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修道女は聖女となるようです

373名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/06(金)18:00:00.00 ID:1399336



【アロスティ城下町 聖アガメマス神殿】



| ´ω`|「さぁ、高弟様がお待ちだ。少し急ぐぞ」



( ФωФ)「はい!」



 勇者達が西ゼリヤ王に装備を見繕ってもらっている頃、修道女は"聖なる装束"を授けてもらうため、神殿へと向かった。



| ´ω`|「おや、なにか落としたぞ?」



 神殿に着いたその時、足早に歩いていた修道女が何かを落とした。



|´ω`;|「そっそれは……!」



(;ФωФ)「あっ……」



 修道女の裾からぽろり転がり落ちたもの……それは在りし日に、父母から預けられた"お守り"だった。



|´ω`;|「(かすがい)よ、まだ(・・)コレを持っていたのか!?焚き上げておきなさいと言っただろう!?」



 祭司は震える手で"お守り"を広いあげると、強い口調で修道女を叱った。



(;ФωФ)「すっすみません。でも、それは……」



(;ФωФ)「お母さんが、なにがあっても大事に持っておきなさいと……だから、どうしても手放せなかったのです」



|´ω`;|「っ!!」



 彼女の言葉に、祭司はそれ以上なにも言えなくなってしまった。その"お守り"は、かつて彼が地獄の底のような戦場で拾った孤児(みなしご)が、ただひとつ持っていたモノだったからだ。



 祭司は心を落ち着けるように深呼吸をすると、"お守り"を手に握り込んだ。



|´ω` |「……分かっておる、怒鳴ってすまなかった……だが、大事なものならば、決して落とさぬように深く懐にしまっておきなさい」



(;ФωФ)「そうですね、申し訳ありませんでした」



|´ω` |「ただ、いまから君は"聖なる装束"に着替えなければならない。これは私が預かっておこう。お守り袋もすっかりほつれているしな」



|´ω` |「私の方で手直しをして、また旅に出る際に渡そう」



(*ФωФ)「本当ですか?ありがとうございます!」



|´ω` |「うむ。それでは、ここからはひとりで行きなさい。祭壇の場所は知っているだろう?」



(*ФωФ)「はい!」





374名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/06(金)18:00:00.00 ID:1399336



【聖アガメマス神殿 祭壇】



(゜∀゜.)「……待っていたぞ、鎹の修道女」



(;ФωФ)「は、はい!」



(゜∀゜.)「緊張しなくともよい。儀式と言っても"聖なる装束"と女神様復活の"祈祷文"を授けるだけだ」



(゜∀゜.)「というワケで、さっそく始めようか」



( ФωФ)「お願いします!」





375名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/06(金)18:00:00.00 ID:1399336



|;´ω`|「……申し訳ありません、高弟様……」



 儀式が執り行われている頃、祭司は神殿に背を向け、旧友(・・)のところへ急いでいた。





376名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/06(金)18:00:00.00 ID:1399336



【聖アガメマス神殿 祭壇】



( ФωФ)「これが"聖なる装束"……」



 儀式を終えた修道女は、以前の慎ましやかな暗色の修道服からガラリと変わって白を基調とした清らかで飾り気のないワンピースドレスに身を包んでいた。裾や袖には金色の糸で女神を賛美する刺繍が施され、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。



 また、その頭には女神の純粋さを象徴する銀の(サークレット)が戴せられ、足元は清貧を示す麦藁(むぎわら)のサンダルが履かされた。そして……



( ФωФ)「この赤いネックレス……とっても綺麗です」



(゜∀゜.)「そうだろう?その宝石は女神様の博愛を表しているんだ」



( ФωФ)「なるほどです……なにやら、不思議な力に身を包まれている気分です」



(゜∀゜.)「"聖なる装束"は女神様のお召し物を模して作られる。女神様の加護が君に宿ったのだ」



( ФωФ)「女神様が守ってくれているということですね!」



(゜∀゜.)「うむ!!そして先ほど授けた"祈祷文"を読み上げることで女神様は復活する。よろしいな?」



( ФωФ)「……はい。お話頂いたことは、すべて承知しています」



(*ФωФ)「魔王を倒すため、僕は生きてきました。それを果たせるというのですから、この光栄な役目を頂いたと喜びに胸が震えております!」



 修道女の瞳がキラキラと輝く。そこに一点の曇りもなかった。



(゜∀゜.)「素晴らしい……その美しき心を以て、そなたは聖女(・・)となった。いま、聖アガメマス教会の歴史に名を刻まん!」



(*ФωФ)「ありがとうございます!」



(゜∀゜.)「さぁ、いざ征かん"鎹"の聖女!神と人とを繋ぐ者よ!」





377名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/06(金)18:00:00.00 ID:1399336



【アロスティ城下町】



( ФωФ)「というワケで、じゃん!"聖なる装束"に着替えてきました!!」



( ФωФ)「どうでしょうか!!!」



(゜、゜*)「あら~~また綺麗になったわねぇ」



(゜、゜*)「道化師、カメラ持ってない?この瞬間を収めておきたいの」



(・∀・ )「ねぇよ」



(^ω^ )「結婚式のご友人代表みたいな服だな」



(・∀・ )「派手すぎだよ」



 (’A` )「んでも、ちょっとサイズあってなくない?」



( ФωФ)「たしかに少しドレスはぶかっとしてますね」



(・∀・ )「まぁ正確な採寸とかしてないだろうしね」



(゜、゜*)「クレームよクレーム!晴れ舞台はちゃんとした衣装で立たないと!」



 (’A` )「決戦場って晴れ舞台なのかな?」



(・∀・ )「魔王城とかぜったい雷雨降り注いでるでしょ」



(;ФωФ)「靴擦れとかありませんし、動くには問題ないですから大丈夫ですよ」



(^ω^ )「成長したらピッタリ合うようになるだろうしな」



 ( ’A`)「そんなに時間かけてたら世界はおしまいだよ」




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