勇者達は魔王に従うようです
457 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/26(木)18:00:00.00 ID:1399336
(;´W`)「なぁ情報屋よ、私達はこのまますごすご帰ってよいのか?」
(`・ω・)「仕方がないでしょう。私達がいて、どうにかなる相手ではないのだから。一旦は向こうに従ったほうがいい」
(`・ω・)「それよりも、いま起きているコトを持って帰る方が後々の為になる」
(;´W`)「むぅ……まぁ、そうかもしれんが」
(;´W`)「……ところで、諜報員がついてきてないんだが」
(;`・ω・)「あっ!忘れてた!」
458 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/26(木)18:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム 宴会ホール】
( ^ω^)「魔王に従って来たけど、ここがパーティ会場かぁ」
( ^ω^)「席だけで誰もいないんだけど」
( ・∀・)「これからパーティが開かれる様には見えないね」
(’A` )「騙されたってことか?」
( ・∀・)「いや、でも一つだけ料理が用意されてるテーブルがあるよ」
(゜、゜*)「あそこが私達の席ってことね」
(’A`;)「いったい何を考えてんだ?」
(#ФωФ)「考えられる可能性は一つしかありません!」
(#ФωФ)「魔王は僕達をここで殺すつもりなんです!」
( ^ω^)「でも殺す気はないみたいなコト言ってなかった?」
(゜、゜*)「舌先三寸、どうとでも言えるけどね」
( ^ω^)「じゃあなんで料理は用意してくれてんの?」
(;ФωФ)「……最後の晩餐のつもり、とか」
(・∀・ )「その概念こっちにもあるの?」
(*゜A゜)「そんな意味はあらへん。毒も入っとらんで安心して食い」
(^ω^ )「あら魔王。いつの間に」
(ФωФ )「!……その姿は……?」
458 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/26(木)18:00:00.00 ID:1399336
お色直しをした魔王は、新月のような漆黒のドレスローブを身に纏い、金色の月桂冠を戴き、ヘビをあしらい、脚まで装飾の伸びたサンダル……といった奇妙なゴージャス感のある風貌で現れた。
(・∀・ )「なにその格好?」
(*゜v゜)「ふふん!これがアガメマスの女神の正装"聖なる装束"や!」
(*゜A゜)「この黒のドレスは女神が司る"夜”を!月桂冠は"月"を現しているんやで、どや!」
(ФωФ;)「え、え……?」
(゜、゜*)「"聖なる装束"にしては、修道女ちゃんと違わない?」
皆の視線が修道女に注がれる。純白のワンピースドレス、銀の冠、麦藁のサンダル……盗賊の言う通り、二人の出で立ちは正反対のように見える。
(’A` )「ホントだ。同じ女神の衣装なのにな」
( ・∀・)「まぁ宗派が違えば同じ女神様の解釈も異なってくるでしょ」
(’A` )「違いすぎない?真逆じゃん」
(*゜A゜)「嬢ちゃんの服装が"聖なる装束"ぅ?」
(*゜A゜)「くくく、なんや変なコスプレしとると思っとったが……聖アガメマス教会の奴らは偽モンの"形代"のカッコを"聖なる装束"と思っとるんか?」
(ФωФ#)「なっ……偽モノとはなんです!?」
(^ω^ )「形代の女神とか言うのは、女神の後継者みたいなモンなんだろ?偽モノとまでは言えないんじゃねぇか?」
(*゜A゜)「けっ!後継者なんてウチは認めてないで!」
(^ω^ )「頑固だなぁ」
(*゜A゜)「じゃあお前は、別の監督が作った映画のリメイク版を全く文句もなく受け入れるんやな?」
(^ω^ )「原作の良さを再確認するだけで終わるわ」
(*゜A゜)「お前も魔王や」
(^ω^ )「お前は俺だったのか……」
(゜、゜*)「待って、リメイク版にはリメイク版の良さがあるはずよ」
(*゜A゜)「そんなコト言ってる時点で別物だと認めてるだけなんよな」
(*゜A゜)「ウチが認めるのはリマスター版までや!」
(’A`;)「相当頭の固い原理主義だぜコイツぁ……」
(・∀・ )「字幕や吹き替えはどう?」
(ФωФ;)「そんなにモノの例えのディテール凝らなくてもよくないですか?」
459 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/26(木)18:00:00.00 ID:1399336
(ФωФ;)「え、えぇい!どうせ敵同士、姿が違うなんてこともあるでしょう!」
(ФωФ#)「それよりも魔王!僕達を殺すつもりがないのなら、いったい何故ここへ連れてきたんですか!?」
(*゜A゜)「あーこれは降臨祭といってな、ウチが正式に女神になる儀式なんやが、それを見届ける生き証人が必要だと思ってな」
(*゜A゜)「そして、ウチを語り継ぐ証人には有象無象よりも名のある者がふさわしい……という訳でお前ら勇者が適任と思ったワケやな」
(*゜A゜)「あっあと、ウチに楯突いた"悪魔"としてマルク帝国の皇帝様にも出席してもらってるで」
「んーっ!んーっ!」(゜□゜;)
( ^ω^)「あっホントだ。誰もいないと思ったら、隅っこにひとりいた」
(;・∀・)「皇帝簀巻きに猿ぐつわされてんだけど」
(*゜A゜)「死なれたら困るからな。アイツにはまだ利用価値がある」
(*゜A゜)「さ、そこに座って見とれ。そして、ウチの降臨を見届けたあとは、帰ってそれを語り継ぐ……それだけでええんや。なっ勇者よ」
(;^ω^)「……ちっ」
(’A`;)「しゃあないな」
魔王に言われ、勇者達は素直にテーブルに着いた。
(ФωФ;)「ちょ、ちょっと!座っちゃうんですか?」
(゜、゜;)「ん。たしかに、そうかしら?」
( ・∀・)「まぁでもここは従うしかないんじゃないかな」
(;・∀・)「……あれ?しかないわけなくない?」
(;^ω^)「でも座らないとコース料理食べられねぇぞ?」
(’A`;)「そんなマナーを気にするような奴じゃねぇだろ」
(;ФωФ)「……みなさん?どうしたんですか?」
(゜、゜;)「あっいや、なんか体が……」
(;・∀・)「思うように、動かない?」
(*゜A゜)「いやいや、思い通りに動いとるで」
(*゜A゜)「ウチのな」
(’A`;)「!」
(^ω^;)「くそ!やっぱりなんかしやがったのか!」
(゜、゜;)「魔法かなにかを使ったわね!」
(*゜A゜)「いやいや。ウチはなーんもしてへんで。ウチに誓ってな」
(・∀・;)「じゃ、じゃあなんで俺達の体が自由に動かないんだ!」
(*゜A゜)「そりゃあ……勇者ってのは女神が召喚したやん?つーことは即ち、女神の"使い魔"や"召使い"みたいなモンや」
(*゜A゜)「だったら、女神の力に目覚めたウチの言葉に従ってしまうのも、無理はないなぁ?」
(ФωФ;)「……!!」
(*゜A゜)「さて、降臨祭が終わったらウチは女神に……アンタらは"神の使者"に!」
(*゜A゜)「ウチの正しい教えを胸に、人々を正しい方向に導いてもらうで」




