勇者達はプロフィールムービーを鑑賞するようです
460 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/27(金)18:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム】
(;・∀・)「女神に召喚された勇者は、女神に従ってしまう……?」
( ^ω^)「ちょっと論理的に飛躍してない?」
(゜A゜*)「しとらんで!"預言書"にもそう書いてある」
( ^ω^)「ほな論理的かぁ」
(゜、゜*)「なに従っちゃってるのよ」
(;ФωФ)「魔王め!勇者さん達を解放しなさい!」
(゜A゜*)「嫌や。ここへきて降臨祭の邪魔をされても、しょーもないでな。アンタも座って見とき」
(;ФωФ)「……っ」
(゜、゜;)「修道女ちゃん、いまは従うしかないわ……」
461 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/27(金)18:00:00.00 ID:1399336
(*゜A゜)「さぁ早速、降臨祭を開始するで。霊王!」
( ´_ゝ`)「はっ準備は完了しております!」
(;’A`)「ちょ……おい!なんでお前ピンピンしてんだよ!倒したはずだろ!」
( ´_ゝ`)「私は石橋を叩いて渡る男、貴様らが戦っていた霊体は戦闘用の分身なのだよ」
( ´_ゝ`)「まぁ安心してくれ、本体の私に戦闘能力はない。そこの修道女のビンタ一発で倒れる自信がある」
(・∀・ )「弱すぎる」
(^ω^ )「もっと体力つけたほうがいいよ」
( ´_ゝ`)「時間がある時にやろうと思ってる」
(*゜A゜)「無駄話しなや、霊王。ウチはスタンバイしとくから、進行は頼むで」
(;´_ゝ`)「あっ!はい、すいません!」
(;´_ゝ`)「それでは降臨祭。最初のプログラムは、魔王様……新女神様のプロフィールムービーです!」
霊王は魔法で空中に映像を投射する。いつの間にか魔王は姿を消していた。
( ´_ゝ`)「出席されてる方は新女神様について知らない方が殆どだと思いますので、このムービーで新女神様のコトを深く知ってください!」
(・∀・ )「ただの披露宴じゃねぇか」
(’A` )「でも俺あれ好きだぞ」
(^ω^ )「自分達が写ってる写真が出てくると嬉しいよな」
462 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/27(金)18:00:00.00 ID:1399336
【プロフィールムービー】
魔王様は大陸東部、今はなき東マル王国の王都に生まれました。お父上は診療所を経営しており、両親の愛情を一身に受けながら、愛と希望に満ち溢れる幼少期を過ごしておりました。
しかし幼年学院を卒業する齢十二の頃、聡明で可憐な女子に育った魔王様はある事に気がつきます。それは……
(*゜A゜)「うわっ……父ちゃんの年収、低すぎ……?」
医師というのは人々の病気や怪我を治す、社会にとって不可欠な職業……というのは太古の話。当時の東マル王国で、その役割を担っていたのは"聖アガメマス教会"の"祭司"でした。彼らは"回復魔法"という技術を持っていました。
回復魔法の台頭により、医師は閑職へと追いやられていました。苦い薬を飲まずとも、皮膚を裂かずとも、魔法の力で人々を癒せるのですから、当然とも言えます。
しかし、回復魔法にも出来ないことがありました。それは……"聖アガメマス教会"以外の異教徒を癒やすことです。回復魔法は、異教徒に対しては効果を発揮しない。そのように言われています。
(*゜A゜)「この東マル王国は"聖アガメマス教会"を国教にしとる。けど、ウチらみたいな別宗派のモンも多いし、獣人みたいな異教徒だって住んどる」
(*゜A゜)「父ちゃんは、回復魔法の効かない、そんな人達の為に診療所を開いとる……それだって十分、社会には必要なコトや」
(*゜A゜)「それなのになんで、こんな収入が低いんや?」
その優秀な学力によって王立魔法学院へと入学した魔王様は、勉学に励む傍ら社会について研究を始めました。
(*゜A゜)「なるほど。この世界は……聖アガメマス教会と、それを庇護するマルク帝国。そいつらを中心として回っとるんやな」
(*゜A゜)「聖アガメマス教会は回復魔法という技術を独占してるし、マルク帝国は過去の戦争で得た広大な領土と軍事力がある。逆らえるような国はおらん」
(*゜A゜)「そういった状況で、"聖アガメマス教徒では無い者"は周縁化される……つまり、ウチらみたいなモンは社会から排除されたり差別されとる」
(*゜A゜)「なんでや、なんで宗教が違うだけで差別されなアカンねん……こんなん間違っとるやろ」
勇敢で正義感に満ち溢れる魔王様は、自らが住む東マル王国に対して義憤を抱くようになりました。東マル王国も、マルク帝国の属国だったのです。
そして、"立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花"ご近所でも評判の魔王様はついに、その人生を一変させる事実を知ることになりました。
(;゜A゜)「なんやこれ!?聖アガメマス教会よりも、ウチの"東方アガメマス教会"の方が歴史が長いやんけ!」
(;゜A゜)「しかも、この東マル王国の辺りは元々ウチら"アガム人"の国があったやと?」
(;゜A゜)「なのに、なんでマルク帝国の"マル人"がここに国を……」
(;ーAー)「……あぁ、負けたんか……戦争に」
(;゜A゜)「……聖アガメマス教会の奴らは、"東方アガメマス教会"の偽モンなのに……ウチらの方が先なのに……」
(#゜A゜)「そんな世界は間違っとる!"聖アガメマス教会"じゃないウチらの方が正しいんや!」
こうして、清楚端麗お見目麗しい美少女魔王様は凛と立ち上がりました。
(#゜A゜)「うぉぉぉぉ!勉強勉強勉強勉強!」
(#゜A゜)「うぉぉぉぉ!鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬!」
王立魔法学院を首席で卒業した天下一の才女・魔王様は、聖アガメマス教会へと"偽装改宗"し、東マル騎士団へと入団。その魔法の実力で頭角を現し、入団後数年で異例の騎士団長へと昇進。そして、東マル王の居城で開かれた騎士団長就任式にて……
( ´益`)「えーー……汝を騎士団長としてここに叙勲……」
(゜A゜*)「あ、すまん。そんなん要らんから死んでくれや」
東マル王、王族及びマル人貴族の全員をその場で殺害。クーデターを成功させました。
そして国号を"アガメマス帝国"と変え、自らをマルク皇帝の敵・"魔王"と称したのです……
463 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/27(金)18:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム】
( ´_ゝ`)「その後のご活躍については、皆さんご存知の通り!マル人以外の民族、獣人にも優しい"平和な国"を全世界に広げる為、マルク帝国の領土の半分を"取り返した"のであります!」
( ´_ゝ`)「なにか質問がある人!」
(’A` )「事実の誇張や優良誤認が多分に含まれているのでは?」
(・∀・ )「プロフィールムービーっていうよりプロパガンダじゃん」
( ´_ゝ`)「プロフィールムービーなんてそんなもんだろ」
(゜、゜*)「なんてこと言うの」




