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24. 馬車の中で

 リリーの容姿は、どこにいても目立つ。

 快く思わない者に意地悪されたり、やっかまれたりしていたのを助けたというと聞こえがいいが、自分の姿と重ねてしまった。

 私のように図太く生きれたら、この子も少しは楽に呼吸ができる。

 侍女になって彼女を見つめてみると、何でも器用にこなす。

 シーツは重くて剥いで敷くという動作だけで重労働になると思うのだが、人よりも早く終えて洗濯物を干しにかかっているような状態だった。

 家事全般をすべてオールマイティーにこなす子は初めてだった。

 

「リリー、ミクロフィアに着いたら、パイの焼き方を教えてちょうだい」

「承知致しました」


 彼女の中できっちりと線引きされていて、主として相応しいと思ってくれているのが手に取るようにわかる。


「あっ、私も入れてください!」

「メイベルには他のことを頼みたいの。いいかしら?」

「はい」


 丸まっていた背を伸ばして、メイベルはまっすぐにアリシアを見る。


「パイの材料を揃えるのを手伝ってほしいの」

「わかりました!」


 それぞれの思いを胸に窓の外を見ると並走して走っている馬がいる。

 しまったと思ったのは一瞬で、顔を引っ込めるよりも早く馬車が揺れる。

 馬に乗っていたのは、鼻から下を覆い隠すようにして覆面をした盗賊のような恰好をした者たち。

 レースに隠れていたので、顔がわからなくてよかったが、迂闊に一瞬顔を出してしまった。

 並走していた馬の上で微笑まれてしまっては狙いは誰だか明確だ。

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