第74話 リュウセイとの戦い
俺達は悪魔の騎士を倒し、しばし休んだ。
「マスターキィソード、施錠!」
マスターキィソードはキィの中に吸い込まれていく。
この先が魔王の間ということは最終決戦だ。
アリシアが自分も含め、傷ついた俺やステラに治癒魔法をかけてくれた。
「いよいよ、最後ね……」
アリシアが閉じた扉を前に言う。
「ジョウ君、死なないでね」
「アリシアも……キィもステラもな」
「行くぞ!」
俺は皆の意思を確認する。
扉に両手をやる。
「施錠解除!!」
扉は奥の方へと開いていく。
中に入るとそこは巨大な広間だった。
ドラゴンが飛んで暴れられるだけの広さがあった。
「ついに来たか鍵の勇者よ」
そう奥から声がする。
声だけでパリパリと大気の震える音がした。
重圧がとてつもない。
遠くを見ると玉座の間らしきところに扉が見える。
その扉はゴオオオと音を立て開く。
そして二本の角が生えた黒いローブを身にまとった初老の男性が現れた。
髪は銀色の長髪をしていた。
前にはアクアドラゴン姿のリュウセイが控えていた。
「あれが魔王ザンバック……?」
アリシアが呟く。
「おまえが魔王ザンバックか!?」
俺は叫ぶ。
「いかにも。鍵の勇者よ、三百年振りだな」
瘴気が濃い。立っていられないほどの重圧を感じる。
「お待ちください。魔王様、ダメージを回復していただけたのでここは私が相手をします」
リュウセイが前に出張る。
俺たちの前に再びリュウセイが立ちはだかる。
「おうおう、何度も何度もしつこいで。ええ加減、堪忍しぃや」
ステラが挑発する。
「フ……魔法使いごときが四天王の相手になるのか」
「この魔法の杖の力見せたるわ! 超火球!!」
リュウセイはステラの魔法に対してブリザードブレスを吐いた!
両者の魔法の威力が相殺され大爆発を起こす。
「キィ!」
俺は爆発からキィをかばう。
「ジョウ、遠隔施錠を!」
ステラが言う。
「わかった!」
俺は両手を開き、握る。
「遠隔施錠!」
光がリュウセイを直撃する。
リュウセイの動きが止まる。
「グオオオッ、鍵の力か! 魔王さまっ!」
リュウセイは魔王に助けを求める。
魔王は黙ったまま、手にした杖を一振りする。
途端に、鍵の力が解ける。
「なんだって! 鍵の力を解除するなんて!」
俺は驚きで声をあげる。
「フフフフフ……これこそが我らが魔王様の力だ。死ねえっ!」
リュウセイの爪が俺を狙って振り下ろされた!
しかし、その瞬間アリシアが間に割って入る。
リュウセイの爪とアリシアのオリハルコンソードが軋みをあげる。
「やらせないわっ!」
アリシアがそう言ってリュウセイの爪を切り裂く。
「グオオオオオッ!」
リュウセイはたまらず引き下がる。
そこをステラの魔法が追い打ちする。
「超火球」
今度こそ、リュウセイに魔法は直撃する。
「なんてことだ、たかが一魔法使いの魔力がこれほどとは……?」
「あたいの魔法の杖は鍵の仙人から貰ったんや、ただの魔法とはちゃうで。それにアクアドラゴンと言うぐらいだから火属性の魔法が弱点やろ!」
「よくもやってくれたな!」
今度はリュウセイはドラゴンの口の牙でステラを狙い撃ちにする!
しかし、またしてもアリシアが間に入り、今度はアクアドラゴンの目に向かって一撃を放つ。
「たあああああああっ!」
そう言って、アリシアはアクアドラゴンの片目を切りつける。
「グアアアアアアアアアッ!」
アクアドラゴンの怒号が響く。
「よくもよくもっ……、私の目をっ……!」
続いてアリシアはアクアドラゴンの右足を切りつける。
「グアアア、こうなれば……!!」
そう言って、リュウセイは翼で飛び上がる。
「空中なら、オリハルコンソードでも攻撃できまい!」
「ほんなら、魔法で倒すだけや超火球!!」
火球がリュウセイに向かって飛んでいく。
だが、今度は巧みに飛んで避けられる。
火球は天井に当たってパーンと弾ける。
俺は再び空を飛び回るリュウセイに向かって両手を開き、閉じて唱える。
「遠隔施錠!!」
光は迸りリュウセイに向かって飛んでいく。
リュウセイの動きが空中で止まる。
「うおおおおおおおっ!」
リュウセイを捉えた光を動かし俺はそのままリュウセイを地上に叩き落とす。
「グオオオオオオオッ!」
リュウセイが咆哮する。
そこを今度はアリシアが走っていき、オリハルコンソードで翼を切りつける。
たまらずリュウセイはバランスを崩す。
「こんな、こんなはずはない、魔王様っ、お助けを……回復魔法を」
リュウセイはアリシアに傷つけられボロボロになりながらついに魔王に助けを求める。
しかし、魔王ザンバックはそんなリュウセイに冷たい視線を浴びせる。
「リュウセイよ、我はおまえのどんな汚い手を使ってでも勝とうとするそうしたところが気に入っておった。だがここに来て、我に助けを求めるなど愚かしい」
そう言われてリュウセイは戸惑う。
「そんな、魔王ザンバック様……」
「もうおまえは役立たずの用済みだ。死ぬがよい、裁きの雷!!」
魔王は杖を上にかかげた。
瞬間、アクアドラゴンのリュウセイに雷が落とされる。
「そんな、魔王……様……なぜ」
「裁きの雷は蘇生の魔法も効かぬ攻撃だ、死ぬがよいリュウセイ……」
「魔王様、あんまりです。お助けをっ……」
そう言って、リュウセイはゆっくりとその巨体を横に倒した。
そして絶命した。
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