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28.
「あなたは誰よりも感受性が豊かで、傷つきやすいのね。簡単に魔法打っていいよと言ってごめんなさい」
彼が肩を抱きしめてくれる。
「シリル、前!」
落ちていた大きな石をよけたので、必然的にシリルに寄りかかる形になってしまった。
「ごめんなさい」
「どんどん寄りかかっちゃって大丈夫」
胸の鼓動なのか、馬車の揺れなのかわからなくなってきた。
「そろそろだいぶ片付いている頃だからさ」
後ろを振り向くとライリーが馬の背に乗りながら、剣を振りかざし、次々に盗賊をひとりひとり減らしていっているのがわかる。
ほんの少し切り傷を入れると最初熱さだけを感じる。次に来るのが痛みだ。
切り終わるか終わらないかで人は悲鳴を上げる。
みんな盗賊になりたくて、なるわけではない。貧しさ、それがこの国の姿だ。
豊かさに変えていくには、時間がかかる。




