第73話 悪魔の騎士
水の牢獄から脱出した俺達は広間に出た。今までと違い視界が開けている。
天井も高くドラゴンが暴れられるだけの広さがある。
広間の奥には、大きな扉があり、そこにはあの水色の体をした魔物、四天王リュウセイがいた。
「クッ、まさかあの水の牢獄を破るとはやるな、鍵の勇者、しかしこれだけの数の悪魔の騎士を相手にできるかな」
リュウセイは部下の三十体ほどの悪魔の騎士を広間に配備していた。
四方から近づいいてくる。
「マスターキィソードの威力を知らないのか! 複数遠隔施錠!!」
俺はマスターキィソードを天に向かってかざした。
光は上に飛んでいき、悪魔の騎士に降り注ぐ。
三十体の悪魔の騎士の動きが停止する。
しかし、それが限界だった。
リュウセイまでロックすることが出来ない。
こいつら、一体一体がA級に近い力を持っている……。
俺はアリシアとステラに叫ぶ。
「アリシア、ステラ、今のうちに攻撃を!」
それを聞いてアリシアとステラは即、攻撃に移る。
まずステラの電撃呪文が悪魔の騎士にダメージを与える。
続いてアリシアが走っていき、悪魔の騎士を切りつける。
オリハルコンソードをもってしても悪魔の騎士の硬い装甲を抜けるのは苦労しているようだ。
しかし、マスターキィソードで悪魔の騎士を止めておくのは限界に近づいてきている。
「キィ、援護を」
俺はそうキィに呼びかける。
「はい、マスター!」
キィは走ってきて、鍵の剣の柄を握る。
途端に力が溢れる。
もう一度、悪魔の騎士を拘束する力を強める。
リュウセイはそれを見ていたが、形勢は不利と悟ったのかアクアドラゴンの姿に変貌していく。
そして
「ブリザードブレス!!」
と叫び、悪魔の騎士ごとアリシアに氷の息吹で攻撃してくる。
「味方ごと攻撃してくるなんて!」
そう言い、アリシアはその氷の息吹をオリハルコンソードで斬った。
氷の息吹はアリシアの左右に分かれ消し飛んでいく。
良かった、オリハルコンソードの力はやはり強力だ。
「ぬぅ、やりおるな」
「超火球」
そこにステラの火炎魔法がリュウセイを直撃する。
「ぐはっ!」
リュウセイはたまらず後退する。
アリシアは凍り付いた残った悪魔の騎士を一体、また一体と切り裂いていく。
アリシアのそれはもうA級の域を超えた、S級の剣技だ。
リュウセイはそれを見てこちらに近づいてくる。
「鍵の力を使っている間は動けまい!」
アリシアが悪魔の騎士を相手にしているのをいいことに、俺とキィを狙って攻撃を仕掛けてきた!
「ジョウ君!」
とっさのことにアリシアが反応できないでいる。
リュウセイの爪が俺とキィを狙って振り下ろされた。
「くっ!」
とっさのことに俺は悪魔の騎士の拘束を解いて、リュウセイの振り下ろされた腕を鍵の剣で受け止める。
柄をキィの手が離れたことでブーストが切れる。
俺はリュウセイに向けて唱える。
「施錠」
瞬間、光が迸りリュウセイの動きが止まる。
チャンスだが、アリシアは動き始めた悪魔の騎士の対処に忙しい。
俺は施錠したままリュウセイを奥の巨大な扉に叩きつける。
「グオオオオオッ!」
ダメージを受けてリュウセイは咆哮する。
同時に施錠による拘束が解ける。
そのまま攻撃を続けることが出来たが、アリシアが動き始めた残り十体ほどの悪魔の騎士に苦戦をしているのでそちらの拘束に再び手をやる。
「複数遠隔施錠!」
アリシアをまさに攻撃しようとしていた悪魔の騎士の動きが止まる。
「ありがとう! ジョウ君」
そう言ってアリシアは残る悪魔の騎士の掃討にかかる。
リュウセイは
「くそっ、こんな、こんなはずはない!」
と巨大な扉の前でもだえ苦しんでいた。
そう言って人間形態に戻り、扉を開ける。
「魔王様、お助けを……!」
そう言って扉を閉めた。
魔王?魔王だって――?
どうやら、この奥の部屋がいよいよ魔王の間らしい。
俺はアリシア、ステラやキィに告げる。
「この奥が魔王の間らしい、さっさとこいつらを片付けるぞ」
そう言って、俺はマスターキィソードの拘束を強める。
ただし、魔王のために残された力を消耗しすぎないよう注意を払う。
そうしてややあって、アリシアとステラの力で悪魔の騎士は全滅するのだった。
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