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お題シリーズ3

笑う罪人の影

作者: 仲仁へび



 その罪人は影を複数持っていた。

 普通、人間には影が一つしかない。

 しかし、なぜかその罪人は、人の影を奪う事ができた。


 影を複数持つと、自分を偽る事ができるようになる。

 多くの人から逃げる必要があった罪人は、影がいくつも必要だったのだ。


 一方。

 影を奪われた人間は、存在できなくてこの世から消滅してしまう。

 誰もその人間の事を覚えていないし、その場を目撃していたとしても記憶にとどめておく事はできない。


 変化に抗う事は不可能だった。


 そうして奪われた影は罪人の影になり、より一層大きくなり、色合いが暗く濃くなっていく。


 逃走を続ける罪人は、影を奪い続けた。

 そうして、いくつもの影を持った男は、本体より影の方が存在感が大きくなってしまう。


 結果、罪人は百個目の影を奪った瞬間、影に飲み込まれてしまった。


 罪人は、自分の足元にある影が「ふふふ」と笑うのを聞いていた。


 影は罪人を食いつぶし、この世に影人という新たな生命として誕生する。

 本体である罪人がいなければ存在できなかったはずの影は、あまりにも強くなり過ぎた。


 影だけで、存在できるようになっていた。


 その影人は「やっと俺達の時代がきたぞ」と言って、世の中を自由に歩き出しはじめた。


 その様を見た他の影は、みな「ふふふ」と笑いだしていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 怖っ!この影人も他の人の影を奪えるとしたら、、、、めっちゃ怖いですね
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