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第75話 魔王ザンバック

「なんてこと、味方を殺すなんて!」

 アリシアは魔王に向けて叫ぶ。


「味方と言えども、役立たずになれば始末する。我の地上支配の邪魔になるだけだ」

 魔王は遠くから俺たちを眺める。


「しかし、おまえには見どころがある。鍵の勇者、三百年前にも同じ質問をしたが、どうだ我の仲間にならぬか? おまえには四天王以上の待遇を約束しよう」


「三百年前の鍵の勇者はどう答えたんだ?」

 俺は叫ぶ。


「フ……愚かにも奴は我の提案を断ってきた。しかし、今度こそ地上を魔族のものにするときが来たのだ。我の仲間になれ」


「だったら三百年前と同じ答えだ、魔王ザンバック。俺はおまえを倒す」


「強情だな、我は三百年の封印を経てさらに力をつけた。おまえに倒せると思っているのか?」


「倒せるとかじゃない、ここで今お前を倒す」


「愚かな、我は不死の存在だ、倒すなどと言うことができるはずがあるまい」


「だったらここで再び封印する! キィ!」


「はい、マスター!」

 キィは近づいてきて俺に抱き着いた。


 俺はキィの胸元に手をかざす。


施錠解除アンロック!」

 鍵の剣、マスターキィソードが現れる。


 俺は一気にその剣を引き抜く。


「覚悟しろ、魔王ザンバック!」


「フフフ、あくまで我に逆らうつもりか。ならばここで死ね、鍵の勇者」

 魔王は手に持った杖をかかげた。


 まずい、さっきの雷の攻撃は避けられない。


「マスターキィソード、遠隔施錠リモートロック

 俺は魔王に向かって鍵の剣の力を解き放つ。


 しかし、魔王の動きが止まったのは一瞬ですぐに動き出してしまう。


 ステラがすかさず障壁(バリヤー)を唱える。

 

 杖からはじき出された雷はステラの障壁(バリヤー)の前に相殺される。


「今や、アリシア、頼む!」


「わかったわ!」

 アリシアは魔王に向かって走り出す。


「この距離からの遠隔施錠リモートロックじゃあ、魔王の動きを完全に止めることはできない。なるべく近づかなければ!キィ、ついてきてくれ」

 俺とキィも魔王に向けて走り出す。


 アリシアはとてつもない勢いで魔王に近づいていく。

 

「ぬぅ、裁きのいかづちは充填しないと使えぬ、が、我の力をそれだけとは思うなよ」


 アリシアは魔王の前の階段を三段飛ばしで駆け上がる!


「たああああああああああああっ!」

 アリシアは魔王に向かってオリハルコンソードを振り下ろす。


 しかし、魔王はその攻撃を杖で受け止める。


「何てこと、オリハルコンソードを剣でなく杖で受け止めるなんて!」

 アリシアが驚きで叫ぶ。


「愚かなり、人間の女よ。我が魔法を使うだけの存在だと思っているのか、剣術でも負けるはずもない」


 そう言ってそのオリハルコンソードを受け止めた杖を振り下ろす。

 たまらずアリシアは地面に叩きつけられる。


「く……はっ!」

 アリシアはダメージを受けて苦しそうにする。


「アリシア!! 魔王め! 遠隔施錠リモートロック!」

 俺は魔王に向けて再び遠隔施錠リモートロックを唱える。


 光が迸り、魔王ザンバックの動きを止める。

 アリシアに追い打ちしようとしていた攻撃はすんでのところで止まる。


 アリシアは横に転がり態勢を立て直す。

「ジョウ君、ありがとう!」


「すまない、アリシア、奴を止められるのはこの距離で数秒しかない!」


「それたけあれば大丈夫よ、たあああっ」

 再びアリシアは魔王に向けてオリハルコンソードで切りかかる。


 アリシアと魔王ザンバックの一騎打ちが始まった。


 魔王の攻撃を巧みにかわしながらアリシアのオリハルコンソードが光る。


「フ……少しはやるようだな」

 魔王は杖で応戦している。

 アリシアははじめは健闘していたが、次第に押され気味になっていく。


「アリシアの剣技をもってしても倒せないなんて!」

 俺は驚きで叫ぶ。


「キィ、もう一度だ、遠隔施錠リモートロック!」

 俺はキィに柄を握ってもらいブーストがかかった遠隔施錠リモートロックをかける。

 迸る光は魔王ザンバックに降りかかる。


 ――瞬間、魔王の動きが止まる。


 その数秒の間隙をアリシアは逃さない。

「たああああああああああっ」

 アリシアのオリハルコンソードが魔王の杖をはじいて、はじめて魔王本体、胸を切りつけた……と思った瞬間、アリシアが魔王の左手の攻撃を受けてふっとぶ。


「アリシア……!!」

 こちらに飛んできたアリシアの体を俺は抱き止める。


「すまない、魔王を止められるのはほんのわずかな時間だけだ」


「大丈夫、それより魔王に一撃を与えたわ!」


 魔王は確かにダメージを受けたように見えた。

 しかし、余裕の笑みを浮かべる。


「どうした、それが限界か、鍵の勇者、そしてそれを守る戦士よ」


「こなくそ、超火球スーパーファイヤーボール

 ステラが超火球の魔法を唱える。


 巨大な火球が魔王向かって飛んでいく、が、魔王は杖を振りその火球を弾いてしまう。


 火球は天井に弾け飛んだ。

 天井が一部崩壊しバラバラと瓦礫が落ちる。

 

「なんてことダメージを受けてないというの?」


「いや、確かにオリハルコンソードは奴にダメージを与えたはず、もう一度だ!」


 アリシア自身もダメージを受けていたが、なんとか立ち上がる。

治癒魔法ヒール

 アリシアは自身に治癒魔法をかけた。


「こうなったら、魔王が倒れるまで何度でも攻撃してやるわ!」

 アリシアは再び魔王に向けて走り出す。


 俺は再び、キィにマスターキィソードの柄を握ってもらい遠隔施錠リモートロックを唱える。

「マスターキィソード、遠隔施錠リモートロック!!」


 今度はもう少し魔王に近づいている。

 威力は上がっているはずだ。


 魔王の動きが再び止まる。


 そこをアリシアが階段を駆け上がり、魔王の腹をオリハルコンソードで切りつける。

「グオオオオオッ!」

 さすがに今度の攻撃は魔王もダメージを受けたようだ。

 

 すると魔王は黒いローブを脱ぎ捨てた。

 赤黒い肌は今の攻撃で斬られ、血が流れている。


 が、見る見るうちにその傷はふさがっていく。

「フ……愚かな、我は不死であるといっただろう」


「そんな、あんな奴、どうやって倒せばいいんだ」


「不死であるはずなんてないわ! 必ずどこかに弱点があるはず!」

 アリシアが再びオリハルコンソードを構える。

 

 そうだ、三百年前も鍵の勇者は魔王ザンバックを倒して封印している。

 何かしら方法があるはずだ。


 ――そのときだった。


 巨大な地鳴りがした。

 魔王の間全体が揺れたかと思うと、突如天井が破壊され何かが降りてくる。


 それは紛れもない金色の鍵のドラゴン、キアーヴェの姿だった。

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