勇者達は幽霊城に幽閉されたようです
433名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/20(金)18:00:00.00 ID:1399336
【幽霊城】
(ФωФ;)「おかしいです……この城、魔王も受付嬢さんもいません」
(’A`;)「それどころか人っ子ひとりいないぞ?」
(゜、゜*)「廃城……にしては風化してる感じがないから、たぶん今も使われてるとは思うんだけど」
( ^ω^)「もしかしてココ魔王城じゃないんじゃね?」
(゜、゜*)「……ありえるわね」
( ^ω^)「道化師ぃ~道を間違えたのか?」
(;・∀・)「いやいや!たしかに俺が馬車を繰ってたけど、進路はそっちが地図見て判断してただろ?」
( ^ω^)「そうだっけ」
(’A` )「じゃあ地図が間違ってたのか?たしか、地図を持ってたのは……」
(゜、゜;)「……」
(ФωФ;)「そんな!地図が間違ってるハズはありません!」
(ФωФ*)「『るるぶ魔界』最新版の地図ですよ!?」
( ^ω^)「るるぶの地図は車降りてから使うもんだろ」
( ・∀・)「るるぶへの君の信頼はどこから来てるの?」
434名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/20(金)18:00:00.00 ID:1399336
【幽霊城 隠し部屋】
(´<_`;)「コイツらイカれてんのか?まともな地図もなしに魔城パンデモニウム目指してくるなんて……」
(´<_` )「しかし、どんな地図を使おうが、魔城パンデモニウムに到着することはない!」
(´<_` )「なぜなら全世界に流布されている魔城の所在は、我が"幽霊城"のものなのだからな!」
(´<_` )「郵便も出前も宅急便も、迷惑チラシもダイレクトメールも!すべてここに来るのだ!」
(´<_` )「くくく……勇者共。貴様らが"幽霊城"へ来るのは必然だったんだよ」
435名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/20(金)18:00:00.00 ID:1399336
【幽霊城】
( ・∀・)「仮に地図が間違っていたとしても、そうでないにしろ、まずはこの城から速やかに脱出するのが先決だと思うんだ」
(’A` )「そうだな。今は留守みたいだけど、いつこの城の人間が帰ってくるかわからねぇしな」
(;^ω^)「空き巣に間違われるのも嫌だしな」
(’A` )「空き巣どころか家主の命を狙ってたんだけど」
(;ФωФ)「でも、ここが魔王城じゃないとしたら、いったいどこに……」
(゜、゜*)「それは後で考えましょ。さぁ、侵入した場所に戻りましょう」
436名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/20(金)18:00:00.00 ID:1399336
【幽霊城】
(゜、゜;)「……あれ、おかしいわね?たしかに、この部屋だったハズだけど」
( ・∀・)「隣の部屋かな?」
( ・∀・)「……違うっぽい」
( ’A`)「珍しいな姐さんがミスるなんて」
(゜、゜;)「いや、ミスじゃないわ。扉に付けてた目印はちゃんとある……」
(゜、゜;)「でも、侵入したのは食料庫だったハズなんだけど、今は客室になってるのよ」
(ФωФ;)「部屋が入れ替わってるってことですか?」
(;’A`)「おいおい、変なこと言わないでくれよ。そんなこと……」
( ^ω^)「……なぁ俺達って入ってきたのは一階からだよな?」
(’A`;)「あぁ、そりゃそうだが?」
( ^ω^)「……なら、なんで俺達いま、最上階にいるんだ?」
(;’A`)「はぁっ?」(゜、゜;)
振り返ると、扉の反対側──それまでただ壁が隔たっていたそこには"なにもなく"、開放的な吹き抜けへと変わっていた。
(’A`;)「う、嘘だろ!?なんで!?」
魔法使いは手すりから身を乗り出して驚嘆する。吹き抜けを中心とした回廊が、何十、何百にも重なっており、自分がダムや塔の上にいるような感覚が股ぐらを震わせる。
勇者達の頭上では絢爛なシャンデリアは各階を照らしている。戦士の言う通り城の最上階かは分からないが、少なくともかなりの高所にいることは間違いないようだ。なぜなら下の回廊には光が届いておらず、真っ暗闇に覆われて底が見えないからだ。
(’A`;)「……どういうこったよ……」
(゜、゜;)「さっきまで探索してた城と、まったく構造が違うじゃない!それに、外から見てもこんな背の高い城じゃなかったはずよ!?」
(ФωФ;)「と、なるとこれは……幻覚っ!?」
( ^ω^)「俺ぁ誓ってヤクはやってねぇぞ」
(;’A`)「知るかよ!魔法だよ魔法!ひとに幻覚を見せる魔法があるんだよ!」
(゜、゜;)「でも幻覚にしてはリアルじゃない!?魔法の幻覚ってこういうモノなの?」
(;’A`)「……分からない。俺は幻覚魔法を学んでないからな」
(ФωФ;)「僕もです。でも幻覚なら、この状況にも説明がつきます」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「いや、これは幻覚じゃないよ」
(^ω^ )「知っているのか道化師!」
( ・∀・)「うん。俺は魔法使いみたいに魔法の練度は高くないけど……知識としては幅広く覚えたからね」
( ・∀・)「幻覚魔法っていうのは個人の脳に作用する魔法だから、複数人に全く同じ幻覚を見せることは不可能なんだ。だからこれは幻覚じゃない!」
(ФωФ;)「……なるほど!」
(゜、゜*)「集団幻覚ってコトは?」
( ・∀・)「魔法で集団幻覚を見せる技術は今のところないって本には書いてあった」
( ’A`)「そうか、ならコレは幻覚魔法じゃないと」
(;’A`)「なら、この現状はいったいどういう事だ!?」
( ・∀・)「それは分からない」
(^ω^ )「あ、そこは分からないんだ」
( ・∀・)「もちろん。だから、ひとまず手がかりを探そう」
そう言うと、道化師は近くの階段から下へと降りだした。
( ・∀・)「幻覚じゃないなら、目に見えるモノも、触ったモノも全て現実だ。それなら、いずれこの奇妙な城から脱出できる手がかりが見つかるハズだよ」
(ФωФ;)「それも、そうですね」
(^ω^;)「でも、こりゃあ……」
戦士は手すりの向こう、下に広がる暗闇に目をやった。
(^ω^;)「全部調べ終わるまでに、いったいどれだけ時間がかかるんだ?」
437名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/20(金)18:00:00.00 ID:1399336
【幽霊城 隠し部屋】
(´<_` )「ほう、なかなか冷静な奴がいるようだな。だが幻覚でないと気がついただけでは、この城から脱出することなどできないぞ?」
(´<_` )「貴様らが居るのは私が生み出した『無限回廊』!永遠に続く回廊の中から、せいぜい手がかりを探すがいい!」
(´<_` )「まぁ、死に怯え闇を恐れる人間には脱出することなど不可能だがな!フハハハハ!」




