いかれた偽善者
人物増えます。
一部紹介↓
アルバート 男
この人目線多し。
年齢は20~30というアバウトな設定
ダグラス 男
アルバートと共に行動することが多い
年齢はアルバートより上
「嫌な雨だ。」
「ああ、」
ダグラスの声を聞き、曇った窓を見つめた。
埃まみれの硝子を拭くと、また曇った視界が現れた。
こんな土砂降りは久しぶりだ。
そして俺は雨が嫌いだ、特に
こんな土砂降りは。
何かが起こりそうな、
嫌な雨だ。
今回の依頼は楽だ。
ある裏路地に誘い出された男を殺す。
ただそれだけだった。
予定された時間にそいつは現れた。
標的発見、本人と確認。
指に僅かな力をかける。
さようなら。お前も馬鹿だね。
もっと賢く生きたらよかったのに。
安らかに眠れるように祈りをこめ引き金を引く。
予想通り胸を貫いた。
「まだ、生きてんのか。」
倒れこんだ男は以外にも息をしていた。
虫の息とはこのことだろう。
人間とは悲しい生き物だ。
つくづく思う。
己の欲望と感情、願望によって動かされている。
そのくせゴキブリ並のしぶとさ。
本当に悲しい。
無人の路地裏に銃声が響いた。
雨は止まず男に降り注ぐ。
血と混じったそれは薄く赤く、鮮やかに滲み、
水溜りを作る。
さようなら。最期は俺が看取ってやる。
もうちょっと楽に逝けたらよかったのにな。
その時だった
ぱちぱち
後ろから手を叩く音がした。
「誰だ。」
不覚にもそこは無人ではなかった。
おそらく後ろのやつも同業者。
普通のやつなら悲鳴をあげるか何も言わず立ち去る。
だが違った。
立ち去るどころか近づいてきやがった。
拍手は鳴り止まない。
この際振り返ってしまおう。
大丈夫、右腕には愛銃がある。
ゆっくりと振り返ると笑顔の男がいた。
「誰だ。」
今度は強く言った。
「素晴らしいよ。こんな芸術、ちょっとやそっとじゃ完成しないよ?」
男は素晴らしいともう一度言った。
一歩後ろへ下がる。
今の俺は目の前の男を睨みつけているだろう。
金髪にセルリアンブルーの瞳。長めのその髪は雨に濡れて光っていた。
本能が知らせる危険信号。一際強く男を見据えた。
「僕の名前はヴォルト。君の名前は?」
「・・・・・・アルバート。」
「アルバートだね!いい名前だよ。」
にっこりとやつは微笑んだが俺には不気味で仕方がなかった。
俺が直感的にコイツを避けたがる理由。
自身が、コイツは頭が狂っていると判断しているからだ。
「君は今、どうして僕がここにいるのかどうして死体を見て驚かないのかって考えてるでしょう?」
図星だろう。
確かにこの死体を見て動揺しないのはおかしい。
まず何故ここにいるのか。
ここは町で禁止地区とされているところだ。
禁止地区というより何がおこっても保障しません。
そんな所だ。
「僕もね人を殺すんだ。」
別に仕事って訳じゃないけど。
笑顔が怖い。
「趣味・・・かなぁ?君達みたいにお金のために人を殺したりはしないけど。」
「・・・・・・」
「怒った?ごめんよ。ただ君とは話が合いそうだ。」
話が合う?
ふざけるな。誰がてめぇと話をするかよ。
「悪いが、俺はお前に興味はない。そしていかれた野郎にも興味はない。」
それだけ言って俺はその場を去った。
「ほんと、話が合いそうだ。」
end