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試し書き

兵庫県にある普通の高等学校、霞ヶ丘高校。

他の高校となんら変わりないこの高校に唯一珍しい部分があるとすれば、それは発明部という部活があることだろう。

これは霞ヶ丘高校に通う発明部部員、たちばな 発明はつあきとその仲間たちの青春物語である。


「あーーーー、帰るの面倒くさいなー」

放課後、発明は部室の机に突っ伏したままふとそんなことを口にした。

それにまず反応したのは同じく発明部部員の田中、こいつは特になんの変哲もない普通のただの男である。

「あー、発明くんの家って遠いもんね。確か片道で3時間だっけ?」

この田中、学校まで徒歩4分という霞ヶ丘高校生から見れば抜群の立地に住んでいる。まぁ、周りに何もないど田舎の学校なので世間的に見たら抜群の立地(笑)という感じではあるが、、、。何はともあれ片道3時間の発明の前では田中の発言の全てが嫌味に聞こえるのだ。というかもはや嫌味である。

次に反応したのは天然アフロの井口、なんといってもこいつの特徴はそのアフロだ。こいつはアフロの中に何かを作るときに必要な道具をすべて隠し持っている。校内で何かが欲しくなればとりあえず井口のアフロの中を探せという文化ができるぐらいにはすごい男である。

「確かに往復6時間はいくら発明氏といえど骨が折れますな。お、そういえば以前に某アイ◯ンマンに憧れて作ったスーツがあるではないですか!あれを使えば発明氏のお家まで一っ飛びですぞ。」

「あー!確かにその手があったか!」

思わぬ解決方法に発明のテンションが上がりかけていると

「あのスーツはダメだよ!」

水を指してくるのは決まって、そう、TANAKAである。

「この前あのスーツで空を飛んだらあまりの速度に近隣宅の窓ガラスという窓ガラスが全部割れたじゃないか!うちも大変だったんだからね!あれ以来うちのおばあちゃんなんか宇宙人がきたとかいって外に出なくなったんだから!」

今回は至極真っ当なことを言っている田中であった。

「そうであったな、あれは市街地での活用には向いていないという話になったのを失念しておりました。」

「確かになー」

「しかし、そうとなると困りましたな。何か他の方法を考えなくては、、」

部室にいる3人が黙り込んだ。これは決して話が弾まないが故の沈黙ではない。発明部において沈黙とは何か良い発明が閃く前兆なのだ。

「そーだ!!!」

目を光らせて大きく立ち上がる発明。

「おぉ!何か思いついたようですな!」「さすが発明くんだね!」

興味津々な井口と田中。

「ふっふっふっ、、、」

ごくりと唾を飲み込む井口と田中。

「どこ◯もドアを作ればいいじゃないか!」

パクリである。



作るものが決まれば展開の早い発明部。

「と、言うわけで出来上がったどこ◯もドアがこちらになります!」

ホクホク顔でお披露目をする発明。

某料理番組のように準備がいいだけで、決してご都合主義なわけではないのでご注意を。

「おおーーーー!」

目を輝かせる田中と井口。

どこ◯もドアといえばロマンの塊、男の夢。当然の反応である。

「これがあれば家に一瞬で帰れるね!」

真っ当に喜ぶ田中、こう言うところが田中なのだ。

「おいおいおい田中よ、まさか本当に家に帰るためだけの道具だと思っているのか?」

「ぷぷーっ、そうですぞ田中殿。このドアをただ帰るために使うなんて非常識にも程がありますぞ!」

「え、他に使い道があるの?うーん、、、、まぁ、そりゃ買い物とかにも使えると便利だよね。」

あまりにも田中すぎる。発想が田中すぎる。いくら辺境の田舎ず住みで買い物が不便でもそれはないであろう。

あまりの田中さにため息をつく発明と井口。

「しょうがないから、そこの田中に真の使い方を教えてやりなさい井口くん!」

「ははーっ!」

師匠と弟子のくだらないやり取りを興じた後、田中の方に向かって歩き出す井口。

「某作品でどこ◯もドアといえば、しず◯ちゃんのお風呂を覗くものであろう!!馬鹿者が!!!」

そう言いながら大きく振りかぶり田中の頬をこれでもかと言うぐらいの強さで引っ叩いた。理不尽である。

「ええ!ダメだよそんなの!」

赤くなった頬を押さえながら、田中は井口を諭そうとする。

「よく言った井口!それでこそ我が発明部のメンバーだ!!」

「ははーっ!」

バカ×2である。

「いや、ほんとにダメだからね!て言うか仮に覗くとして誰のお風呂を覗くのさ!」

その問いにハッと目を見開き目を合わせる2人。

説明しよう!!あのしず◯ちゃんのお風呂を覗くと言う行為は仲のいい女の子であり、優しく許してくれる女の子だから成り立つのである。聡明な2人はそれに気が付かなかったわけではない。しかし、あえて考えないようにしていたのだ。なぜなら、彼らにはそのような関係性の女の子は、いやそれどころか話せる女友達すらいないのである。

そして田中、こいつだけは女子人気が高く彼女持ちなのだ。こんな奴なのに。

つまり、この田中の問いは発明と井口にクリティカルヒットしたのである。

しばらくの沈黙の後、のそのそと立ち上がる発明と井口。

発明の手には井口のアフロから取り出したロープが握られていた。

そこから先は早かった。

目にも止まらぬ早業で田中をロープで縛り上げた発明は田中を井口に向かって投げた。

そして井口もすかさず受け取った田中をどこ◯もドアの中に放り込んだ。

行き先は、一説によると北極であったそうだ。

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