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13. 官能の香り

 エドモンドは、腕を組んでエスコートをするつもりだった。

 だから、距離をとったときに驚愕の瞳をしていた。

 彼の後ろをかなり遅れて歩いていく。

 時々ついてきているのかというように振り返る瞳を見なかったフリをした。

 庭を眺めてみたり、夕日がまぶしいとでもいうように手をかざしてみたりして歩く。

 扉を厳重に守っている衛兵が重い扉を開ける。


「おお、アリシア、エドモンド。二人を待っていたぞ」

「陛下、参りました」


 公の場で使われる大広間に通された。

 天井には、金色の額縁に彩られた絵画が飾ってある。

 それが珍しいのか、ティアナは口を開けてそれを眺めているのがわかる。

 エドモンドと目が合うなり、口を閉じて涙を潤ませて走ってくる。


「エドモンド様、いきなり連れてこられて、私はどうしたらいいのかわかりません」


 甘えるような裏声の高い声をあげながら、泣きそうな顔をしている。

 庇護欲が働く人ならば、すぐに手を差し伸べたくなってしまう。

 エドモンドは、ティアナから上着の裾を握られてしまい、後ろに逃げるにも逃げられなくなってしまっている。

 仕方ない助け舟を出すか。

 アリシアは、上着の裾を握っているティアナの手を痛いというくらいに握る。


「痛い! 何をするのよ!」

「いきなり上着の裾を握るのは、マナー違反ですわ」


 やんわりと諭すが彼女は聞いていないかのようにして、エドモンドの方に近づいていく。

 彼女の腕をとり、引き寄せると、ふんわりと甘い香りがする。


「ポプリを出してくださいますか?」


 少しきつい感じで彼女に問う。


「エドモンド様、私は何も悪くないのにアリシア様が!」


 確かに今の状況だけでは、私がいじめているようにしか見えない。


「チャームの魔法の痕跡があります!」


 糾弾すると、ティアナの唇がやったというように歪んだのを見逃さなかった。

 捜そうとしても見つからないところに隠してあるということか。

 これで言葉の通りにチャームの魔法の痕跡をみつけられなかったら、私の負けだ。

 引き寄せたときに香ったということは、上半身に隠してある。

 下着の中に突っ込まれていたとしてもそこまで脱げとは言えない。

 周囲にバレないように王子だけを魅惑させる場所は、いったいどこだろう。

 ドレスの胸元に目を走らせるが何もない。

 イヤリングはしていない。

 魔法はその場で使うものもあるが、痕跡が残る。

 ポプリだったら、近づいてゆっくりと香り、相手を惑わすことも可能だと思った。

 

「アリシア様、どこにポプリがあるというのでしょう? 私がまるでチャームの魔法を使って王子様を惑わしたような言い方はひどいです」


 迷いが自分の中で生まれたが、それは一瞬で消えた。

 あの香りは忘れるはずがない。甘ったるい、理性では抗えないほどの香り。

 イランイランという花の香りは独特だ。人を魅了する香りだと言われている。

 王妃様をちらりと見るが、微笑みがさらに深くなっただけだった。

 自分で解決しろということか。

 

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