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小プレリュード ニ短調 BWV926

作者: 明原かや

どうして、こうなってしまったのだろう。


人間にとって、一番辛い感情があるとするならば、

後悔っていうものなんじゃないかと思う。


そして、その時が通り過ぎたら、

空白になっていく。

文字通り、空っぽの僕を、月が見下ろしている。


よせて、かえす。

繰り返す。

エンドレスの感情は、波の音に似ている。


雲が円い月を隠す。

辺りは暗くなる。

それでも、波の音は続いている。

空っぽになってしまっても、終わっていない事に気付く。


風が吹いた気がした。

少しだけ、月がのぞいて、光がさす。

わずかな光でも、さまよい続ける道の先が見えるだろうか。


波の音が聞こえても、聞こえなくても、

僕は、もう。

行かないといけないと、本当の僕は分かっている。


出来れば、泥水に浸かっていたかったのに。

そうしたら、君を忘れなくてすむから。

僕は、変わらなくてすむから。


容赦なく、月光は明るさを増していった。

僕は、後悔をしていたかったんだ。

でももう、それさえも、

きっと月は許してくれない。


明日になればきっと薄れていく記憶。

砂みたにすり抜けていく心の深淵を

月と海が見ている。


僕は、そうして、

やっと歩き出す。

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