第68話 その頃のスライドのパーティ(14)
……一方その頃、スライドのパーティは。
グレーターデーモンにやられボロボロになり牢屋にぶちこまれていた。
ミレイも派手にやられていたがなんとか瀕死のスライド達を治癒魔法で治している。
「殺されなかっただけでも、奇跡だわ。何か考えがあるのかしら」
ミレイが独り言を言う。
「おい、モラド……牢屋の鍵は開かないのか」
スライドは治癒魔法で回復したモラドに尋ねる。
「だめです~鍵が開きませーん」
モラドが情けない声を出す。
「鍵が開かない、か……ジョウの奴ならこんな状況でも鍵を開けたのにな」
エドガーが言う。
「結局、ジョウの言うことを聞いておくのが正解だったということか」
メルビルが残念そうに告げる。
「あいつのことは口にするな! 奴のせいで俺達はこんな場所に来ちまったんだろ」
「黒の転移石を使ったのは、あんたでしょ。スライド」
「何――――、俺のせいだって言うのか?」
実際、スライドのせいなのだが、ミレイとスライドは仲間割れを始めた。
「もともとあんたが勝手に黒の転移石を使ったのがいけなかったんじゃない? ジョウの奴の制止を無視してさ!」
「おまえ、ジョウの肩を持ちやがるのか!」
スライドとミレイはとっくみあいの喧嘩を始めた。
「騒がしいな、人間ども」
そこに牢屋の外から冷たい氷のような声がした。
声の主は水色の体を持つ人型の魔物だった。
「我は魔王軍四天王が一人、リュウセイ。おまえたちは鍵の勇者の関係者らしいな」
リュウセイと名乗った男はスライドパーティを見回す。
「魔王軍四天王――? そんなお方がなぜこんなところに」
スライドは怯えて足ががくがく震えていた。
「お前たちは鍵の勇者の仲間か?」
リュウセイは問いかける。
「仲間、仲間なんかじゃないです、ジョウの野郎なんてむしろ敵です、敵」
スライドは必死にごまをする。
「フ……そうかどちらにしろ都合がよい。おまえたちにも少しは役に立ってもらおう」
そう言うとリュウセイは牢の中へと手をかざす。
同時に何か呪文を詠唱し始める。
「いやああああああああああああああ――――!!」
スライド達の悲鳴が魔王城の牢屋に響き渡るのだった。
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