第76話 魔王との死闘
「キアーヴェ!!」
俺は金色のドラゴンに向かって呼びかける。
「遅くなってすまない、鍵の勇者。ファイヤーフェニックスのザクスを倒すのに手間取ってしまってな」
キアーヴェはばっさばっさと翼を広げながら魔王の間中央に降りていく。
「鍵のドラゴンか、ザクスめやられよったか」
魔王はキアーヴェを見て言う。
「魔王よ、三百年振りだな」
キアーヴェは魔王ザンバックを一瞥して言う。
「鍵の勇者よ、魔王は不死の存在などではない。核に攻撃を与えることが出来れば倒すことが出来るはずだ」
キアーヴェは俺たちにアドバイスをくれた。
「フ……、我の核は人間で言う心臓のようにわかりやすく左胸にはないぞ。常に体内を移動しているのだ。貴様らに我を倒せるはずもない」
アリシアはそれを聞いてオリハルコンソードを再び魔王ザンバックに向ける。
「自ら弱点を喋るなんて間抜けじゃない?」
「フフフ……これは余裕と言うのだ。かかってこい鍵の勇者を守る戦士よ」
「たあああああっ!」
アリシアは走り魔王に近づいていく。
オリハルコンソードは今度は魔王の左腕を傷つける。
しかし、次の瞬間にはその傷は元に戻ってしまう。
「どうしたらいいの、奴の核はどこにあるの?」
アリシアは戸惑う。
そこにキアーヴェが追い打ちをかける。
「下がっていろ、鍵の戦士アリシア!」
そう言うとキアーヴェの金色のドラゴンの口からブレスが放たれれる。
ブレスはその場から離れたアリシアを残し、魔王を焼き尽くしていく。
――かに見えた。
しかし、魔王はブレスのダメージを回復しつつ火炎の渦から出てくる。
「我にその程度のブレスなど効かぬ!」
そう言って嘲笑う。
「くそっ、キアーヴェのブレスも効かないなんてどうしたらいいんだ!」
――そのときだった。
キィが俺の前に歩いて出てきた。
「キィ、危ない! 後ろに下がれ」
「ううん、キィ、全てを思い出してきた。キィなら魔王の核の場所がわかる!」
そう言ってキィはこちらを振り向く。
「本当か!?キィ」
「マスター、マスターキィソードを!」
キィがマスターキィソードの柄を握る。
再び、マスターキィソードのブーストがかかる。
「「探知遠隔施錠!!」」
俺とキィはとっさに頭に浮かんだ言葉を叫ぶ。
光はまっすぐに飛び、魔王の体をつかむ。
いや、つかんだのは魔王の体ではなく、体の一部分だった。
胸の中央を光は指している。
「アリシア、今だ!」
「わかったわ、はああああああっ!」
アリシアは魔王に走っていく。
魔王は杖で応戦するが光は胸の中央を指したままだ。
しかし、魔王は杖で巧みにアリシアの攻撃をかわしていく。
「このままじゃダメだ、キィ、行くぞ」
「わかった、マスター!」
「「超遠隔施錠!!」」
柄に手をやるキィと、両手に掴んだマスターキィソードを魔王に向ける。
瞬間、光が迸り魔王へとブーストされた光が飛んでいく。
魔王の動きが一瞬だけ止まる。
しかし、その隙をアリシアは逃さない。
「たあああああああああああっ!!」
そしてアリシアのオリハルコンソードはついに魔王の胸の中心の光、核を貫いたのだった。
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