「いや、横並びで道塞ぐ奴らは死刑。クソうざいからな」
(゜A゜*)「ウチの最強ルール辞典にもそう書いてある」
( ・∀・)「その自分ルール辞典が間違ってんだよ」
( ’A`)「ちょっと聞くけど……他にどんな罪があるんだ?」
(゜A゜*)「おっ知識の吸収に前向きな姿勢はええな。プラス20道徳ポインツ」
( ’A`)「クソみたいな数量化はやめろ」
(゜A゜*)「えー、ルール辞典によると……」
(゜A゜*)「汽車の扉付近で立ち止まって動かない、死刑」
(゜A゜*)「行列への割り込み、死刑」
(゜A゜*)「子供がした迷惑行為を申し訳なく思わない親、死刑」
(゜A゜*)「『なんでもいい』って言った事に対し文句を言う、死刑」
(゜A゜*)「店員にタメ口、死刑」
(゜A゜*)「座る時に脚を馬鹿みたいに広げる、死刑」
(゜A゜*)「無駄に声がデカい、死刑」
( ^ω^)「0か100かしかねぇのかテメェは」
( ・∀・)「命をなんだと思ってるんだ」