勇者達は魔王の大軍勢と激突するようです その②
393名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/11(水)18:00:00.00 ID:1399336
"ヨイノマの巫女"の魔法により放たれた無数の稲妻は、鉄王ブルシットの指揮する大兵団をその頭上から襲った。
「うわぁぁぁあああ!」
「狼狽えるな!防護魔法を展開しろぉぉ!」
「間に合いませ……ぎゃああ!」
(゜Д゜;(゜Д゜;(゜Д゜≡;゜Д゜);゜Д゜)
あらゆる環境下での戦闘を想定して訓練を積んできた鉄血兵団も、まさか万雷の中で行動することになるとは思っていなかったのか、隊列は大混乱に陥っていた。
間断なく降り注がれる雷に直撃し、あるいは泥濘に感電して、倒れていく兵士達。帝都ドナド城外の大平原は、死屍累々の様相を呈していた。
(;・∀・)「大丈夫?馬車に雷当たったりしない!?」
从;ー⊿ー从「ぬぬぬ……ああ。しかし馬車から飛び出したりするなよ!わしもそこまで制御できん!」
勇者達の乗る馬車は、まるでモーセが海にしたように落雷を割きながら、地獄と化した平原を直進。帝都に展開された魔王軍の中央突破を狙っていた。
しかし魔王軍も、みすみす勇者を逃すはずはない。いまだ地獄に降りこめる雷轟を避けながら、多数の影が、彼らに迫っていた──
从゜ワ゜*从「みんな!余計なコトは考えないで、直感に身を任せるの!」
从゜ワ゜*从「それが雷を避けるコツだよ!」
ミ◎Д◎ 彡「ガッデム様!後方の親衛隊員が次々雷に打たれてます!」
「いっでぇっ!」彡゜Д゜;ミ
「熱ッッ!」彡゜Δ゜;ミ
「ビリっとくるぅ!」Ξ゜Д゜;Ξ
从゜ワ゜*从「避けられない奴は放っといて!それより勇者達を捕まえる方が数万倍大事だから!」
ミ◎Д◎ 彡「はっ!」
──馬車を追う影は、帝都ドナド内部の守りを任せられていた、獣王ガッデムの虎の子・人狼族の"ガッデム親衛隊"!
ミ◎Д◎ 彡「ガッデム様、"女狐"が馬車の屋根に!」
从゜ワ゜*从「うん、まずはあのババアを殺す!そうすれば雷も止むしね!」
ミ◎Д◎ 彡「了解!」
彼らは己の内に眠る野生の勘のみを頼りに雷を避けながら、一方で鈍感な者を見捨てながら、ついに勇者達の馬車を捉えた!
ミ ◎Д◎彡「隊員たち、フォーメーションαだ!」
ミ゜A゜ 彡「ラジャー!」
ミーДー 彡「まったく仕方ないな」
ミ゜ω゜ 彡「これだからガッデム様は……」
残っている親衛隊員達はガッデムの攻撃を最大限サポートできる体制を組む。彼女の攻撃理念は、防御や回避、妨害の懸念など一切せずに最大火力を叩き込む諸刃の剣!そのロマンが親衛隊員を魅了し、庇護欲をかきたてる!
从*゜ワ゜从「っしゃあ!」
从;ー⊿ー从「うぬぬ……」
ガッデムは強く地面を蹴ると、神主の背後からその首を狙って爪を尖らせる!普段なら、このような攻撃など見抜くだろう神主だが、しかし今は超高等呪文を操っており、まったく反応できていない。
从*゜ワ゜从「殺った!」
ミ;◎Д◎彡「!ッッッダメです!」
しかしガッデムの爪は神主には届かなかった。フォローに回っていた親衛隊員によってガッデムは身体ごとふっとばされたからである!
从*ーワ゜从「ちぃッ!なに!?いいところだったのに!」
ミ ◎Д◎彡「勝手ながら緊急回避させてもらいました」
ミーДー 彡「伏兵です。奇襲に気づいた者がひとり」
从*゜ワ゜从「ふん。あっそう。どの勇者?」
汚れを払うガッデムの前に、同じ獣人の影が立ちはだかった。
(十AФ )「勇者ではない。残念だったな」
(十AФ )「勘が鈍ったか、"銀狼"?」
从*゜ワ゜从「あれ、お兄ちゃんじゃん、久しぶり」
ミ゜ω゜;彡「まっまさか家族ですか?コボルトなのに!?」
ミ゜A゜;彡「複雑な家庭事情?」
从*゜ワ゜从「違う違う、むかーし縄張りが近所だっただけ」
从*゜ワ゜从「ふ~ん、"赤毛"になったんだ。よかった」
(十AФ )「おや、労ってくれるとはな」
从*゜ワ゜从「は?違うけど……」
ガッデムは鼻をひくつかせ親衛隊に合図を出すと、大地を蹴った。
从*゜ワ゜从「勇者と戦うより楽しそうってだけだよ!」
(十AФ;)「……ッ!」
394名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/11(水)18:00:00.00 ID:1399336
一方その頃の馬車では……
(^ω^;)「おいっ!いきなり"赤毛の戦士"が飛び出してったけど!?」
(゜、゜*)「後ろから敵が馬車を追いかけてきてたわ。たぶん、そいつらを迎撃しに行ったんじゃない?」
(’A`;)「えっ!?魔王城まで一緒に行くんじゃないの!?」
从*・⊿・从「いいや、これでよい」
(ФωФ )「神主さん!?」
从*・⊿・从「わしと"赤毛"はお前ら勇者を魔王城まで届けることと同時に、もうひとつ目的がある。最初に言ったじゃろ」
(゜、゜*)「……獣王ガッデムを捕らえること。だっけ?」
从*ー⊿ー从「うむ。そして、そのガッデムがさっきわしの首を狙ってきおった……向こうから来てくれるとは丁度よい。お仕置きしてやるわい」
从*・⊿・从「ということで、わしも一旦馬車を降りる。お前らは気にせず先に進めい」
(’A` )「は?」
神主はそれだけ言い残して姿を消した。
(’A` )「は?」
(゜、゜;)「いくらなんでも好き勝手行動しすぎよ」
(^ω^ )「一気に戦力が半分くらいになった気がする」
(ФωФ;)「だ、大丈夫ですよ!それに四天王のひとりを相手取ってくれるんですから!ありがたいですよ!」
(’A`;)「いやまぁ……それはそうだけど」
(;・∀・)「ねぇ、さっきから雷雨の音で殆どなにも聞こえないけど」
(・∀・;)「後ろでなにが起こってんの!?」
勇者達の動揺に道化師が気を取られ、速度を緩めたその時だった──馬車の半分が、いきなり吹っ飛んだ。
(・∀・;)「うぇ?」
(゜、゜;)「へ?」
(ノ∀`;)「れ?」
たまたま前方に寄っていた盗賊と考古学者以外は、馬車と共に吹っ飛んでしまった……
395名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/11(水)18:00:00.00 ID:1399336
(;^ω^)「っててて……クソ、なにが起きた!?」
馬車の残骸から顔を出した戦士が辺りをキョロキョロ見渡していると、隣からもうふたり、姿を現した。
(’A`;)「敵の攻撃だよ……強化魔法かけてなけりゃ死んでたな」
(;ФωФ)「転ばぬ先の杖が役に立ちましたね」
戦士と共に吹っ飛ばされたのは魔法使いと修道女だった。
(;^ω^)「あーいてて……誰だよ攻撃してきた奴は」
戦士が腰を叩きながら立ち上がると、煤煙の向こうに人影が現れた。その影の正体は──
(゜∀゜ )「俺だ。また会ったな、勇者」
(;^ω^)「お前は!」
(;ФωФ)「武王エフワード!」
(゜∀゜ )「お前らに恨みはないが、邪魔をされるのも困るんだ」
(゜∀゜ )「ところで、俺達はいま暇しててな」
武王エフワードはロングソードの刃を光らせる。
(゜∀゜ )「遊び相手くらいにはなってくれよ?」
(;’A`)「!」
(;ФωФ)「くっ!」
(;^ω^)「そんなら麻雀で遊ばない?」
(゜∀゜ )「ムリだよ」
(゜∀゜ )「残念だけどな」




