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21. ミクロフィア

 約束は守れないと思っていたが、ちょうど十年目にミクロフィアの地を踏める。

 不思議な巡り合わせのように感じる。

 どこの場所だったのかは定かではないが歩いているうちに気がつくだろう。

 七歳が行ける場所は限られている。

 湖ではなかった。

 でも果たして十年前の景色のままだろうか。

 二年前に変わったところまでは覚えている。

 村をあげて、崩れかけの塔を少し修繕して、その下の道にひとつひとつ拾ってきた石を少しずつ敷き詰めて登れるように整備した。

むかしむかし、賢者が住んでいたという噂の塔だ。その賢者の姿はどこにもなく、うず高く積まれた本だけが残されていた。埃を払い、本を整理して村の図書館へと変わっていった。

 変わっていないといいという思いと、どこか変わっているかもしれないというわくわくした思いが交錯する。

 村の発展は緩やかで少しだけ便利になったことに喜びを感じていた。

 今日、ベリーをたくさん積める場所が見つかったとか、新しいお菓子のレシピを手に入れたとか、ほんの小さなことだけど喜びと優しさがその土地を包み込んでいた。

 馬車に乗っていたら、景色が飛ぶように過ぎていくので何となく見逃しがちなもの。

 ゆっくりと歩いていると葉っぱの色が少し色づいてきたなぁとか、夏を過ぎると風がほんの少し涼しくなっていること。

 景色が飛ぶように変わるのではなく、少しずつ緩やかに変化する土地だった。

 明日の朝を待ちきれない。

 今日のうちに出立したいが、夜移動するのは危険と隣り合わせになるために少し待たなければならない。

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