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第45話 万の扉の迷宮

 ――どれくらい扉をくぐったろうか。

 俺達は広間に出た。

 そこには豪勢な装飾がなされた大きな扉が閉じていた。


複数遠隔施錠解除マルチリモートアンロックが効かなかったのか? これは直に触れて開けるしかないな」


 俺は、複数遠隔施錠解除マルチリモートアンロックが効かなかったことに疑問を覚えながらも両手を扉に着けて唱える。


施錠解除アンロック!」

 光に包まれその扉は開いた。


「なんじゃ、せっかく開いた扉を閉じたのに、また開けよったのか?」

 そう言いつつ、中から現れたのはなんと一人の老人だった。

 老人といっても、身なりはきちんとしていて神聖な雰囲気の白いローブを身にまとっている。

 

「鍵は閉めさせてもらうぞ。」

 その老人は扉をまた閉めてしまう。


「すいません、あなたは一体……、ちょっと待って!」

 カチャリと扉は中から鍵をかけられたようだ。


施錠解除アンロック!」

 俺は、もう一度鍵を解除する。


 すると中から老人がもう一度顔を出す。

「何をする?ここは神聖な鍵の仙人の間じゃぞ」


「鍵の仙人……、するともしかして鍵の一族ですか?」

 よく見ると老人は耳が尖っていた。


「鍵の一族を知っているのか、ん?」

 俺たちを見渡して、キィを見つけると鍵の仙人は言った。


「キィ姫!? そうか、先ほどの複数遠隔施錠解除マルチリモートアンロックは鍵の勇者と姫の力か」

 老人はスタッフを手にし中に入れと言う具合に指し示した。


「そういうことなら話は別じゃ、こっちへ来い」


 俺達は鍵の仙人の住処へ通された。

 そこは迷宮ダンジョンの中とは思えない快適な生活空間だった。

 奥には、いろいろと豪勢な宝の類もある。

 ステラの目がキラキラと光っていた。


「話を聞こうじゃないか、わしはクリューチ、鍵の仙人と呼ばれとる、この迷宮ダンジョンの主じゃ」


「俺たち、大賢者シュリセルに言われてここに来たんです」

 俺は事情をクリューチに話した。


「ふむ、シュリセルのやつがやられて鍵になりおったか」

 キィが鍵を懐から取り出して見せる。

「シュリセルにぃさまだよ」


「鍵の一族は名前の通り、鍵の力を持っておる。シュリセルは永い眠りにはいったのじゃ」

 クリューチは言う。


「それで、鍵の勇者はおまえか、名を何という」


「ジョウ、ジョウ・ローレットと言います」


「ふむ、鍵の勇者の弱点はどうしても相手の動きを止めることに特化してしまうことじゃ。敵に直接ダメージを与える役割は他に必要となる」

 鍵の仙人、クリューチは俺達を見渡して言う。


「そうなると、ダメージディーラーはこの娘っ子か」

 アリシアを指して言う。


「そうです、でも……グランドタートルのブゲンには私の刃では歯が立たなかった」

 アリシアはうなだれた。


「そうか、グランドタートルの鎧は鉄より硬いと言われているからな」

 クリューチは言葉を区切った。

「いまこそこの剣を与える時かもしれん」

 クリューチは奥に一旦消えて、また戻ってきた。


 手には豪勢な装飾が加えられたソードを手にしている。


「これこそ三百年前の対戦で勇者パーティが使っていた剣、オリハルコンソードじゃ。」


「オリハルコンソード……?」

 アリシアは剣を受け取ってつぶやく。


「そうじゃ、この剣に斬れぬものはないと言われるSS級の武具じゃ、鍵の勇者のパーティに与えるためずっとワシが預かっとった」


「私に操れるのかな……」

 アリシアがそう言いつつも剣を抜く。

 その剣の輝きは神聖で、その剣を持つアリシアまでもが神々しいまでに美しく見えた。


「きっと、大丈夫だ。アリシアなら」

 俺はアリシアに声をかける。


「ジョウ君、ありがとう……」

 アリシアが頬を赤らめながらつぶやいた。


「アリシアばっかりずるい、あたいにもなんかないのかい?お宝ぎょーさんあるようやないか」

 ステラがクリューチに催促する。

「おぬしにはこれをさずけよう」


 クリューチは持っていたスタッフを渡す。


「由緒ある魔法使いのスタッフじゃ、魔法の威力が増すようになっておる」


「これが……、ほんまかいな?」

 古ぼけた杖にステラは疑念を抱いていたようだが、とりあえず受け取る。


「話によると迷宮ダンジョンの表にグランドタートルが待機しているのじゃろう。この装備で打ち勝つことが出来るはずじゃ」

 鍵の仙人は力強く言う。


「よし……、これで戦闘の準備だ」

 俺達は息巻いた。


「これこれ、おまえにはこれをやろう」

 クリューチは気がはやる俺に新品のミスリルソードをくれた。


 クリューチはアリシアに向きあい言う。

「アリシアとか言ったかの、すべてはおまえにかかっているぞ」


「はい……」

 アリシアは頷いた。


 そして俺達はブゲンと対決するために迷宮ダンジョンの外に出るのだった。

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