桜が好きな僕たちは、
第1章 不老不死
永遠があればどれほどいいものかと思っている。
ゲームのサービスは続いて欲しいし、お金もそうだ。もちろん人の命だってそうだと思う。
なんて、授業中に小説の序文みたいな事を考えてるから僕は成績がよろしくないのだろう。
「ねーねー、はづっち〜」
なにか聞こえたような気がしたが、僕のことをあだ名で呼ぶような友は居ないので無視をした
「君嶋葉月くーん?ムシしないでくださーい」
呼ばれているのは僕だった、もう一度無視をしてやり過ごそうかと迷ったが後々めんどくさそうなのでやめておいた
「なんですか、橘さん」
彼女は橘 皐月うるさい、以上。
「だーかーらーいまの聞いてなかったのー?」
授業中なので一応囁き声だが、相変わらずうるさい
「はづっちはさ、桜好き?」
突然なんだと思った。せっかくいい序文が思いついていたところなのに、
「まあ、好きな方だね」
わざと素っ気なく返したのにも関わらず気にせずに話しかけてくる
「では、ここで問題です!」
これまた突然だ
「なんで日本人は桜が好きなんでしょーか?」
「綺麗だから」
直ぐに答えた
「ぶっぶー、せーかいは『儚い』からでしたー」
どうだ参ったかと言わんばかりのドヤ顔を見せてくる彼女に嫌気がさす
「はづっちはどう思う?私はサイコーにいい考えだと思うな〜」
素っ気なく首を縦に振った。
後日彼女に校舎裏に来るように伝えられた。2パーセントぐらい期待してる自分に嫌悪感を抱いたが、そんなことはお構い無しに凄まじい事を告げられることになった。
「わたし。ふろーふしなんだ」
「は?」
心の底から出てきた渾身の困惑の言葉だった
「だーかーらー、ふろーふしなの!」
信じられるわけない、そう思った瞬間彼女はナイフを持って自分の腕を切りつけた。
「なにしてるんだ……よ?」
切りつけられたはずの彼女の腕は既に元通りだった。
「信じたー?面白いでしょー!」
おもしろくない。というか信じたくなかった。こんなものが存在するのか、僕は唖然とした。続けてまたまた凄まじいことを言ってきた
「はづっちさぁ〜、小説書いてるっしょ」
なぜバレてるんだ、しかも不老不死という意味不個性をもってる彼女なんかに、
「私の人生を書いて欲しいだよね〜」
意味のわからないことを言われ続けて、逆に冷静になってきた。たしかに、僕は小説を書いている。趣味程度だ、多分僕が授業中に書いた小説を盗み見していたのだろう。過去の自分を殴りたくなる
「私ってふろーふしだからさ、こんな人生あゆんでる人ってなかなかいないと思うんよ、だから文っていう形にして残したいなーって思ってさ」
ツッコミを入れたいが日が暮れてしまうのでやめておく。
僕は承諾した。断ったら小説を書いてることをみんなにバラすと言ってきたのだ。なんという外道だ、
ただこれはまだ序章に過ぎなかった。