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第48話 その頃のスライドのパーティ(7)

 スライド達は山道をなんとか登りながら、よろずの扉の迷宮ダンジョンの入り口へ辿り着いた。


 すでにジョウ達は入れ違いで下山した後だったが、それをスライド達は知る由もない。


「これがよろずの扉の迷宮ダンジョンの入り口か……」

 スライドは豪勢な扉を見て呟く。


「それにしてもなんだこの荒れようは?岩が飛び散ってるし血の跡みたいなものもあるぜ」

 戦士のエドガーが疑問を口にする。


「どうやら激しい戦闘が行われたみたいね」

 僧侶のミレイが辺りを見回す。


「このあたりにも魔物モンスターは出現するのか、くわばらくわばら」

 魔法使いのメルビルが周囲を伺う。 


 その戦闘跡はジョウ達とブゲンの対決の跡だったがもちろんそれはスライド達はわからない。


「とにかくよろずの扉の迷宮ダンジョンに入ろうぜ、おいまだ開かねえのかモラド」

 スライドは入り口の扉の鍵を開けているモラドを急かす。

(ジョウの奴ならこんな扉一瞬で……)

 と頭に浮かんだ考えをスライドは必死で否定する。


「へいっ、もうすぐ……あ、開きました」


「ちっ、やっとか。とにかく中に入るぞ」

 スライドのパーティはよろずの扉の迷宮ダンジョンに入った。




「なんだ、この扉の数は!?」

 スライドはげんなりしていた。


 中に入ったのはいいものの扉の数が多すぎてどこに進めばいいのか全くわからなかったのだ。

「さすがよろずの扉の迷宮ダンジョンと言われるだけあるのう」

 メルビルが言う。


「とにかく扉を開けまくって、先へ進むぞ」

 スライドは先頭を切って歩き出す。


「へい、がってんだ」

 モラドは必死に鍵開けに徹する。

 

「一つ一つの扉に時間をかけてる暇はねえぞ!」

 そう言いつつもすぐには鍵は開かない。


(くそっジョウがいれば……)

 また浮かんでくる思いを必死で否定するスライドだった。


 そうしてスライドはまた一歩また一歩、迷宮ダンジョンの深淵へと足を踏み入れていくのだった。




 そして一週間余りが過ぎた。

「スライド、もうどれだけこの迷宮ダンジョンを彷徨ってるかわかる?」

 ミレイがぐったりした調子で言った。


「スライドの旦那~、これじゃうちら干からびてしまいます~」

 モラドがげっそりした顔で告げる。


「ここ数日、干し肉と水しか口にしてねぇ、このままじゃ宝を見つけるまえにこっちがミイラになっちまう。」

 エドガーも疲れ切った表情だった。


「うっさい、そもそも、まともにマッピングしてなかったのがまずかったんだろ」

 スライドは振り返り言う、が覇気がない。


 そうしていくつめだろうか、扉を開けたときだった。


 宝箱が部屋に置いてあった。


「おー、ついにお宝だ!」

 スライドは喜び勇んで宝箱に飛びつく。


「気をつけるんじゃ、人食い箱や罠の可能性もあるぞ」

 メルビルが警告するが、スライドが触れても何も起こらないのでどうやらその心配はなさそうだ。


「じゃあ、さっそくあっしが鍵を開けます」

 モラドが解錠の作業に入る。


 しばらくして宝箱の鍵は開いた。

「やっとか、どんな宝だ?」


 スライドが宝箱の中を見入るが、そこにあったのは……


 青く鈍く光る宝石だった。


「これは、見間違えるはずもねえ、転移石だ! 売れば高値になるぞ」

 スライドが喜ぶ。


 しかしパーティのメンバーは誰一人として笑顔を見せなかった。


「いくら高値で売れても、この迷宮ダンジョンの中から出られなきゃどうしようもないじゃない?」

 ミレイが諭すように言う。


「そうじゃ、ここはこの転移石を使って外に脱出するのが妥当じゃろう」

 メルビルもミレイに同意する。


「はっ、せっかくのお宝をか? エドガーおまえなんか言ってやれ」


 エドガーは悲しい顔で言う。

「俺、もうこの迷宮ダンジョン出たい」


 スライド以外の全員が無言でその意見に賛成のようだった。

 

 それを見て、スライドは慌てる。

「わ、わかった。ここは転移して脱出するしかないようだな」


 転移石を持ってスライドは唱える。

「ちくしょー、大損だー!!我らを転移させたまえ、転移ー!!」

 次の瞬間、スライドのパーティは光に包まれるのだった。

・面白い!


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