第51話 褒美
俺達は久しぶりにブレイブ王都に帰ってきていた。
大通りを歩きながらアリシアと会話する。
「王都なんて久しぶりね、初めてジョウ君に会ったのもここだったわ」
アリシアが言う。
「そうだな、スライドのパーティから外されて意気消沈していたところを声をかけてくれたんだったな、ローブを目深に被って最初は男かと思ったよ」
「もー、失礼ね。男の振りをしていただけって言ったじゃない」
「悪い悪い、そうだな」
「マスター、お人がたくさんいるね」
キィがあたりをきょろきょろしながら言う。
そういえば、あれからスライドのパーティはどうしたのだろうか、と思いつつ
「ああ、そうだな。前にも言ったろ、王都にはたくさん人がいるって」
キィに答える。
「それはええけど、あいつはなんとかならんのか?」
シーモアが後ろから人ごみに隠れて?ついてきている。
「自分で隠れてるつもりやろけどバレバレやで」
「仕方ないよ、放っとくしかないだろ」
そうはいってもシーモアは目障りだ。
「マスター、お腹すいたー」
突然、キィがそんなことを言いだす。
キィは小さななりだが結構痩せの大食いだということが最近わかってきた。
「食堂でなにか食べましょ」
アリシアが言う。
俺達は食堂に入る。
「マスター、美味しいね」
キィが料理をほおばる。
俺達も思い思いの料理を頼み食事をしていると、シーモアが入ってくる。一応つけ髭をつけて変装しているみたいだ。
「あかん、完全に鬱陶しい。あたいが呪文で追い出したる」
ステラがそういい杖を持ち出したので俺は慌てて言う。
「店の中で攻撃呪文とか使うなよ。あとが大変だ」
そう言いつつも俺はげんなりしていた。
アリシアは我慢の限界が来たようだ。
つかつかとシーモアのほうに歩いていくと。
「シーモア、もうついてこないで」
と言う。
シーモアは答える。
「僕のことがわかったんだねアリシア、僕はただ君が心配で……」
アリシアは釘を刺す。
「自分のことは自分で守れるわ! それに危険な旅だって言ってるでしょう」
シーモアは目を潤ませながら弁解する。
「そんなこと言わないでアリシア」
アリシアははぁと困ったため息をしながら俺達に向けて言った。
「食べ終わったら、さっさと王城に向かいましょう」
俺達はブレイブ王城へ来ていた。
四天王の一角を倒した鍵の勇者の名は王都でも広まっていて、俺達はスムーズに王城に入ることができた。
シーモアは相変わらず俺達の後ろをついてきていたが、王城の入り口で足止めにあっていた。
それもそうだ貴族と言っても変装しているからだ。
「僕は貴族だぞ、わからないのか?」
シーモアは暴れている。
そのことに気づかないシーモアもシーモアだが。
俺達は王の間に通された。
ブレイブ王は俺達を見てねぎらいの言葉をかけてくれた。
「鍵の勇者よ、期待通りの活躍を見せてくれているようじゃの、魔王軍四天王の一角を倒したとか」
「はい、王様。ジョウ君の活躍は目覚ましいものがあります」
アリシアが代わりに答える。
「うむ、この調子で魔王を封印したおりには好きなように褒美をとらせようぞ」
その言葉を聞いてステラは目を輝かせる。
「あたい……私もですか、王様」
「うむ、ステラと言ったな。どんな褒美でも思いのままじゃ」
俺は問いかける。
「どんな褒美もですか、王様」
俺が欲しいのはただ一人だ。
だけど、言葉にはしなかった。
「うむ、そうじゃ。王に二言はない」
ブレイブ王は自信ありげに答えた。
――そのときだった、王の間に兵士が駆け込んできた。
「大変です、王様。魔王軍四天王が……!」
そう言って外を指さすのだった。
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