表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/81

第7話 開かずの扉の迷宮(4)

 ――そうこうしているうちに、アイアンゴーレムどもはこちらに向けて歩み寄ってきた。

 アリシアはミスリルソードを抜く。


 ……大ピンチだ。


「ごめんね、ジョウ君。こんなことになっちゃって……」


「アリシアのせいじゃない、俺が選んだことだ」

 俺は剣を構えなおす。


 ――何か手はないのか、考えを巡らせる。


 しかし、考えをまとめる暇もなく。


 ゴーレムどもは襲い掛かってきた。


 足手まといにはなれない。

「やあああああああっ!」


 俺はアイアンゴーレムに駆け寄った。


「ジョウ君!?」

 アリシアが驚いた声で言う。


 いくら、A級冒険者だからといって彼女は女の子だ。男の俺が手をこまねいているわけにはいかない。


 向かって正面のアイアンゴーレムに剣を思いきり上段から振り下ろす。


 ――だが。


 ガキイィィィン!


 そんな音がして攻撃がはじかれた。

 次の瞬間。


 バキィ!!

 とアイアンゴーレムの右手が俺を吹っ飛ばした。


 俺は大きく宙を舞い、奥の壁に叩きつけられた。


「くっ!!」

 骨が軋む音がする。

 強い……、これは勝てない。

 スライドのパーティにいたときでさえアイアンゴーレムには出会ったことはなかった。

 名前の通り鉄のような硬さだ。


「ジョウ君!」

 アリシアの声がする。


「だい……じょぶ…だ」

 嘘だ。今のでかなりのダメージを受けてしまった。


「よくもジョウ君を!」

 アリシアが決死の反撃を始めた。


 人食い箱のときは俺が封じ込めたから、アリシアの剣技は初めて見る。


 金髪の髪をなびかせ、ミスリルソードを自在に操っている。


 右、左、上からくるゴーレムどもの攻撃をかわし、剣で切りつけている。

 それは見惚れるような剣技だった。

 驚くことにアイアンゴーレムにさえもダメージを与えているようだ。


 ドサッ。

 一体のゴーレムが崩れ去る。


 だが、それでもアイアンゴーレムを含めて四体。

 どうみても多勢に無勢だ。


 何か、何か手はないのか?


 俺はあたりを見回す。


 ――そこには、周りの壁に紛れて気づかなかったが扉があった。


「アリシア!こっちだ」


 すかさず、俺は叫ぶ。


 瞬間、アリシアはこちらを見る。

 そして俺の言わんとすることを理解したようだ。


「でも、開くの?転移石無効化エリアで!こういうときは部屋のボスがその扉の鍵を持っているものよ!」

 アリシアがゴーレムの攻撃をさばきながら叫ぶ。


 確かに、こういう時は普通なら部屋のボスが倒されるまで扉は開かない。

 普通なら、だ。俺は自分のスキルに絶対の自信を持っている。


 扉に手をかけ、叫ぶ。

施錠解除アンロック!」

 瞬間、まばゆい大きな光に包まれる。


 かなり強い施錠がされている、俺はありったけの力を込める、光は周囲を照らしていく。


 ――次の瞬間。


 ガチャリ。


 扉が開いた。


「アリシア!!」


 アリシアはゴーレムの攻撃を巧みに避けながら全力でこちらへ走ってきた。


 そして二人して扉をくぐる。


 俺はアリシアがくぐり終わるのを見届けてから、すぐに扉に手をやる。

 そして唱えた。


施錠ロック!」


 ガチャリと音がして、施錠は完了した。

 さすがのゴーレムもこの硬い扉は破れないだろう。

 二人は尻もちをつく。


「ふぅ、なんとかなったぁ……」

 俺は呟いた。


「ほんとに……」

 アリシアがほっとした感じで言った。


「はぁ……」

 二人して大きな息を吐き、俺達はお互いの無事を確かめた。

・面白い!


という方は広告下の☆☆☆☆☆からの評価、ブックマークへの登録をお願いいたします。

執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ