第52話 強襲
王都を悲鳴と混乱が覆っていた。
俺達は大急ぎで王城の外へ出た。
街をアクアドラゴンのリュウセイとその部下のリザードマン達が蹂躙していた。
アクアドラゴンのリュウセイは王都の周囲の空をばっさばっさと飛びながら水魔法を使って街を攻撃していた。
「ハッハッハ、どうだ手も足も出まい」
それを見てどこにいたのか、シーモアがアリシアの手を引く。
いつの間にか髭の変装を解いていた。
「あわわ!大変だよアリシア、ここから逃げよう」
「シーモア、なに言ってるの? 街の人を助けないと!」
アリシアがシーモアの手を振りほどく。
ステラがとっさに王城から超火球を放つ。
遠くのリュウセイに命中する。
リュウセイの注目がこちらに集まる。
「ほう、鍵の勇者か。生きていたとはな! だが、おまえもここで終わりだ」
シーモアが腰を抜かす。
「ひいいいいっ、助けて!」
リザードマンの大群がこちらに押し寄せてくる。
そして、先行していたリザードマンがなんと腰を抜かしているシーモアに襲い掛かる。
――その瞬間
「シーモア!」
そう言ってアリシアの剣がそのリザードマンを八つ裂きにする。
返り血を浴びる、アリシアとシーモア。
「シーモア、大丈夫?」
血に濡れた剣を右手に持ち、シーモアに手を差し出すアリシアだったが
「ひいいいいいっ、アリシア怖いいいいいっ! こんなの僕のアリシアじゃない!」
なんと血に濡れたアリシアを見てシーモアは恐怖に陥っていた。
「僕のお嫁さんは、こんな野蛮な人じゃ嫌だ! 婚約解消するううう!」
呆れたことを言っている。
「アリシア、リザードマンは衛兵にまかせて、俺達はアクアドラゴンのリュウセイを!」
アリシアは頷く。
俺はキィの胸元に手をかざし唱える。
「施錠解除」
光と共に鍵の剣が現れる、マスターキィソードだ。
「キィのことを頼む!」
俺とアリシアははステラにキィを預け走り出す。
そして上空にいるリュウセイに向けて力を解き放つ。
「遠隔施錠!」
光は上空のアクアドラゴンのリュウセイを捉える。
そのままリュウセイを地面に叩きつけようとするがそれでは街に被害が出てしまう。
俺は遠隔施錠したリュウセイを街の外へ放り出した。
「むう、鍵の勇者め、やりおるな」
鍵の光から離れ、アクアドラゴンのリュウセイは吠えた。
その時だった。
小さなドラゴンが上空から飛来し、アリシアを両足でがしっと捕まえた。
「何!?」
アリシアはとっさのことに対応できない。
「フフフ……鍵の力を使うときに油断するのを待っていたのだ」
アリシアの手からオリハルコンソードが離れ、地面に突き刺さる。
「ジョウ君!」
「おまえは……ロンジョの街で出会ったリドラか!?」
俺は小さなドラゴンに叫ぶ。どこまでも汚い奴だ。
「そうだ、この女の命が惜しければ、街はずれの荒野に今度こそ一人で来い!ただし鍵の剣の力はなしでな、ハハハッ」
リドラはそう言うとアリシアを連れて街はずれに飛び去って行った。
・面白い!
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