表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/81

第67話 キィの告白

「なんで、勝手に城を抜け出したりしたんだ」

 俺はキィが落ち着くのを待って問いかける。


「キィ、夜中にお腹が空いて目覚めたの、そしたらアリシアがいなくて……、外に出たらそしたらマスターとアリシアが……」


 そう言って涙声になる。


 まさかとは思ったが、昨日のアリシアとの口づけをキィに見られていただなんて……。

 

「キィ、昨日のあれはその……」


 俺はしどろもどろになる。


「マスター、キィのこともういらないの?」

 そんなことまでキィは言い出す。


「そんなことはない、そんなことはないよ」


「でもマスターはマスターキィソードがなくても戦えるんでしょ?」

 キィは泣きながら言う。


「いや、マスターキィソードは頼りにしてるよ、俺の力だけじゃまだ魔王を倒せない」


「でもアリシアのことが好きなんでしょ?」


「それは……キィのことだって好きだよ」


「そうじゃない、そうじゃないよう」

 キィはとうとう泣き出す。


 俺は困ってしまい、キィが泣き止むのを待つしかなかった。


「……マスター、キィ、マスターのことが好き」


 キィは泣き止んだと思ったらそんなことを口にし始めた。


 俺は、自己嫌悪に陥っていた。

 勝手にキィを妹のような存在と思い込み、知らず知らずマスターキィソードを引き出す道具のように扱っていたのかもしれない。

 

 ――キィだって誰かを好きになる立派なレディなのだと。


「キィ、すまない。俺はその気持ちには答えられない」


「アリシアがいるから?」


「そうだ、キィはアリシアのこと嫌いか」


「ううん、アリシアのことは好き、でもマスターはもっと好き」


「そうか、ありがとう」

 それ以上かける言葉が見つからず俺は空を見上げるのだった。




 その日の夕方、俺は城の敷地内でアリシア、ステラ、キアーヴェとキィを待っていた。


「キィが来たくないというなら諦めなきゃいけないかもしれない、キィなしで魔王の島へ乗り込むことになる」

 俺はアリシア達にそう言った。


「何言うてんのや、キィが来なきゃマスターキィソードが使えないやないか? 魔王に勝つなんて無理やで」

 ステラが反論する。


「キィちゃん、どうしちゃったの?」

 アリシアが尋ねてくるが、俺は何も言えない。

 

 夕日が沈もうとしていた。


「昼間は目立ちすぎるから夜のうちに魔王の島へ乗り込む」


 俺は鍵の羅針盤を手にする。


 キィはこのまま来ないのだろうか。


 ――そう思われたその時。


「マスター……」


 キィが城内から現れた。

「マスター、ごめんなさい。キィもついていく」


「キィ……ありがとう」

 俺はキィの頭の髪の毛をくしゃっと撫でる。


「よっしゃ、これで準備は出来たで、魔王の島へ殴り込みや」

 ステラがスタッフを振り回す。


「準備が出来たなら、行くぞ」

 キアーヴェはそう言って変身する。


 見る見るうちに巨大な金色のドラゴンの姿となった。


 俺達はその大きな背に乗る。

 鱗をしっかり掴んで落ちないようにする。


 王が出立を見送ってくれた。


「鍵の勇者よ、必ずや魔王を打ち滅ぼしてくれ」


「はい、王様」


 そうして俺達はついに魔王の島へと旅立つのだった。

・面白い!


という方は広告下の☆☆☆☆☆からの評価、ブックマークへの登録をお願いいたします。

執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ