勇者達は突き進むようです
385名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/09(月)18:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド 玉座の間】
( ゜∀゜)「……これが、兄貴の見てた景色か」
(゜-゜川「どうだ武王、玉座の座り心地は?」
( ゜∀゜)「最悪だ。硬くてキツくて座れたもんじゃねぇ、パイプ椅子の方がいくらかマシだ」
( ゜∀゜)「こんなモンの為に……」
(゜-゜川「それは、その椅子に座れた者だけが味わえる感傷だ。いまのうちに浸っておけ」
(゜-゜川「これからは貴様がこの街を統治することになるのだからな」
( ゜∀゜)「とりあえず木でも植えるかな」
从*゜ワ゜从「ねぇ、そんなことよりさ。西ゼリヤにはいつ攻め込むの?」
从*゜ワ゜从「ぶっ飛ばしたい奴が沢山いるからさ、あそこ」
(゜-゜川「魔王様の儀式が終わってからだ。それまではこの街で私達は専守防衛に努める。勇者が魔王城にたどり着くのを防ぐためにな」
(゜-゜川「くくく……勇者共め、イテーツクでは仕留めそこねたが、貴様らの冒険はここで終わりだ!」
从*゜ワ゜从「儀式ってすぐ終わるの?」
(゜-゜川「霊王が言うには……あと数日はかかるとのことだ」
从*゜ー゜从「えー暇ぁー」
(゜-゜;川「そんな不吉なことを……」
ミ;◎Д◎彡「報告です!四天王の皆様!ラクシズ方面から正体不明の馬車が!」
从*゜ワ゜从「えっ!それってもしかして!?」
(゜-゜;川「……はぁ、もう少し休みが欲しかったんだが」
( ゜∀゜)「仕事中の暇って口にすると消えるからな」
386名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/09(月)18:00:00.00 ID:1399336
【マルク帝国 西の関所】
(門´Д`)「お、おい!そこの馬車!止まれ!」
(´Д`番)「この関所は通さねぇぞオイ!」
帝都ドナドより数里離れた西の関所に迫りくる馬車が一台。その速度はもはや馬車という概念の範疇を超え、蒸気機関に肉薄する……まさに弾丸特急!
( ・∀・)「オラァァ!!そこのけそこのけぇ死んじまうぞぉぉ!!」
( ・∀・)「ハイヨォォォ!!」
この高速度を実現するは、10tもの鋼鉄をも牽引できる輓馬と1日に万里を駆ける早馬をかけ合わせた伝説の馬『万力馬』!一頭のお値段で城が建つ!
( ノ∀`)「お金で解決できるなら!」
(´Д`;番)「おい!止まれ!門に激突するぞ!」
(門;´Д`)「死にてぇのか!?」
(#・∀・)「十万馬力の輓馬が、門や柵ごときで止められると思うなよ!?」
道化師の繰る馬車は一切のスピードを落とすことなく関所に向かって一直線!
(´Д`;番)「ダメだ!ぶつかる!」
(#・∀・)「いっけぇぇぇ!!跳べぇぇッ!!」
道化師の鞭で万力馬が大地を蹴る!ジェット機の如きテイクオフで、そそり立つ壁を悠々と飛び越える!
(;^ω^)「ヤな浮遊感……ッ!」
(#・∀・)「衝撃くるぞ!」
激突に近いランディング!馬車はうさぎのように跳ねながら、駅伝ランナーの襷のようにはためきながら、すぐにトップスピードに戻る万力馬に牽かれ、帝都を目指す!
(門;´Д`)「……なんなんだ、アレは」
(´Д`;番)「とりあえず本部に連絡だ!」
関所を守っていたハズの魔王軍の兵士は、遠ざかる馬車にただ呆然とするしかなかった。
これが、四天王の耳に入る数刻前の出来事であった。
387名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/09(月)18:00:00.00 ID:1399336
( ・∀・)「そろそろ帝都ドナドだ!ここは通り過ぎるでいいんだよね?」
从*・⊿・从「ああ、目的地はあくまで魔王城。ここに居る魔王軍に構っていても仕方ないわ!」
( 十AФ)「しかし、ならば他の道を進めばよいのでは?」
从*・⊿・从「遠い!」
(’A`;)「いやでも急がば回れとも言うし」
从*・⊿・从「問題ない!わしの"縁切り"の術さえ使えば……むんっ!」
从*ー⊿ー从「……」
从;ー⊿ー从「……」
从;・⊿・从「誰かに妨害されとるな。すまん」
(’A`;)「ダメじゃねぇか!」
从;・⊿・从「わしの術に対抗できるような奴と言えば……隠神くらしか知らん。あやつめ、まだ魔王とつるんでおるのか」
(;^ω^)「どうすんのコレ、コレどうすんの!?」
从;・⊿・从「慌てるでない!まだ策はある!」
(;ФωФ)「どんな作戦ですか!?」
从;・⊿・从「そもそも万力馬の速度にゃ並の軍馬じゃ追いつけん!」
从;・⊿・从「このまま帝都の横を突っ切るぞ!」
(゜、゜*)「それ作戦じゃないわよ?」
(;・∀・)「……っ!」
(;・∀・)「ダメだ……道がないっ!」
(;十AФ)「?どういうことだ!?」
(;^ω^)「がけ崩れ?」
(;’A`)「んなわけねぇだろ、平野だぞここ!」
(;・∀・)「大軍が……」
(;ФωФ)「え!?」
(;・∀・)「魔王軍の大軍団が前を塞いでいるんだ!!」
(;^ω^)「えぇ!!?」
戦士は立ち上がり御者台に移動する。すると馬車の前方、遠くの地平が蠢いている。目を擦るとそれは、平野を埋め尽くさんばかりの大軍団であった!
388名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/09(月)18:00:00.00 ID:1399336
【帝都ドナド】
(゜-゜川「ハハハハ!隠神殿の言う通り、姑息な術を使いおって!」
(゜-゜川「しかし弾丸のように早い馬車も、目眩ましの術も!正面から大兵団で壁を作ってしまえば捉えるのは容易!」
(゜-゜川「我が自慢の鉄血兵団は小一時間もあれば展開可能!いくら強かろうが勇者は寡兵!この数の前には無力よ!」
(゜-゜川「くくく……勇者共め、イテーツクでは仕留めそこねたが、貴様らの冒険はここで終わりだ!」
从*゜ワ゜从「小一時間前と同じこと言ってる」
( ゜∀゜)「勇者達はこの窮地をどうするか。見ものだな」