第47話 東の果て
決着は着いた。
ブゲンは倒れ、血が岩の大地に染み込んでいく。
「アリシア、大丈夫か!?」
俺はアリシアに近づいていく。
「私は大丈夫……つっ」
ぐらついたアリシアを俺は真正面から抱き止める。
「ジョウ君、ありがとう」
俺とアリシアは顔を真っ赤にする。
「おーおー、戦闘が終わったばかりなのにお熱いなあ」
ステラが茶化す。
「マスター。アリシアばっかりずるい」
キィが文句を言う。
「違うって……、アリシアが倒れそうだったから」
俺は慌てて言い訳する。
アリシアは左手にかなりの深手を負っていた。
俺はアリシアに肩を貸す。
「これくらいの傷なら自分で治せるわ」
アリシアは自らに治癒の魔法をかけた。
光とともに傷が治っていく。
俺達は倒れているブゲンに近づく。
「この魔物、戦士としての誇りを持っていた……」
アリシアはブゲンの遺体に一礼する。
俺もアリシアにならった。
そしてアリシアがオリハルコンソードで周囲の岩山を切り開き、俺達は石を積んで簡単な墓をブゲンに作ってやった。
「戦いは終わったか?」
そう声がして見るとクリューチが万の扉の迷宮から出てきていた。
「はい、おかげでなんとかブゲンを倒せました」
「オリハルコンソードのおかげです」
俺とアリシアはクリューチに感謝する。
「うむ、オリハルコンソードがあればこの先の戦いを有利に進めることができるじゃろう」
そしてクリューチは言った。
「東の果ての絶海の孤島を目指すが良い、そこに魔王ザンバックが封印されているはずじゃ」
「魔王が……!?」
俺は声に出す。
「マスターキィソードとオリハルコンソードの力があれば立ち向かえるはずじゃ、じゃがその前に……」
「その前に?」
「この迷宮の扉はすべて閉めてくれ。宝目当ての冒険者が来るたびうるさくてかなわん」
俺はずっこけた。
「マスターキィソード、複数遠隔施錠!」
ダダダダダダダダダッと扉は閉じていく。
「東の果てと言っていたな。じゃあ、いったん南に行ってそれから東か、今までの道を戻ることになるな」
「丁度いいわ。私の屋敷に立ち寄りましょう」
アリシアが言う。
「アリシアの屋敷か、確か貴族言うてたな。お金もぎょーさんあるんか」
ステラが目を輝かせる。
「王都にも寄って、これまでの成果を報告したいしな」
俺は言う。
「キィもマスターキィソードの使い過ぎで疲れてるし、しばらく休ませたい」
「キィは大丈夫。マスター、キィがんばる!」
俺はキィの頭に手をやり髪をくしゃりと撫でる。
「ありがとう、キィ」
「でもキィ、お腹すいたー」
そう言うとキィはお腹をなでる。
「ハハッ、そうか、じゃあ帰りに何か美味しいものでも食べよう。俺も鍵の力の使い過ぎで疲れてる。しばらく休んでも問題ないだろう」
こうして俺達は力を蓄えつつ東へと戻ることになったのだった。
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