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第55話 その頃のスライドのパーティ(8)

 ……一方、その頃スライドのパーティは。


 転移石の力でブレイブ王都に戻ってきていた。

 いつもの冒険者の宿でたむろっていたが、豪遊するお金はない。

「ついに、金貸しにお金を借りることになってしまったわ」

 ミレイが残念そうに告げる。


「先日の魔王軍四天王の襲撃もなんとか無事やり過ごしたというのにな」

 メルビルが肩をすくめる。


「くそっ、鍵の勇者のジョウが撃退したと言っているがほんとに奴なのか?」

 スライドが悔しそうに言う。


「それより、借金を返す方法を考えないと」

 エドガーが現実的なことを喋る。


「みなさん、いい情報を持ってきましたよ!」

 そこへ外出していたモラドが、宿屋の入り口を開けて現れた。


「いい情報、今度はなんだ?」

 スライドは疑いの眼差しを向ける。


「鍵の扉の迷宮ダンジョンが現れたんですよ!」

 モラドは言う。


「鍵の扉の迷宮ダンジョン、なんだそりゃ?」


「へい、魔王が復活した時に対抗して現れる迷宮ダンジョンと言われているらしいんですが、それが街の南に突如として現れたらしいんですよ」


「魔王~?物騒だな。それがどうしたんだ」


「どうやらすごいお宝が眠る場所に連れて行ってくれるという噂なんですよ!」


「本当か~? すごいお宝ってなんだ?」


「へい、これは情報屋で聞いた話なんですが」


「情報屋って、借りた金また使いこんだのか」


「許してください、スライドの旦那。でもいい情報を得たんですよ。どうやら黒の転移石っていうのがあるらしいんですよ」


「黒の転移石? 転移石と言ったら青だろ」

 実際、スライド達をよろずの扉の迷宮ダンジョンから脱出させた転移石も青だった。


「その黒の転移石はお宝がたくさんある島へ連れて行ってくれるという話なんですよ」


「宝島か。そりゃあ、悪くねえ話だな」

 スライドは身を乗り出す。


「へい、今なら王都は先日の四天王襲撃の傷跡を修復するのに必死ですから、冒険者もあまり探索していないみたいなんですよ」


「そうか、そういうことなら善は急げだ。俺達が一番乗りするぞ」


「でも魔王ってちょっと怖くない?」

 ミレイが口をはさむ。


「魔王が怖くて勇者がやってられるか、今度こそお宝を手に入れて借金返済、もとい大金持ちになってやる」


「魔王を倒して名声を上げようとか言わないところがスライドらしいのう」

 メルビルが呆れた声で言う。


「魔王なんて鍵の勇者にまかせときゃいいんだ、とりあえず俺らはお宝を貰う」


 スライドの決意の声が宿中に響くのだった。

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