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第38話 船旅

 俺達はリーベの港へ来ていた。

 ここから先は船旅だ。馬車を預けて、北の大地へ行く帆船に乗る。

 北の大地にはドワーフの王国とよろずの扉の迷宮ダンジョンがある。


「わー、すごい量のお水ー」

 キィが海を見て言う。


「海って言うんだ、しょっぱい水だぞ」

 俺はキィに解説しながら潮風が頬をなでるのを楽しんでいた。


「綺麗な景色ねー」

 アリシアが水平線を眺める。


「まあ、一日やそこらの船旅やからな。敵と出くわさんことを祈るのみや、特に四天王にはな」

 そう、ステラが呟いたときだった。


「あれは、なんだ!」

 と他の乗客が騒ぎ出した。


 遠くに何か鳥のようなものが見える。


 いや、鳥にしては大きすぎた。

 近づいてきて、それが巨大なドラゴンであることに皆気づく。

 途端に皆、パニックに襲われる。


「ドラゴンだ!?」


「なんでこんなとこに!」


 ドラゴンは青い鱗を持っていた。

 そして人の言葉で話しかけてきた。


「私は、アクアドラゴンのリュウセイ! 魔王軍四天王の一人なり!」

 翼をばっさばっさと広げながらドラゴンはさらに語り掛ける。


「ここで鍵の勇者には死んでもらう」


 前にリドラという竜人が、アクアドラゴンの配下だと言っていた。

 今度はご本人のおでましというわけだ。

 ステラが恐れていたことが起きてしまった。


 こんな海の上では逃げ場はない。

「キィ、マスターキィソードだ!」

 俺はキィに呼びかける。


 キィは走り寄って俺に抱き着く。

 胸元に手をかざし、俺は唱える。


施錠解除アンロック!」


 光と共に輝く鍵の剣が現れた。


「フ……。鍵の姫の力か、さすがに私でもまともに相手するのはキツイな」

 マスターキィソードを見て、リュウセイは怯んだかに見えた。


「しかし、これならどうだ、ウォーターストリーム!」


 すると海が途端に渦を巻く。船はその大渦に引き寄せられていく。


「ハーッハッハッハ! 海の藻屑へと消えるがいい」


「くそっ! やり方が汚いぞ、遠隔施錠リモートロッ……」


「おっと、鍵の姫の力とまともやり合うつもりはない」

 そう言って、リュウセイは踵を返す。


「逃げるのか、リュウセイ!」


「ハハハ……生きていたら、また会おう! 鍵の勇者! まぁ生きていたらだがな」

 そう言ってアクアドラゴンのリュウセイは飛び去って行く。


 そうこうしているうちに船は大渦に呑み込まれていく。


「ジョウ君、どうしよう!?」

 アリシアもさすがにどうしようもない。キィを抱き止めて叫ぶ。

 

「とにかくみんな何かにつかまるんだ! 俺が鍵の力でどうにかする!」

 

 そうは言ったもののどうすればいい?

 俺は自分に問いかける。

 とりあえず大渦をどうにかしなければ。


 俺は水に向かってマスターキィソードを向ける。

「マスターキィソード、遠隔施錠《リモートロック!》」

 

 その瞬間、光が降り注ぎ大渦の流れは止まった。


 しかし、このままではいずれ波は動いて渦に呑み込まれてしまう。

 

 ――――こうなったら。

「マスターキィソード、複数遠隔施錠マルチリモートロック


 光は船を照らした。

 船の動きは止まる。


 俺はそのまま船を包んだ光をマスターキィソードを使って投げ飛ばした。


 船は空中を舞い、渦の外の海にバシャアアアアッと着水する。

 うまく着水のタイミングで止まるように鍵の剣の力で調節したのが良かったのか、船に損害はない。


「やった、なんとかなったぞ!」

 

「ジョウ君、すごい!」

 アリシアがキィを抱き止めたまま言う。


「なんや無茶苦茶やな」

 

 俺は船が無事に航行して大渦の外に出るのを見計らい、大渦の施錠ロックを解いた。


「魔法で作られた大渦だからそのうち消えるだろう」 


 こうして船はその後無事に航行し、なんとか俺達は無事に北の大地へ辿り着いたのだった。

・面白い!


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