勇者達が洞窟を冒険するようです その⑤
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。保持免許・資格:普通免許、普通二輪、フォークリフト、国際運転免許。E級冒険者。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。保持免許・資格:普通免許(AT限定)、応用情報技術者、Java、Oracle、漢検3級、サウナ・スパ健康アドバイザー。E級冒険者。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。保持免許・資格:普通免許、普通二輪、IELTS8.67、教育職員免許(中学校)、ビジネス通訳検定、その他スパイ活動に必要な各種免許、国際運転免許。C級冒険者。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。保持免許・資格:普通免許、仏検準2級、TOEIC800点、秘書検定2級、実用ボールペン字、その他就活時に取得したいくつかの民間資格。E級冒険者。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。保持免許・資格:修道女検定3級。E級冒険者。
( ´W`)【トレジャーハンター】:今回のクエストの依頼者。保持免許・資格:元S級冒険者。
44 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/09(日) 09:00:00.00 ID:1399336
【ホラーナ洞窟 最奥】
魔法の炎に包まれた洞窟で、二つの影が激しく動く。
(´W`;)「うぉぉっ!炎の華よ、敵を燃やせ!」
一方は、獄炎を操る元S級冒険者。
(´・ω・)「ふん!よっ!」
(´・ω・)「ほっ!……少し慣れてきたね」
そしてもう一方は、華麗な身のこなしで炎の華をことごとく避ける、謎の男。
(・∀・;)「……」(;^ω^)
勇者達はこのハイレベルな戦いについていけず、ただ傍観するしかなかった。
(´・ω・)「魔法の出力は素晴らしいけど、制御が雑になってきたね」
(´・ω・)「まぁお爺ちゃんだから、集中力がもたないのかな?」
(´W`;)「ぐぬ……っ見さらせ!『獄炎魔法:百花』!」
彼が叫ぶと、炎の華は花びらを散らす。
そして無数の炎が男の真正面に立ちはだかる!
(´・ω・)「ほら、そうやって数で押そうとする。図星だ」
(´・ω・)「せっかくS級冒険者と戦えるって期待したのに、がっかりだ」
(´・ω・)「ま、所詮は引退したロートル。"賢者の石"の力を借りてもこの程度か」
男は納得したように頷くと、呪文を唱えた。
(´・ω・)「それじゃ、終わらせよう。"灰よ花へ"『対抗魔法:対火』」
すると辺り一面に広がっていた炎は、幻の泡が爆ぜるように一瞬にして消滅ッ!
(´W`;)「なにっ」
(´・ω・)「いくら"無尽蔵の魔力"を持ってても、効率よく使えないんじゃ意味ないよねッ!」
目に見えぬ速度でトレジャーハンターに迫る男ッ!!
しかし!
(´・ω・)「ッ!三重防護壁……他の魔法使いか!」
(’A` )「へッ!どんなに早く動いても、狙いが爺さんだと分かりゃ問題ないぜ!」
(´・ω・)「でも、なにかと思えば教科書に載ってるような初歩魔法……」
(´・ω・)「ナメられたもんだね。『散』」
しかし魔法使いの張った多重バリアも、男が呪文を呟くだけで消滅ッ!
(’A`;)「!?」
思い知らされる……ッ!圧倒的な力量の差……ッ!
男はナイフを取り出し、最後の忠告を叫ぶ!
(´・ω・)「さぁ、"賢者の石"を渡せ!」
(´W`;)「断るッ!」
(#´・ω・)「なら死ねっ!」
男のナイフが腹を裂き、臓物を貫いて、鮮血が飛ぶッ!!
(´・ω・)「……」
(;´・ω・)「!?」
(^ω^;)「ぐっ!がふッ!」
だが肉を切り裂かれたのは、トレジャーハンターではなく戦士だった!
(’A`;)「戦士っ!?」
(´W`;)「まさか」
(^ω^;)「へへっ、魔法は消せても、実物は消せねぇだろ?」
(´・ω・)「身を挺して守ったか。中々の反応速度だ」
(^ω^;)「仲間がよぉ、バフかけてくれてたんだよ。あとは、火事場の馬鹿力かな、ははっ」
(´・ω・)「死ぬと分かって飛び込んだのか?」
(^ω^;)「悪いが……ウチには腕の立つヒーラーが居んだ。首さえ繋がってれば魔法で治せるとよ」
(ФωФ´)「!」
(´-ω・)「なるほど、少し乱暴だが計算した上での行動か」
(´-ω・)「……」
(´・ω・)「いいね、気に入ったよ」
(^ω^;)「?」
(´・ω・)「仕事に忠実な奴は好きだよ。死んでも依頼をこなそうとする、根性のある奴は特にね」
(^ω^;)「そりゃ、どう……も」
(´・ω・)「だから君のそのド根性に免じて、前言撤回しよう。そこの爺さんから賢者の石を渡してもらうのは止めだ。お爺さんを殺すのもね」
(´W`;)「本当か?」
(・∀・;)「……」
(´・ω・)「あぁ、だけど」
(・∀・;)(´・ω・)つ◇「君から奪うことにするよ、道化師くん」
(;・∀・)「ッ!」(´W`;)
(;・∀・)「いつの間に、いつ気付いた!?」
(・ω・`)「炎の壁で視界を塞いでる間に、爺さんから賢者の石を受け取って懐に隠す。単純だけどいいトリックだと思うよ。初心者道化師としては」
(・ω・`)「でもね、僕くらいになると分かるんだよ。嘘をついてる奴の目が」
(;・∀・)「くそっ!返せ、ターピュライト!」
(・ω・`)「取引材料もないのに、そんな願いを聞くわけないだろ?」
(・ω・`)「それより、大丈夫かい?君の仲間が死にそうだ」
(;・∀・)「くっ!」
(・ω・`)「それに爺さんも。賢者の石の力を借りたとはいえ、あんな超高等魔法を使えば、脳には相当の負担がかかる」
(・∀・;)「なんだって!?」
(;´W`)「ぐ……くそ、お見通し……」
(;-W-)「か……」
(・ω・`)「ふふ……僕はコレさえ手に入れれば用はないし、あの戦士とも約束したからね。君さえ良ければ、もう帰るけど?」
(;・∀・)「……」
(・ω・`)「……」
(・∀・;)「くっ」
道化師は男に背を向け、仲間の元へ走った。
(・ω・`)「ふふ、懸命だね」
「それじゃ、さっさと行こうかな」(´・ω・)
「これで僕も、クエスト達成だ」(´・ω・)
──修道女と魔法使いの治療のもと、戦士とトレジャーハンターはなんとか一命をとりとめた。だが、そこに大きな喜びはなかった。
──勇者達は、異世界に来て初めての大敗北を味わったのだ……
45 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/09(日) 09:00:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
(゜、゜*)「ふぅん……まぁでも、いいんじゃない?クエストは達成したんだから」
(^ω^#)「納得いかねぇ!なんで達成なんだよ!完全に失敗だろ、"ターピュライト"は奪われちまったし!」
ξ ゜⊿゜)ξ「クエスト依頼には『採石場所までの往復路の護衛』としか記載されてませんものー。"ターピュライト"云々は完全に契約外ですわー!依頼者の爺さんも納得してますわ!」
(;´W`)「ああ。まさか、あれほどの手練れだとはついぞ思わんかった。申し訳ない」
(・∀・;)「でも、トレジャーハンターさんも負傷しましたよね?」
( ´W`)「ありゃ、わしが調子に乗って、体に負担のかかる魔法を使っただけじゃ。それを君達の責任にするほど耄碌してはおらん」
ξ#゜⊿゜)ξ「というか爺さん!依頼書にはちゃんと詳細まで書きなさい!"ターピュライト"関連だと分かっていれば、上級冒険者限定クエストにしましたわ!」
(´W`;)「す、すまん。適当な敵なら、賢者の石があれば蹴散らせると高を括っておった」
ξ ゜⊿゜)ξ「まったく。でも、"ターピュライト"を回収してる男、いったい何者なのかしら?」
ξ;゜⊿゜)ξ「もしや魔王だったり!?」
(;´W`)「しかし、だとすれば魔王は、賢者の石で何をするつもりだ?」
ξ;゜⊿゜)ξ「謎は深まるばかりですわね……冒険者ギルドでも調査を進めますわ」
(゜、゜*)「ねぇ、私はそのクエストに参加してなかったから、よく分からないんだけど」
(゜、゜*)「つまるところ、"ターピュライト"、賢者の石って何なの?」
(;´W`)「……」
(;´W`)「賢者の石は人の命から造られる宝石、それは"生きている"……ッ!」
(゜、゜;)「え?」
(;´W`)「そして何千年に渡り産み出し続けるのだ。"無尽蔵の魔力"を……ッ!」
45 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/09(日) 09:00:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
(;ФωФ)「無尽蔵の魔力……もしそれが本当なら、魔王がターピュライトを狙うのも頷けます……!」
(;ФωФ)「しかし、お爺さんは何故そんなモノを欲していたんですか?」
( ´W`)「……完全に破壊する為だよ」
( ・∀・)「破壊?」
(゜、゜*)「せっかく手に入れたのに?」
( ´W`)「あの賢者の石は、かつて友だった者達の命からできておる。そんなモノを誰かの私利私欲の為に使われるのは、我慢ならなかったんだ」
( ^ω^)「……」
( ’A`)「そう言や、元々は鉱山会社が人為的に造ったんだったな」
( ・∀・)「あれ?ということは、洞窟であった謎の男って鉱山会社の刺客じゃない?」
( ´W`)「いや、それは無い。鉱山会社の連中は根絶やしにしたから」
( ・∀・)「なんて?」
( ´W`)「ほっほ。当時の幹部はひとり残らず生きたまま焼き殺したと言ったんだよ」
( ・∀・)「ぜってぇ言ってねぇだろ」
(;^ω^)「つーか敵討ちとはいえ、えっぐいことしてんな爺さん」
( ´W`)「あの鉱山事故の阿鼻叫喚に比べたら可愛いもんだ」
( ´W`)「……私はまだターピュライトを諦めてはいない。友の無念は、未だ地獄の業火として燃え続けておる」
( ´W`)「あの男については、私でも調査を進めるが、なにかあればギルドにもクエストを発注する。また君達に受けてもらえると嬉しい」
( ’A`)「……アイツも焼き殺す気か?」
( ´W`)「ほっほ。10年前なら問答無用だったが、知っての通り最早そんな力はない……」
( ´W`)「ちゃんと話を聞いてから殺すか決めるさ」
( ・∀・)「殺害を念頭に置いてんの怖ぇって」




