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勇者達は無限回廊を突破するようです

438名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



【幽霊城 無限回廊】



 (’A`;)「おかしい……ぜんぜん地上に降りられない」



(゜、゜;)「どんだけ高いのよ、この城」



(ФωФ;)「しかも、どれだけ探しても脱出の糸口も手がかりも見つかりません」



 (’A`;)「どの部屋も家具はベッドと机とタンスだけ、中は空っぽだ」



(;^ω^)「おーぅい道化師ぃ、どうなってんだぁ?」



(・∀・;)「うーん……」



 欄干から吹き抜けを見上げる道化師。天井に吊るされたシャンデリアが、煌々と回廊を照らし出している。



(・∀・;)「ん?」



(・∀・;)「……俺達、最初の部屋からどれだけ下の階に来たっけ?」



(;^ω^)「数えてねぇよ……」



(゜、゜*)「43階ね」



(・∀・;)「そんなにか……それじゃあ、いよいよ怪しいな」



(;ФωФ)「なにか分かったんですか!?」



( ・∀・)「あのシャンデリアだよ」



( ^ω^)「あー、結構小さくなっちまったな」



 (’A`;)「あれがどうかしたのか?」



(;・∀・)「あのシャンデリア、光の強さが全く減っていないんだ」



(;・∀・)「43階分……1階あたり天井と床の間の長さ3メートルだとしても、約130メートルも離れてたら、光の強さは減衰して今いる階層なんてめちゃくちゃ暗いはず」



(;・∀・)「それこそ、俺達が互いの顔なんて見れないくらい」



( ^ω^)「めっちゃ強い電球使ってんじゃねぇの?」



(゜、゜*)「だとしたら最初の階層はもっと眩しかったはずよ」



(゜、゜*)「道化師の言う通り……なんか怪しいわね、あのシャンデリア」



( ・∀・)「……もしかして、これループしてるんじゃない?」



(ФωФ;)「えええっ?」(’A`;)





439名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



【幽霊城 隠し部屋】



(´<_` )「おっようやく"無限回廊"に気がついたか。平均タイムよりちょっと下だな」



(´<_` )「しかし、ループってのはそれに気がついてからが本番だぞ?」





440名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



【幽霊城 無限回廊】



(^ω^ )「ループしてるってどういうこと?」



( ・∀・)「俺達はどれだけ階段を下りても、地上には着かないってこと」



(^ω^ )「へぇー……」



(^ω^ )「困る」



(ФωФ )「困りますねぇ」



 (’A`;)「もっと驚けよ!」



(゜、゜*)「理解してるのかしら?」



(^ω^ )「じゃあさ。階段で下にいけないなら、吹き抜けから飛び降りればいいんじゃね?」



 (;’A`)「なに言ってんだお前」



( ・∀・)「……いや、いい着眼点かもしれない」



 (’A`;)「嘘だろオイ」



( ・∀・)「思えばシャンデリアの明るさはどこまでいっても変わらないのに下の階層が真っ暗闇なんてのも変なんだ」



 そう言うと道化師は欄干から乗り出した。



 (’A`;)「いやいや、部屋の中に探しきれてない手がかりがあるかもしれないだろ」



( ・∀・)「何十階も探し続けて収穫ゼロってことは、部屋の中に手がかりなんてなかったってことだよ」



(゜、゜*)「たしかにね」



(ФωФ;)「で、でも……もし飛び降りてもループから脱出できなかったら?」



(゜、゜*)「だとしたら、ずっとこの回廊が続くってことでしょ?どこかでまた手すりに捕まれば戻ってこれるわ」



(;ФωФ)「盗賊さんにそう言われると、できる気がします」



 (’A`;)「ちょっと待て!今俺達がどれくらい高いところに居ると思ってんだ、下の方が真っ暗に見えるくらいだぞ!?」



 (;’A`)「もしループから脱け出せても死ぬわ!」



( ・∀・)「うん。だからその時は魔法でなんとかして欲しい」



( ^ω^)「一生のお願い」



 (’A`;)「肝心な時にばっか俺を頼りやがって……」



 欄干に腰掛けて飛び降りようとする仲間から目を背けると、そこに広がっていたのは、無機質なドアが無数に並ぶ、まさに"無限回廊"だった。



 (’A`;)「……」



 (’A`;)「……くそ!行きゃあいいんだろ!どうせ独りになったら死ぬしかねぇんだ!」



 (’A`;)「言っとくけど無傷は無理だからな!」



(゜、゜*)「そんなので怒ったりしないわよ」



( ФωФ)「すぐに僕が回復します!」





441名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



(・∀・;)「よぉし……みんな、握った手は離しちゃダメだよ」



(^ω^ )「おう!」



(゜、゜*)「ちょっと魔法使い、手汗」



 (;’A`)「し、仕方ねぇだろ!飛び降りるんだぞ!?一寸先は闇だぞ!?」



(ФωФ;)「大丈夫です!皆さんがいます!」



(・∀・ )「それじゃあ……いくよ!」



(・∀(^ω(゜、(’A(ФωФ;)「とぅ!」



 勇者たちは互いの手を握り、無限回廊の彼方へと飛び出した……





441名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



【幽霊城 隠し部屋】



(´<_`;)「マジか!マジか!?マジで!?ループに気づいた直後に正解のルートに直行かよ!!」



(´<_`;)「コイツらやっぱりイカれてんだろ!!このままだと最新記録だ!」



(´<_`;)「……」



(´<_` )「とは言っても、まだ焦るような状況でもないんだが」



(´<_` )「脱出へのルートは正しいが……まだ"鍵"を見つけてないからな」





442名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/21(土)18:00:00.00 ID:1399336



【幽霊城 無限回廊 空中】



(^ω^ )「なぁ!」



(・∀・ )「なに!?」



(^ω^;)「もう5分くらい飛んでるけど、全然地面につかないんだけど!?つーか風景変わんねぇ!」



(・∀・;)「それはそう!」



 (’A`;)「やっぱ方法が違うんじゃねぇの!?一回どこか適当な階に戻ろうぜ!」



(ФωФ;)「そうした方がいいかもしれません!盗賊さんはどう思いますか!」



(゜、゜*)「……」



(ФωФ;)「?どうしましたか!?」



(゜、゜*)「あのシャンデリア……」



(ФωФ;)「へひ!?」



(゜、゜*)「ちょっと魔法使い。修道女ちゃんよろしく」



 (;’A`)「えっは?オイ!なにするつもりだ!」



 盗賊は魔法使いの手を離すと、身を翻してピストルを構えた。



(゜、゜*)「さっきからずっと……眩しいのよ!」



 シャンデリアに向けられた銃口から弾丸が一発、放たれた。



 最上階から階段を下って、吹き抜けを飛び降りて……本来ならば彼女とシャンデリアは、ピストル銃の射出速度では到底届かないほど離れているはず。だが、この空間がループしているのならば、歪んでいるのならば……



 勇者たちの頭上でガラスの砕ける甲高い音が響いた。



 盗賊の確信通り、弾丸がシャンデリアを打ち砕いたのだ。



( ω ;)「わぁっ!真っ暗になっちゃいました!」



( ω  )「浮遊感すごいな。宇宙ってこんな感じなんかな?」



(; ∀ )「なにしたの!?なんで撃ったの!?」



 ( A ;)「くそ!なんも見えねぇ!おい、盗賊!手ぇ!」



( 、 *)「はいはい」



 天井の光を失い完全な闇と化した空間を、勇者たちは落下していく……



( 、 *)(これで……なにか変わってちょうだい)



 仲間の手を握りしめながら。




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