25. ギルドお墨付きの人物
雇った御者は二人。ひとりは剣が使えない。ひとりは剣の腕が立つ者を雇ったつもりだ。
ギルドお墨付きの人物らしいが人となりはわからなかった。
「損はさせません。彼らなら無事に目的地まで行けますよ」
ギルド長、キャロルがにっこり微笑むと安心感がある。青色の瞳が心まで見透かすようにして王子の婚約者をじっくりみようとしているのか、はたまた黒髪が珍しいのか、王都から遠ざかる意味を推し量ろうとしているのか。
「提示された金額では請け負うことができませんが、倍額でしたら可能ですよ」
彼女の瞳が嘘を言っていないのかをずっと見ていた。
彼らならと言ったその一瞬見せた隙のない眼光の鋭さはお金のためだったとは思いたくない。
もしもここで負けることがあったなら、私はギルドに文句のひとつでも言ってやりたい。
しかし、彼らに捕まった場合は、誰にも文句が言えない。
つまりギルドが丸儲けではないか。
「スピードはこのままでいい。速すぎると馬がもたない」
的確な指示のように聞こえるが馬を操作する者も怪しく思えてくる。
それにどこから情報が洩れてしまったのか。
ティアが入っているバスケットの蓋をしめて、リリーに手渡す。
「ティアをお願い」
リリーとメイベルの間の小窓から、彼らの人となりを今更だけど観察する。
馬車を操っていたのは、なまめかしい女性だった。
でも、上腕二頭筋が大きい。三つ編みに編んだ髪を邪魔そうに払いのけている。
かっこいいクールレディといった感じだ。
もうひとりは、剣を身につけている。
戦士にしては、身軽な恰好をしている。鎧も何も身につけていない。
心臓の位置に革の胸当てだけをしている。
あれは若い冒険者が使う最低装備ではなかったかしら。
小窓から覗いているのに気がついてか、親しい隣人に向けるような屈託のない笑顔が向けられる。
出てこいというようなジェスチャーをされる。
何だろう?
「魔法使いだろう? 出てきて手伝え」
唇の動きを読むとそう読み取れる。
顔の表情と飛ばされたメッセージが合っていない気がするが、何か煽られている?
外をもう一回見ると、笑顔が真顔になり、苛立ちが瞳に出ている。




